新型コロナウイルスの感染対策は?手洗い・うがいやマスク着用の基本
新型コロナウイルスの対策について、テレビなどではさまざまな情報が飛び交っています。
正しいマスクの着用方法や、使用すべき消毒液の選び方など、多くのメディアで取り上げられていますが、情報を集めるうちに、どの情報を信じたらいいのかわからなくなってしまった、誤解をしたままになっているという方もいらっしゃるでしょう。
今回は、新型コロナウイルス対策としてどのようなことをすればいいのかを解説していきます。
感染経路は飛沫感染と接触感染?
新型コロナウイルスの感染経路にはどのようなものがあるのでしょうか。
現時点では主に飛沫感染と接触感染の2つのルートが考えられています。
・飛沫感染
くしゃみや咳、普段の会話ででる「飛沫」(つば)には、ウイルスなどが含まれています。それを吸い込む、あるいは粘膜に付着することによって感染します。
・接触感染
ウイルスの付着した、皮膚、粘膜、手すり、ドアノブ、その他の器具に、直接接触することで、ウイルスが付着します。付着したウイルスが、口や鼻、眼などの粘膜を介して感染が成立します。
対策の4つのポイント
新型コロナウイルスは、飛沫感染や接触感染で広がっていくとされています。
現在、飲食店やレジャー施設などは「こまめにアルコール消毒をする」などさまざまな対策をとっています。
しかし、感染しない・ほかの人に感染させないためには、個人での対策も大切です。
では、個人でおこなえる対策にはどのようなものがあるのでしょうか。
「3つの密(密閉・密集・密接)」は避ける
テレビなどでよく「3密」という言葉をよく耳にします。これは
・密閉:換気の悪い密閉空間
・密集:多くの人が密集する場所
・密接:互いに手を伸ばすと届く距離で会話などがおこなわれること
を指します。これをできるだけ避けることが大切です。
たとえば、「密閉」空間ではない屋外であっても、人が多く密集している、近距離で話をするなどの「密集」「密接」状態になっていると感染のリスクが高くなるといわれています。
ひとつでも「密」な状態を作らないように工夫をすることが重要です。
そのために、
・部屋をこまめに換気する
・人が集まる場所を避ける
・他の人との距離を最低2mははなす
などの対策をとりましょう。
マスクをつける
厚生労働省が平成20年に発表した「新型インフルエンザ専門家会議」では、マスクについて「症状のある人が、咳・くしゃみによる飛沫の飛散を防ぐために不織布製マスクを積極的に着用することが推奨される」としています。
また、「ドアノブなどについたウイルスが手につき、そのウイルスが、口をはじめとする粘膜に触れることを防ぐため、マスクを着用していることによる一定の効果があることが期待される」ともしています。
そのため、できるだけマスクは着用するようにしましょう。
不織布マスクのメリットは、「使い捨てができる」「比較的マスク内の気密性が高い」ことが挙げられます。
しかしその反面、暑い季節につけることで「息苦しさ」や「蒸れ」というデメリットもあります。
一方、布マスクのメリットは、繰り返し洗って使えること、また不織布マスクに比べ通気性がいいことが挙げられます。
マスクに使っている布の素材や枚数によって、その性能が大きく左右されます。
近くに人がいるときは不織布マスク、屋外など2m以上人との距離がとれる場所では布マスク、といった形で使い分けるのがよいかもしれません。
消毒する
消毒液には大きく分けて「アルコール」と「次亜塩素酸ナトリウム水溶液」(いわゆる家庭用漂白剤)があります。
基本的に、手指など人体に使用する場合は「アルコール」で消毒をおこないましょう。
アルコール濃度が60~80%程度あるものであれば、消毒液として使えます。手や食器、テーブルなどはアルコールによる消毒が有効です。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液は人体に有害な物質であるため、ドアノブや手すりなどに使用します。
市販の家庭用漂白剤を、0.05%の濃度になるまで薄め、それを布などにしみこませて拭き掃除をします。
この際、手袋などで手を保護するようにしましょう。
手洗い・うがい
手洗いとうがいは感染症予防対策の基本です。帰宅後や食事の前などには必ず手洗い・うがいをしましょう。
手洗いは以下の手順を守っておこなうことで、効果が発揮されます。
・流水で手をよくぬらし、石鹸をつけて手のひらをこする
・手の甲を伸ばすようにこする
・指先・爪の間を念入りにこする
・指の間を洗う
・親指をねじり洗う
・手首を洗う
石鹸で洗い終わった後は、十分に水で流して清潔なタオルやペーパータオルでよくふき取って乾かしましょう。洗う時間は20秒程度がよいとされています。
屋外での食事など、手洗いができない場合は、消毒用アルコールを使って手指消毒をするようにしましょう。
うがいの手順は、以下のとおりです。
・口に水を含んで、少し強めに「ブクブク」と口の中をゆすいで吐き出す
・再度水を口に含み、上を向いてのどの奥まで「ガラガラ」と15秒うがいをして吐き出す
・同様に再度15秒「ガラガラ」うがいをして完了
いきなり「ガラガラ」をせず、先に口の中で「ブクブク」するとよいとされています。
発熱や倦怠感がでたら「帰国者・接触者相談センター」もしくは「かかりつけの医療機関」に問い合わせを
新型コロナウイルスの感染症状が疑われる場合は、まずどのように対応するのがよいのでしょうか。
病院に行っても大丈夫?
新型コロナウイルスに感染した疑いがある、もしくは濃厚接触者になった場合は、まず最寄りの保健所などに設置されている「帰国者・接触者相談センター」、もしくは「かかりつけの医療機関」に電話で問い合わせましょう。
直接病院に行ってしまうとほかの人に感染させてしまう可能性があります。そのため、まずは病院に行くべきかどうかの判断を仰ぐことが大切です。
すぐに相談する必要がある症状
以下のいずれかの症状が当てはまる場合は、電話などで問い合わせるようにしましょう。
・息苦しさ、強いだるさ、高熱などの強い症状のいずれかがある場合
・高齢者、糖尿病などの基礎疾患がある、透析を受けている、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方で、発熱や咳といった比較的軽い風邪の症状がある場合
・上記以外で発熱や咳など比較的軽い風邪の症状が続く場合(症状が4日以上続いている場合は必ず相談を)
かかりつけの医師や保健所が症状などを聞き、感染が疑われると判断した場合には、PCR検査や指定の医療機関への受診をすすめられます。
まとめ
ワクチンや治療薬ができるまでは、今後も新型コロナウイルスとの戦いは続きます。
そのため、3密を避けながら、手洗い・うがいやマスクの着用、消毒など感染予防の対策はしっかりとおこなっていくことが大切です。
体調や症状に不安なことがあれば、感染拡大を防ぐためにも自己判断で医療機関を受診することは避け、かかりつけ医や保健所などに相談し、指示を仰ぐようにしましょう。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴1995年 金沢大学医学部卒業
2000年 金沢大学医学部大学院卒業 医学博士(内科学専攻)
2001-2007年 ハーバード大学医学部Dana-Farber癌研究所
2007年-現在 国立がん研究センター研究所 がん幹細胞研究分野 分野長
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