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緑内障

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

緑内障とは

緑内障の症状について

緑内障は、目で見た情報を脳に伝える視神経に何らかの要因で障害が出て、視野のなかに見えない場所(暗点)が出たり、視野が狭くなったりする病気です。症状は時間をかけてあらわれます。しかし、人間の目は片方の視力が悪くても、もう片方の目が補うようになっています。

そのため、片眼で緑内障が進行していても気づきにくい病気です。進行し続けると、次第に視力が奪われ、いずれ失明の危険もあります。

失明する病気の原因第1位

緑内障は、視覚障害で失明する原因の第1位です。
近年では医療の進歩により失明の可能性は低くなっているものの、ゼロではありません。40代の日本人で20人に1人は発症しているといわれており、緑内障と診断されているのはそのうちの1割しかいないというデータもあります。

失明の危険性がある病気にかかっていることに気づいていない人が多い状況です。

【参考】
川迫労働省科学研究成果データベース
きちんと理解、続ける治療 緑内障

緑内障の原因は房水(ぼうすい)と眼圧による視神経への負担

視神経に障害を与える要因として、房水と眼圧の関係があります。
房水は目のなかにある液体で、眼圧は目の中の圧力、つまり目の硬さと解釈できます。
房水が溜まることで眼圧が高まり、視神経に障害が出るのが緑内障を発症するパターンの1つです。

緑内障は原因や進行具合、仕組みで種類が異なる

緑内障といっても、要因が明らかかどうか、どの部分に障害が見られて緑内障になっているかで、種類が異なります。
種類としては大きく3種類に分類されます。その種類は以下の通りです。

①続発性緑内障・・・他の病気やケガなどによって眼圧が上昇して起こる緑内障

②発達性緑内障(小児の続発緑内障、先天性緑内障)・・・生まれつきの緑内障

③原発性緑内障・・・原因が特定できないが、眼圧が上昇し起こる緑内障

④正常眼圧緑内障・・・眼圧は正常値だが、何らかの要因で視神経に障害が出ている緑内障

一般的な緑内障は②の「原発性緑内障」であり、そのなかでもゆっくりと進行する「原発性開放隅角緑内障(げんぱつかいほうぐうかくりょくないしょう)」です。

また、急に痛みが生じ、緑内障の症状が出ることが多いものを「原発性閉塞隅角緑内障(げんぱつへいそくぐうかくりょくないしょう)」と言います。
別名「急性緑内障」といわれ、早急に治療しなければ早くて1日で失明の恐れがあります。

緑内障と白内障の違いとは?

緑内障と白内障の違いは、白内障は失明する病気ではないという点です。白内障は目の水晶体が白く濁る病気です。歳を重ねるごとに発症しやすくなり、40代からなる人が多い傾向にあります。

原因はレンズの役割を担っている水晶体にあるため、手術は水晶体を交換するだけで済み、失明することなく治療できます。世界的にみれば失明する眼の病気第1位ですが、これは医療技術や制度の水準がまだ低い国での失明率が高いためです。

日本での失明率は3%程度で、その原因は適切な治療を受けなかったためとされています。

【参考】2007年調査結果(厚生労働省研究班の調査報告書より)

緑内障とは
板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

脳梗塞

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

脳梗塞とはどんな病気?

脳梗塞は動脈硬化が原因となる病気

脳梗塞は動脈の血管が硬くなる、「動脈硬化」によって引き起こされる病気です。血管が硬くなると内側は壊れやすくなり、おかゆのように柔らかいコレステロールの塊がこびりついている状態(粥腫:じゅくしゅ)になります。
動脈硬化によって脳の血管が詰まったり細くなったりすることで、十分な酸素や栄養が脳に行き届かなくなります。

脳は全身の動きを司っている器官のため、酸素や栄養不足によって細胞が壊死してしまうと、半身麻痺や言語障害、記憶・視覚の障害が出ることもあり日常生活に大きな影響を及ぼします。
脳梗塞は症状の発見や治療に遅れが出てしまうと最悪の場合死に至ることもあるので、病気について理解し日ごろから注意をはらうことが大切です。
脳梗塞による死亡率は患者全体で約15%となっており、高齢者になるほど死亡率は高くなっていきます。

患者全体の約50%に介護が必要な重度の障害が残るともいわれ、残りの約35%は不自由なく日常生活を送れるレベルまで回復しているとされています。
そのため、できる限り早期の段階で脳梗塞を見つけ、適切な治療を受けることが重要となります。

脳梗塞とはどんな病気?

脳梗塞の種類は3タイプ

脳梗塞には血管の太さや血栓の詰まり方によって、下記のような3タイプに分類されます。

①ラクナ梗塞

高血圧を主な原因として脳にある細い血管に動脈硬化が起こり、詰まってしまうのがラクナ梗塞です。
脳の中心近くにできやすく、水たまりのように小さくぼんでおり日本人に多いタイプの脳梗塞です。

② アテローム血栓性脳梗塞

動脈硬化によって狭くなってしまった脳の太い血管が、血栓によって詰まってしまうのがアテローム血栓性脳梗塞です。
糖尿病や高脂血症などの生活習慣病が主な原因で、食生活の欧米化(高カロリー&高コレステロール)によって近年増加傾向にある脳梗塞のタイプです。

③ 心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)

心臓にできた血栓が脳に流れ、太い血管を塞いでしまうのが心原性脳塞栓症です。
急性心筋梗塞や不整脈の一種である心房細動(しんぼうさいどう(※))を原因とし、突然血管が詰まってしまうためいきなり症状が現れます。
脳の太い血管を詰まらせるため、重い症状や後遺症が出てしまう可能性が高いタイプの脳梗塞です。

※心房細動(しんぼうさいどう):不整脈の一種
心臓には2つの心房と2つの心室から成る4つの部屋があり、健康だと規則的に収縮します。しかし、心房細動では心房が細かく震えて動きます。心電図をとると、細かく震えているのがとらえられます。

脳梗塞は治る病気?

脳梗塞を治し後遺症のリスクを下げるためには、可能な限り早期の治療が大切となります。

脳梗塞は発症から4~5時間以内の治療が重要とされており、この時間内に適切な治療を開始できるかが、その後の状態を大きく左右するともいわれています。
発症から治療までの時間が遅れてしまうと、後々に重い後遺症が残ることがあり、日常生活への影響が大きくなってしまいます。

脳梗塞の発症年齢

脳梗塞は60代から発症が見られ、70~80代にかけて患者数がピークを迎える病気です。
生活習慣病や過度な飲酒・喫煙によって発症のリスクが高まり、蓄積されたものが動脈硬化を促進し脳梗塞を引き起こします。

また、脳梗塞は50歳以下で発症することもあります。
「若年性脳梗塞」と呼ばれ、子供の頃から欧米型の食生活や運動不足によって、若いうちから動脈硬化の危険因子が増え脳梗塞になりやすくなります。若いからといって安心せず健康的な生活を心がけるようにしましょう。

脳出血やくも膜下出血との違い

■脳出血

脳梗塞は運動や言語を司る脳の領域に血液がいかなくなり、壊死することで障害が出る病気です。
一方、脳出血は脳の中にある細かい血管が破れて出血することで、脳が壊れて症状が現れる病気です。脳梗塞と脳出血はいずれも脳の中で起こる病気です。

■くも膜下出血

くも膜下出血は脳の表面にある血管に動脈瘤(こぶ)ができ、破れて表面に出血する病気です。
流れ出た血液は脳表面のくも膜下に溜まり、出血量に応じて脳が圧迫されていくため脳が壊されていきます。

■脳卒中というカテゴリ

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血は脳の血管に障害が起こる「脳卒中」というカテゴリに属し、血管が詰まる脳梗塞と血管が破れる脳出血・くも膜下出血に分けられます。

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

インフルエンザ

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

インフルエンザとはどんな病気?

インフルエンザとは

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる感染症です。

風邪はさまざまなウイルスが原因となって感染しますが、インフルエンザはインフルエンザウイルスからの感染のみが発症する原因となります。

インフルエンザと風邪は初期症状が似ているため、発症してすぐは勘違いすることが多くあります。

インフルエンザの場合、発症してから1~3日で38℃を超える高熱やのどの痛み、頭痛、全身のだるさ、関節痛などの全身症状が急激に現れます。
風邪は一般的にゆるやかに症状が現れるケースが多く、このように短期間で急速に症状が悪化するのがインフルエンザの特徴と言えます。

治療は薬の服用と十分な休養、栄養補給により、1週間ほどで症状が治まることがほとんどです。
まれに肺炎や気管支炎、脳症などの合併症を引き起こし、重症化する恐れもあります。

インフルエンザの流行時期

毎年流行する季節性のインフルエンザは、例年11・12月頃から流行が始まり、1月~3月頃にピークを迎えます。

近年では4月以降にもインフルエンザの流行が続き、学級閉鎖になるケースなども見られるので、普段流行しない時期であっても注意は必要です。

2016/17年に流行したインフルエンザ

2016年に、国内で最初に流行したのは「A香港型」ウイルスでした。

2016/17年シーズンはA型が収束した4月中旬になってB型が流行し、一部の地域では新学期早々に学級閉鎖にまで追い込まれました。
「春インフル」という言葉も話題となりました。

最新のインフルエンザの流行情報については、全国の市区町村や厚生労働省のホームページにて確認していただくことができます。

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

高血圧

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

高血圧についての基本知識

「高血圧」とは?

高血圧とは、血圧が平均的な数値よりも高い状態のことを言います。
継続的に血圧が高い場合は「高血圧症」とも言われ、合併症を引き起こしやすい状態です。
精神状態や時間帯で血圧が大きく変化する人もみられ、症状もめまいや動機など多岐にわたるため、すぐには「高血圧」と判別しにくい病気です。

高血圧の種類は要因によって異なる

高血圧は大きく2種類に分類されます。1つはホルモン分泌の異常や腎臓疾患、薬の副作用が原因とされる「二次性高血圧」というものです。他の病気や治療するときの薬によって血圧が高まっているため、その要因を取り除けば高血圧も自然と治っていきます。

もう1つは遺伝が要因であったり、生活習慣が影響したりして血圧が高くなっている「本態性高血圧」です。日本における高血圧は、この本態性高血圧が9割を占めています。

血圧は精神的にも変化するもので、病院に来たら血圧が上昇する「白衣高血圧」や、反対に病院では問題ないが、家庭で計測すると血圧が高い「仮面高血圧」といった高血圧もあります。

他にも早朝に血圧が上がる「早朝高血圧」、夜間の血圧が高い「夜間高血圧」といった、時間帯で現れる高血圧も注目され始めています。

ここでは、「本態性高血圧」について詳しく解説していきます。

「血圧」についての説明と数値基準

血圧とは血管内の血流による圧力です。
心臓が血を送り出すときの高い血圧を収縮期血圧といい、俗に「上の血圧」と言います。
反対に血液の流れが緩やかで低い血圧を拡張期血圧といい、「下の血圧」と表現されます。

落ち着いている状態のときに、上の血圧が139mmHg以下、下の血圧が89mmHg以下というのが年齢問わず「正常域血圧」とされています。
一方、上の血圧が140mmHg、下の血圧が90mmHgより高い状態なら、「高血圧」といえます。

年齢や合併症によって変わる血圧の「目標値」

高齢の方と若い方では、血圧の「目標値」が変わってきます。人間は歳を取ると臓器の働きが弱くなり、自然と血圧も高くなるためです。目標値は高血圧と診断される数値で、上回っている場合は「ここまで下げましょう」という数値のことです。

75歳以下の方の目標値は前述のとおり、上の血圧が135~139mmHg以下、下の血圧が89mmHg以下となっています。
それに対して75歳以上のかたの目標値は、上の血圧が145mmHg、下の血圧が85mmHgと上の血圧は高めに、下の血圧は低めに設定されています。
糖尿病や慢性腎臓病などの合併症を発症している方の血圧目標値も、それぞれ設定されています。

血圧の基準値

分類収縮期血圧(最高血圧)  拡張期血圧(最低血圧)
至適血圧<120 かつ <80
正常血圧120~129 かつ/または 80~84
正常高値血圧130~139 かつ/または 85~89
I度高血圧140~159 かつ/または 90~99
II度高血圧160~179 かつ/または 100~109
III度高血圧≧180 かつ/または ≧110
(孤立性)収縮期高血圧≧140 かつ <90

※赤字部分が一般的にいう高血圧
【参考】 
日本高血圧学会ホームページより高血圧治療ガイドライン2014電子版

至適血圧・・・脳卒中や心筋梗塞など、血圧が関係する病気のリスクが低いとされる最適な血圧正常血圧・・・至適血圧よりリスクは上がるが、正常な血圧

正常値高血圧・・・高血圧の注意が必要

I度高血圧・・・高血圧の程度が比較的低い

II度高血圧・・・高血圧の程度が中程度

III度高血圧・・・高血圧の程度が高い

「至適血圧」~「正常値高血圧」の数値に納まっていれば、いますぐに高血圧の治療を始める必要はありません。
ただし、血圧は日頃の生活習慣に大きく影響されるため、油断せず運動と食事のバランスに気をつけましょう。

計測環境ごとの基準値

計測環境ごとの高血圧基準収縮期血圧(上)拡張期血圧(下)
家庭血圧135以上または85以上
診察室血圧140以上または90以上
自由行動下血圧(24時間)130以上または80以上
自由行動下血圧(昼間)135以上または85以上
自由行動下血圧(夜間)120以上または70以上
(単位 : mmHg)

家庭血圧・・・自宅で計測したときの血圧

診察室血圧・・・病院で計測したときの血圧

自由行動血圧・・・計測器具を身につけた状態で、一定間隔おきに計測したときの血圧

【参考】 日本高血圧学会ホームページより高血圧治療ガイドライン2014電子版

血圧は測定する環境によって数値が変わりやすいため、環境ごとに基準が定められています。
診察室血圧では、緊張で数値が高めに出る場合があります。診察室血圧が家庭血圧よりも低く出る方もいます。
家庭血圧では計測ミスを防ぐため、原則2回計測し、平均値を出します。家庭血圧と診察室血圧に差がある場合、診断の際には家庭血圧が重要視されます。
診察室血圧のみ高血圧の数値になる場合、白衣高血圧と呼ばれ、家庭血圧のみ高血圧の数値になる場合、仮面高血圧と呼ばれます。
白衣高血圧は病院での緊張が原因で血圧が上がっているものと考えられ、あまり治療の対象となりません。仮面高血圧の原因には、職場や家庭のストレスが考えられます。

年代、性別の血圧平均値

血圧が正常値の割合 年代別 一覧表

血圧正常値30代40代50代60代70代
女性85%65%43%26%19%
男性62%41%31%22%18%

【参考】 日本高血圧学会ホームページより高血圧治療ガイドライン2014電子版

40代までに高血圧になっている人の男女比は、男性の方が多い傾向にあります。これは男性が食生活や生活習慣を乱しがちなためだといわれています。
50代になると女性が高血圧になる比率が高まっています。女性は更年期に入ると女性ホルモンが減少し、血圧の調整機能が低下するためです。

板東浩先生
 【監修医】医学博士 / 内科医: 板東浩 先生
 1957年生まれ。
 1981年 徳島大学を卒業。
 ECFMG資格を得て、米国でfamily medicineを臨床研修。
 抗加齢医学、糖質制限、プライマリ・ケア、統合医療などの研究を行う。

虫刺され

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

虫さされとは?

虫さされとは、皮膚が虫に刺されたり触れたりした箇所にできるピンク色や赤色の盛り上がった発疹です。
日常的な「虫さされ」※とは、大きく4つに分けることができます。

1.吸血する

蚊、ブユ、アブ、ダニ、ノミ、シラミ

2.噛む

クモ、ムカデ

3.刺す

4.触れると皮膚が炎症を起こす

毛虫

※砂漠のサソリや、クラゲやヒトデといった海洋生物は除きます。

虫の種類別、症状と対処法

白と黒のシマシマ模様が特徴のヒトスジシマカ、日本脳炎やフィラリアの仲介役となるアカイエカなど、日本には約60種類の蚊が生息しています。
痒みの原因は、血を吸う時に血が固まらないよう注入する唾液です。成虫は普段、花の蜜や果実の汁を吸っていますが、栄養が必要になる産卵の時期に人間や家畜など動物の血を吸います。

刺されてしまった場合は患部を清潔にし、炎症にあわせて市販の虫さされ薬、抗菌薬やステロイドの塗り薬を使い分けます。
また、高熱が出たり潰瘍になったりした場合は、「蚊アレルギー」の可能性があるので皮膚科を受診しましょう。

ブユ、アブ

ブユもアブも、メスだけが人間や家畜などの動物の血を吸います。そのため、蜂とは異なり、自ら人間に寄ってきます。

また、蚊とは異なり皮膚を噛み切って吸血するため、吸血時には痛みをともない、また注入される唾液によってしだいに患部に激しい腫れと痒みの症状があらわれます。
症状は一ヶ月など長期間にわたることもあり、赤いしこりが長く残ることもあります。

ブユやアブに刺されてしまった場合は、皮膚科を受診しましょう。放置すると症状が長引いたり、掻きむしった患部から細菌感染を引き起こしたりする可能性があるため、できるだけ医師の診断と治療を受けた方が良いでしょう。
実際の治療では、抗生物質とステロイド剤、痛み止めなどで治療します。

ダニ

ダニは地球上のあらゆる場所に生息しており、日本では約600種類が知られています。ダニは昆虫ではなくクモに近い仲間(足の数が成虫になると8本になる)で、シラミとノミは昆虫となります。
日常で害が多いのはイエダニです。室内に生息しておりネズミに寄生し、人間の血液を吸います。
ツメダニやトゲダニは体液を吸います。皮膚が柔らかい太ももや腕の内側、腹部などが狙われやすく、痒みを伴う赤い発疹の症状が出ます。

野外ではマダニに注意が必要です。吸血のために1~2週間は患部にくっついたままとなり、無理に引き抜くと頭部が残る、感染症を引き起こすなどのリスクがともなうので、この場合も皮膚科を受診しましょう。

クモ

ほとんどのクモが捕食のために毒を持っています。人を死に至らしめるほどの猛毒を持つクモはいないものの、「カバキコマチグモ」や「セアカゴケグモ」は猛毒を持っているので注意が必要です。
「カバキコマチグモ」は山地を問わず草むらや水田、山林など至る所に生息しています。

クモに噛まれると激痛を伴う腫れの症状があらわれます。そのため、噛まれたらすぐに医師の診断を受けましょう。

ムカデ

ムカデは夜行性で、落ち葉や朽ち木の下など暗い場所に住んでいます。そのため目はほとんど退化していますが、ニオイや振動に敏感で、素早い動きもあわせもっています。かなり強い毒を持っており、トカゲやヒキガエルなどを捕食します。

人間が噛まれた場合は激痛が走って患部が腫れ、しびれを引き起こします。また、蜂に刺されたときのようなショック症状「アナフィラキシーショック」を起こすこともあります。

人間を刺す蜂の代表的なものはアシナガバチ、スズメバチです。ミツバチは養蜂家の方以外の一般人はあまり刺されることはなく、刺されるケースは稀です。蜂の被害は秋の野外レジャーで多く、刺されると患部に激しい痛みを伴い赤く腫れます。

これはハチ毒の刺激作用によるもので、初めて刺された場合は通常1日以内に症状は治まるものの、2回目以降は蜂の毒に対するアレルギー反応があらわれます。刺された直後から蕁麻疹の症状や、1~2日すると強い発赤や腫れが起こります。

人によってはショック症状として「アナフィラキシーショック」を起こし、しびれる、意識喪失、血圧低下などで死に至ることもあります。

ケムシ

蝶や蛾の幼虫(ケムシ/イモムシ)の毛に触れることで、腫れて痒みを起こすことがあります。これは、有毒毛を持つケムシに触れた場合に起こる皮膚炎です。
有毒毛には毒針毛(どくしんもう)と毒棘(どくきょく)があり、毒針毛はドクガ類(ドクガ、チャドクガなど)、毒棘はイラガ類(イラガ、ヒロヘリアオイラガなど)の幼虫にあります。これに触れると、激しい痒みを伴う蕁麻疹のような症状があらわれます。

非常に強い痒みを伴うため、掻きむしって細菌感染してしまい、化膿する恐れがあります。
薬は、抗生物質が配合されたものを使用するのがおすすめです。

虫の種類別、症状と対処法

虫よけを使用するときのマナー

最近ではさまざまなタイプの虫よけが市販されており、レジャーの際や普段のお出かけの時に使用する方も多くいます。
しかし、虫を観察するような昆虫館などの場では、使用を避ける必要があります。虫よけもその場のルールを確認し、状況にあわせて使用するのが良いでしょう。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

脂質異常症

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

自覚症状がないから危険!着実に寿命を縮める脂質異常症

脂質異常症の最大の問題は、症状が何もないという点です。

気づかないうちに、血管の壁にコレステロールが蓄積してプラーク(こぶ)となり、血液の通り道がふさがれる動脈硬化におちいります。
脳の血管が詰まれば脳梗塞に、心臓の血管なら心筋梗塞になるリスクがあります。

数値に異常があり、再検査と言われても症状がないために放置する人が多いですが、それは自分の寿命を縮めているに過ぎません。
脂質異常症は10年20年先を見据えて治療すべき病気です。無視せずこつこつとケアに励みましょう。

脂質異常症は動脈硬化から突然死を招く怖い病気

最近の自分のコレステロールや中性脂肪の把握は、職場や自治体の健康診断や定期的に医療機関にかかっているという方であれば血液検査でチェックできているでしょう。

一方、何年も検査をしておらず、わからないという方もいるはずです。

脂質異常症の診断基準とは?

血液中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪(トリグリセライド)が過剰に多いことや、善玉コレステロール(HDLコレステロール)が不足している状態になっていると脂質異常症と診断されます。
具体的な数値は下記の通りです。

■悪玉コレステロール(LDLコレステロール):140mg/dL以上
■善玉コレステロール(HDLコレステロール):40mg/dL未満
■中性脂肪(トリグリセライド):150mg/dL以上

定期的な血液検査が健康度を知るチャンス

突然の脳梗塞などのリスクを減少させたいとお考えであれば、何よりまず自分のコレステロールや中性脂肪の数値を認識することが肝心です。
血液検査を受けてください。

検査の頻度は年1回の健診が目安です。35歳ぐらいから気にした方がいいでしょう。
職場の定期健診などの機会がない方は自治体の健診に申し込んだり、医療機関で検査を受けたりすることをおすすめします。

また、一度でも健診で引っかかったという方は医療機関を受診し、医師の指導通りに対策をして数値をコントロールするように心がけましょう。

注意すべきは脂っこい食べ物が好きな人と更年期以降の女性

夜遅くご飯を食べたり、丼物などの脂っこい食事をとりすぎたり、運動不足で肥満になっている人は危険です。
また、親が脂質異常症だとなりやすいとも言われています。

さらに、60歳以上の女性にも多く見られます。女性ホルモンには善玉コレステロールを上げる作用があるために女性は脂質異常症になりにくいものの、閉経すると女性ホルモンが減少するため、悪玉コレステロールが高くなるのです。
更年期以降の女性は、問題がないかチェックしましょう。

注意すべきは脂っこい食べ物が好きな人と更年期以降の女性

体調変化は感じないが続けてほしい「薬物治療」

症状がないのに薬を飲むのは億劫かもしれませんが、薬は1日1回服用すればよいものがほとんどです。
1か月に1回程度通院し、経過を診ていきます。個人差もありますが、服用後1か月程度で結果が出ます。

基本的に服用は一生ですが、高齢になったら薬が要らなくなるケースもあります。
体質や生活リズムが変わって食事量が減って痩せたことで数値が安定するからです。

脂質異常症の治療と予防のための「食事管理」

脂質異常症の大きな原因は食べ過ぎなどの食生活の乱れにあります。そのため、治療や予防のためには、1日3食、規則正しく食べることが重要です。

もともと規則正しい生活ができていたり、食事管理をきちんとしてくれる家族がいたりすればさほど問題ありません。
しかし、比較的深刻なのが一人暮らしの若い男性です。

20~30代の若い方で、朝・昼は食べず夕食だけという人や、昼間は缶コーヒーだけ、毎晩コンビニ弁当で野菜もあまり食べていない、というような食生活をしていれば若いうちからコレステロール値が高くなってしまいます。

そのままの生活を続けると、一生の間のコレステロールの平均値も上がってしまい、寿命も縮まってしまうでしょう。

そこで、おすすめしたいのが食物繊維をたくさん摂ることです。
お野菜、大豆、海藻類に含まれる食物繊維はコレステロールや脂質を身体が吸収するのを抑えてくれるので、食事をする際は先に食べるのがいいでしょう。

脂質異常症ケアに役立つ食生活は糖尿病などの他の生活習慣病ケアにも役立ちます。ぜひ実践していきましょう。

コレステロール・中性脂肪を減らす「有酸素運動」

脂質異常症のケアに不可欠なのが運動療法です。おすすめは、有酸素運動をすることです。

ダンベルを持ち上げるような、いわゆる筋トレというよりは、お話を笑顔でできる程度のペースでするウォーキングや、遅めのランニング、水中ウォーキングがおすすめです。
それらの有酸素運動を1日30分くらい、週3回程度できればいいでしょう。

無理に激しい運動を目標にしてしまうと身体に負担をかけることになり、逆効果になることもあります。
最寄り駅まで自転車を使っていたという方は歩いていくようにしたり、エスカレーターをやめて階段を使ったりなど、無理なく続く方法を選択してください。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

紫外線

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

紫外線とは?

紫外線とは?

紫外線は、太陽の光に含まれる光線のうちの一つです。この紫外線は波長の違いで種類がわかれます。
そのうち、地上まで到着するのがA波(UV-A)とB波(UV-B)です。

A波(UV-A)

A波は波長が長いため、真皮の奥までじわじわと影響を与えます。私たちが浴びる紫外線の4~9割以上がA波です。
ガラスを通り抜けるほどの威力を持っているため、レストランなどの室内にいても窓際なら浴びてしまいます。

B波(UV-B)

波長の短いB波は、A波に比べて量は少ないかわりに強いエネルギーを持ち、皮膚に対する刺激が強いのが特徴です。
日焼けで炎症を起こして赤く腫れ上がるのはこのB波の仕業だといえます。

紫外線トラブルの症状

紫外線によるダメージは蓄積されると、同じ年齢でもシミが多くなったり、ハリがなくなったりと、肌の若々しさに差が生まれてきます。
特にターンオーバーが乱れてくすみがちな肌にシミの発生が重なると、肌の透明感はますますなくなる悪循環に陥り、見た目年齢がさらにダウンしてしまいます。

また、紫外線はシミやそばかす、しわなどを作るだけでなく、最悪の場合「皮膚がん」を起こすなど肌への影響が顕著にみられます。
さらには、目にもダメージを与え、失明に至るともされる白内障を引き起こすこともあります。免疫力を低下させ、感染症などになりやすくなってしまいます。

紫外線トラブルの対策と処置

紫外線を浴びて肌が赤くなったら炎症の証です。水で冷やし、ほてりをしずめましょう。ビタミンEやCを含んだクリームを塗るのもおすすめです。
ビタミンEは炎症をしずめ、ビタミンCは肌の弾力のカギであるコラーゲンの生成にも関与しています。これらの成分を含む食材を積極的に摂るのもよいでしょう。

しかし、紫外線によって水疱ができたり、発熱や頭痛が生じたりしたときは医療機関をしっかり受診しましょう。

ビタミンEの代表食材

玄米、ごま、ピーナッツ、大豆、アボカド

ビタミンCの代表食材

みかん、いちご、緑黄色野菜

紫外線トラブルの予防法

紫外線対策は、まさに見た目年齢の要です。「肌は紫外線で歳をとる」ともいえるため、いま目に見えるトラブルがなくても、紫外線に無防備でいると、数年後は後悔することになりかねません。

日差しの強い弱いに関わらず、夏場はきちんと日焼け止めを使いましょう。首のうしろや手の甲などにもムラなく塗るようにしてください。曇りでも影響はあるため、塗り忘れは禁物です。

日焼け止めにも種類があり、シーンに合わせて選ぶと効果的です。SPFやPAの数値が高いほどガードしてくれますが、肌に負担を感じる方もいるはず。肌質も配慮しましょう。子供は大人と同じ日焼け止めを使うと毛穴をふさいでしまいニキビになりやすいので、子供用を使うことをおすすめします。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

風疹

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

風疹とは

子供のときと大人になったときの風疹の症状と特徴

38℃くらいの発熱、目の充血、のどのはれと痛みといった風邪に似た症状とともに、小さな赤い発疹が、顔、体、手足など全身にでます。
この発疹にかゆみはほとんどなく、はしかのように発疹が大きくなることもありません。また、耳のうしろのリンパ節がはれて痛む点も特徴です。

これらの症状は、3~4日でおさまります。そのため、「3日はしか」と呼ばれることもあります。

風疹の症状は、子どものうちは比較的軽いものですが、まれなケースとして脳炎や血小板減少性紫斑症(けっしょうばんげんしょうせいしはんしょう)など合併症が発生することがあります。

また、子どもの感染症と思われがちですが、大人が感染すると、発熱や発疹期間が長く(一週間かそれ以上)、関節痛がひどいなど、子どもと比較し症状が重くなることが多いと言われています。

風疹にかかる原因はウイルス

風疹ウイルスへの感染が原因です。春先から初夏にかけて流行する傾向があります。潜伏期間は2~3週間です。
一度感染すると免疫ができ、多くの人は生涯かかることはありません。感染しても明らかな症状が出ることなく免疫ができてしまう人もいます。
風疹にかかったことがあるかどうかは、血液検査で調べられます。医師に相談しましょう。

風疹ウイルスの感染力は弱いですが、感染しても発症しないことがあることから、知らないうちに他の人にうつしてしまいます。感染の原因は主に飛沫感染であり、風疹ウイルスをもった人のくしゃみや会話などの唾液しぶきなどから感染します。

風疹の治療

通常は、安静にしていれば問題ありません、症状が重い場合には、症状を緩和する対症療法が行われます。
二次感染予防のために、抗菌薬が使われることもあります。

予防方法

ワクチンの予防接種をします。(後述)

大人の風疹は、とくに男性の割合が多い

子どもの頃に予防接種を受けなかった成人に多く、とくに男性の割合が多い

患者は成人が9割で、とくに男性は20~40代に多く、男女差は3.7倍程です

風疹患者の性別年齢分布(2010年~2013年)
https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/34/398/graph/f3983j.gif

2014年度の感染症流行予測調査によると、30代前半~50代前半の成人男性の5人に1人は風疹の免疫を持っていませんでした。
20代の男性は10人に1人、30代後半の男性では5人に1人です。

この男女比および世代比の差は、風疹の定期予防摂取制度の変遷によるもので、成人になって風疹にかかる人の多くは、子どもの頃に予防接種の機会がなかったためです。

予防接種は、以前は女子中学生のみを対象としてきましたが、1995年より生後12ヶ月から90ヶ月未満の男女小児、および、中学生男女となりました。

2014年7月~9月に実施された抗体化測定:赤血球凝集抑制法(2015年3月時点)HI法で8未満

参照:NID国立感染症研究所 平成26年度(2014年)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/y-graphs/5502-rubella-yosoku-serum2014.html

風疹にかかると、妊娠中の女性が近くにいた場合、風疹をうつし、赤ちゃんが先天性風疹症候群となって生まれてくる可能性があります。

大人の風疹は、とくに男性の割合が多い

先天性風疹症候群とは

風疹に対する免疫が不十分な妊娠初期の女性が風疹ウイルスに感染することで胎児も感染してしまい、生まれてきた赤ちゃんが難聴、心疾患、白内障、そして精神や身体の発達の遅れ等が見られる可能性があります。これらの病気を先天性風疹症候群と呼びます。

予防のために、予防接種を受けてください

大人になる前に予防接種を!

これまで風疹の予防接種を受けたことがない人は、男女関係なく風疹ワクチンを接種しましょう。
前述のとおり、通常、風疹の症状自体は重いものではありませんが、まれに合併症を引き起こし、重症化するケースがあります。

また、妊婦への感染および先天性風疹症候群発症の可能性もありますので、家族もできれば早めに、予防接種を受けてください。

風疹は一度かかると生涯かかることはありませんが、「子どもの頃に風疹にかかった」「予防接種を受けた」と家族に言われても、『記録』がなければ医療機関に相談してください。
すでに風疹にかかったと『記憶』のある人たちに血液検査を行ったところ、約半数は記憶違いか、風疹に似た他の病気にかかっていたというケースがあるようです。

もし、風疹にかかったことが血液検査によって確かめられていない場合は、予防接種を受けることをおすすめします。
本当に子どもの頃に風疹にかかったことがあったとしても、成人になって予防接種を受けることに問題はありません。

成人女性の予防接種

妊娠中は予防接種することができません。妊娠出産年齢の女性にワクチン接種する場合は、妊娠していない時期(生理中あるいはその直後が確実)にワクチン接種を行い、その後2ヶ月間は避妊しましょう。

妊娠中に風疹ワクチンを接種したために胎児に障害が出たという報告は現時点ではありませんが、理論的に100%危険の可能性がないとは言えないため、注意が必要です。

風疹ワクチンとは

弱毒性を行った種(たね)ウイルスを培養・増殖させて凍結乾燥したものを接種します。
通常の風疹感染とは異なり、ほとんど症状が出ませんが、風疹ウイルスに対する免疫を得ることができます。
麻疹(はしか)ワクチンと混合した麻疹風疹混合ワクチンが定期予防接種に用いられています。

予防接種の費用

自己負担になります。接種を行っている医療機関にお問い合わせください。料金の設定は、医療機関によって異なります。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

てんかん

【監修】北村 聖 先生(東京大学医学教育国際協力研究センター教授)

てんかんとは?

てんかんは、突然けいれん(けいれん)や意識障害を起こす病気で、大脳の神経細胞を一定のリズムで流れている電気信号が突発的に過剰に放出されることによって起こるといわれています。この病気の発症率は100人に1人といわれており、珍しい病気ではありません。
発症年齢は、乳幼児から高齢者までと幅広く、約80%が18歳以下で発症しています。そのなかでも3歳までに発症する割合が最も多くなっています。

てんかんの発作は、そのままにしておくと症状を抑えることが難しくなります。そのため、症状が現れたら、なるべく早くてんかんの専門外来がある病院、または神経内科を受診しましょう。

てんかんの主な症状

てんかんの主な症状としては、けいれんや意識障害などの発作があげられます。てんかんの発作には「動きが止まりボーッとする」「手足の一部をもぞもぞさせる」といった比較的軽度なものから、「突然手足が突っ張る」「全身を震わせる」「バタンと倒れて体を激しく硬直させる」といった重度のものまであります。

また、発作を繰り返し起こすのが特徴で、患者さんによって発作型はだいたい決まっています。

主なてんかんの発作型

てんかんの発作は大きく「部分発作」と「全般発作」に分けられます。

部分発作

発作型症状
単純部分発作体の一部分に症状が現れる発作。意識ははっきりしている。手足の一部に現れていた発作が徐々に両手両足へと進んでいく状態を「ジャクソン行進」という
複雑部分発作単純部分発作からの移行、または初めから意識が薄れた状態での発作。約1~2分で回復する。症状が進むと手足の痙攣が激しくなったり、口から泡を吹いたり、意識を失うこともある

全般発作

発作型症状
強直間代発作体が硬直して倒れ、全身が痙攣し、意識を失う。約1~2分で回復する。回復後、発作のことを覚えていない場合が多い
欠神発作5~15歳で多くみられる数秒から数十秒程度の短い発作。動作が止まり、反応がなくなる。発作中に体がピクピクと痙攣することがある。回復後、発作のことを覚えていない場合が多い
点頭発作両手を振り上げたり、ガクンと頭を垂れたりする発作で何度も繰り返す。生後数ヵ月で発症し、3歳までに多くみられる。3歳以降は、ほかの発作型に移行する場合が多い
脱力発作瞬間的に筋肉の力が抜けたり意識を失ったりする発作。乳幼児に多くみられ、突然地面に倒れこんでケガをすることもあるため注意が必要
ミオクロニー発作全身または体の一部分が瞬間的にビクンと痙攣する。意識ははっきりしているが、手に持っているものを落とすことなどもあるため注意が必要
てんかん重積状態発作が15分以上続いたり、意識が回復しないうちに次の発作が始まったりする。呼吸困難に陥り、心臓や脳に重い障害が残ることや、死に至ることもある

てんかんの発症原因とは?

てんかんには原因がわからない「特発性てんかん」と、脳の病気や傷が原因といわれている「症候性てんかん」があります。患者さんの割合としては、特発性てんかんが多くなっています。

てんかんは遺伝するという説もありますが、実際には遺伝子が関与しているのはごく一部であり、ほとんどは遺伝せず接触による感染もありません。

てんかんの検査と診断

てんかんの診断には脳波検査が欠かせません。そのほか、CT(コンピュータ断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像法)、SPECT(単光子放射線コンピュータ断層撮影法)やPET(陽電子放射断層撮影法)による画像診断や、血液検査、尿検査を行います。

さまざまな検査

各検査項目の内容は下記の通りとなります。

脳波検査
脳波を測定して異常を発見し、発作型を診断する。
CT、MRI
てんかんの原因となる脳の異常を発見する。
SPECT
脳の血流をみる検査。脳の血流が激しくなっている部分を発見する。
PET
脳の代謝機能などを測定する。
血液検査・尿検査
薬を長期間服用するため、貧血、肝機能の状態を調べる。
また、治療中は薬の血中濃度も調べる。

てんかんの発作では意識が薄れたり失ったりすることが多いので、患者さんは症状をうまく説明することができません。そのため、発作の様子を見た人への問診が診断のカギとなります。

病院を受診の際は、発作の状況を詳しく説明できる人に付き添ってもらいましょう。また、正しい診断を受けるため、自分でも発作の様子を細かく聞いて記録しておくことが大切です。

正しい診断を受けるために記録しておきたい項目

自分で発作の様子を記録する際は、下記の項目を重視しましょう。

  • ・どういう変化が起こって発作に気づいたのか
  • ・頭や目はどちらを向いていたか
  • ・顔や唇の血色、唾液の量は
  • ・手足のけいれんや硬直の様子は
  • ・手足以外のけいれんや硬直の様子は
  • ・体の左右で発作の程度に差があったか
  • ・発作中に意識はあったか(声をかけて確かめてもらう)
  • ・発作は何分間続いたか
  • ・回復直後の様子は(ぼんやりしていた、意味不明の言葉を発した、眠ったなど)
  • ・発作によってケガをしたか

てんかんの治療法は?

てんかんの治療は、薬物療法と手術の2つを中心に行われます。現在では、薬を服用して発作を抑制する薬物療法が主流となっており、正しく服用すればほとんどの発作を抑制できるといわれています。

薬物療法
脳の神経細胞の異常な放電を抑制する抗てんかん薬を使用します。抗てんかん薬にはさまざまな種類があり、発作型や年齢・性別などにより選択されます。

まず1種類から服用を始め、効果がみられない場合は2種類以上の薬を併用します。患者さんの体質などによって効き目に個人差があるため、薬の血中濃度を調べて脳内における濃度を推測し、患者さんに適した服用量を決定します。

抗てんかん薬の主な副作用

抗てんかん薬を使用することで起こる副作用には、下記のようなものがあります。

  • ・発疹
  • ・眠気
  • ・ふらつき
  • ・肝機能障害
  • ・血液中の白血球減少
  • ・歯肉の異常な腫れ
  • ・多毛
  • ・脱毛など

正しく服用しないと、かえって発作を誘発する恐れがあります。症状が治まったからといって自己判断で服用を止めず、医師の指示どおりの用法用量を守って服用しましょう。

発作が起こらない状態が続き、脳波にも異常が現れなくなったら医師の判断のもとに徐々に薬の量を減らしていきます。服用を完全に中止しても再発がなければ治癒したことになりますが、年に1回は定期検診を受けましょう。

手術
薬物療法の効果がみられない患者さんで、てんかんの発作を起こす脳の部位が特定されていて、切除しても障害が残らない場合に限り手術による治療が行われます。

手術内容は異常放電が脳全体に広がっていく経路を絶つ「遮断手術」と、発作を起こす脳の部位を切り取る「切除手術」があります。
また、手術をしてもすぐに発作が治まるわけではないため、しばらくは抗てんかん薬を服用する必要があります。

日常生活で気をつけること

てんかんの発作は、日常生活での刺激によって誘発されることがあります。また、発作が起こった場合を考えて下記の8つのことに気をつけましょう。

① 毎日十分な睡眠を

睡眠不足になると、発作が起こりやすくなります。規則正しい生活を心がけ、睡眠不足にならないように注意しましょう。

② 疲労やストレスをためない

疲れたら無理せず休みましょう。精神的なストレスも発作の引き金になります。心身ともにリラックスを心がけましょう。

③ パソコン、ゲームはほどほどに

パソコンやゲームなどで長時間画面を見続けると、発作が誘発されることがあるので控えましょう。

④ テレビを見るときの環境にも注意

テレビを見るときは、部屋を明るくして画面から適度な距離を保ちましょう。アニメーションなどの点滅光や赤色の光は発作を誘発する恐れがあります。

⑤ 飲酒を控える

飲酒は発作を誘発する恐れがあります。また、酩酊状態での発作は嘔吐の恐れもあり、非常に危険です。

⑥ 激しい運動を控える

激しい運動は、過呼吸になり発作を引き起こす恐れがあります。リラックスして楽しめる程度の運動を心がけましょう。また、発作が起こったときのために単独行動は避けましょう。

⑦ 入浴は周囲の人に声をかけてから

入浴は発作を誘発する恐れがありますので、必ず周囲の人に声をかけましょう。また、入浴中の発作は、溺れたり火傷したりする恐れがあります。浴槽のお湯は少なめにし、温度調節に注意しましょう。

⑧ ケガを防ぐ工夫を

発作で転倒したことがある人は、保護帽やヘルメットなどをかぶって発作によるケガを防ぎましょう。

家族や周囲の方が気をつけること

てんかんの発作を目撃したら、まずは自分が深呼吸をして落ち着きましょう。ほとんどはすぐに治まります。しかし、発作が長く続き意識が戻らない場合には、速やかに救急車を呼びましょう。

てんかんの治療には、家族や周囲の人の協力と理解が必要です。特にほかの心身の病気にもかかっている場合は、医師や臨床心理士、ソーシャルワーカーといった専門家にサポートしてもらいましょう。

また、下記の5点にも注意が必要です。

① 危険なものを遠ざける

発作中にケガをしないよう、火や機械など危険なものを遠ざけましょう。

② 楽な体勢をとらせる

衣服の襟元やベルトを緩め、楽な体勢にしてあげましょう。メガネは外し、コンタクトレンズにも注意しましょう。

③ 窒息するのを防ぐ

吐いたものや唾液を取り除いて、窒息するのを防ぎましょう。激しく突っ張ったり、けいれんしたりしている場合は、下あごに手を当てて上に押し上げ、呼吸をしやすくして舌を噛むことを防ぎましょう。
口の中に指や固いものを差し込むことは、かえって口の中を傷つけたり、窒息したりする危険があります。また、発作が治まってもしばらくは飲食物を取らせないようにしましょう。

④ 静かに見守る

大声で呼び掛けたりゆすったり、無理に押さえつけたりしないようにしましょう。

⑤ 発作が治まったら

発作が治まったら顔を横に向け、呼吸が落ちついて意識が回復するまで静かに寝かせましょう。

家族や周囲の方が気をつけること

 

監修/北村 聖 先生
東京大学医学教育国際協力研究センター教授

熱中症

【監修】板東 浩 先生(医学博士、内科医)

熱中症とは

熱中症は、身体が高温になり脱水症状が続いていると体温調節機能が破綻し、意識を失う危険性がある症状です。身体が熱いと、身体は体温を調節しようと発汗したり血管を拡張させたりします。しかし、水分を補給せず高温の場所にいると、脱水症状に陥り危険です。

また、その状態に加えて体温調節機能や血液循環機能が低下していき、脳へ血液が回らず、意識を失う可能性があります。

熱中症の予防

予防には、エアコンや扇風機などをうまく取り入れた室温調整、塩分を含んだ水分補給、十分な休息、また日々の体調管理が大切です。

熱中症の症状

熱中症は、熱失神・熱痙攣(ねつけいれん)・熱疲労・熱射病の4つに分かれます。また、比較的軽症である熱失神や熱痙攣はI度、中程度である熱疲労はII度、重症である熱射病はIII度というように、症状の程度によって位置付けられています 。

症状病態
熱失神(Ⅰ度)顔面蒼白、頻脈、めまい、立ちくらみ、生あくび、数秒間の失神、呼吸数の増加血管が広がって血圧が低下し、脳への血流が減少している状態
熱痙攣(Ⅰ度)多量発汗、吐き気、口渇、痛みを伴う痙攣(腹部、手足)など多量の発汗に伴って、筋肉の収縮に必要な血液中の塩分が不足した状態
熱疲労(Ⅱ度)倦怠感、虚脱感、頭痛、嘔吐、血圧低下、多量発汗、高体温(40℃以下) など多量発汗による体重比2%以上の脱水や、血液中の塩分などが不足した状態
熱射病(Ⅲ度)熱失神、熱痙攣、熱疲労の症状全般、臓器の機能障害、意識障害、過呼吸、体温調節機能の障害による高体温(40℃以上) など熱失神、熱痙攣、熱疲労の病態がより進行した状態

熱中症になる危険要因

一般的に熱中症の発症年齢は、乳幼児から高齢者までと幅広く、なかでも高温多湿である夏に発症率が高いと言われています。しかし、熱中症を誘発する要因は高温多湿という環境要因のみでなく、行動要因、衣類要因、不摂生・年齢・体調といった個人の身体要因も関わってきます。
危険要因を知ればおのずと予防策も見えてくるので、自分の状態や生活環境などを振り返ってみましょう。

環境要因

気温が高いことが危険要因であること以外に、湿度や風の有無、屋内の環境も深く関係してきます。湿度が高いと汗の蒸発による身体の冷却効果が低下するので、熱中症を引き起こしやすい環境となります。
また風(自然や扇風機を含む)があることで汗の蒸発が促進されますが、風が弱いあるいは無風状態(閉め切った屋内・屋外を含む)は熱中症の危険要因となります。しかし、身体表面温度を上回るような高温の環境下においては、風が熱を身体に送り込むことになるので、この場合は熱風自体が危険要因となります。
エアコンや扇風機といった家電などを有効活用し、熱中症を予防しましょう。

行動要因

農業を含む屋外での筋肉運動、激しいスポーツにおいて、十分な休憩をとれない、自分のペースで作業できない点が危険要因となります。運動を行えば筋肉から熱が発生します。自分の健康状態に合っていない作業を十分な休憩を取らずに行うと、上昇した体温の回復が間に合わず、熱中症を発症させる危険が高まります。
気温や湿度を鑑み、労働時間や休憩、水分補給のタイミングを調整しましょう。

【参考】 厚生労働省 職場での熱中症による死亡災害及び労働災害の発生状況(平成24年)

行動要因

衣類要因

主に職場での服装の問題となりますが、防護性が高い衣類ほど透湿性・通気性が悪い傾向があります。透湿性・通気性が悪い衣類は保温性・断熱性も高く、身体からの放熱を阻害するため体温上昇を促し、熱中症を誘発します。

このような衣類を着用する職場などにおいては、それを考慮した休憩時間、水分、空調を整えることが必要です。
暑い環境で働く労働者に対して、小さな扇風機が内蔵されているジャンパーが開発され、熱中症に対する効果がみられています。

時間的要因

暑い環境での長時間にわたる行動が熱中症を誘発することは言うまでもありませんが、急激な環境変化における行動にも注意が必要です。人間の身体は周りの環境にある程度は慣らしていくことができますが、慣れていない状態の人が急に暑い環境にさらされると、身体に大きな負荷がかかります。

例えば、梅雨明けからは猛暑日が続くことが多く、気温が急上昇する梅雨明けの頃はとても危険な時期と言えます。

身体要因

50歳を過ぎると暑さに対する体温調整機能が低下し始めます。身体は体温調整力、発汗能力が衰えるだけでなく、暑さへの感度も鈍り、エアコン等で室温を調整しづらい状態になっていきます。実際に65歳以上の高齢者では、男女ともに自宅での発生が一番多い状況です。
近年は一人暮らしの高齢者も多いため、周囲からの声掛けなどの支援が必要となってきます。

また、肥満者は暑さに弱く、普段から運動の習慣が無い場合が多いため、体温調整、心臓循環機能が低下しており、熱中症のリスクが高い傾向にあります。
糖尿病患者は喉が渇きやすく、それが熱中症につながる要因の一つです。水分はたくさん摂っていてもその分尿の量も増えるため、気づかないうちに脱水症状となっていることがあります。

その他、高血圧や心疾患を治療中の場合、降圧利尿剤を服用していると利尿剤で脱水傾向になったり、ナトリウムも排泄されたりするので塩分不足になりがちになります。

応急処置

意識が無い場合は医療機関へ

暑い環境下に長時間居た場合の体調不良は、熱中症であるという点を認識してください。まずは熱中症を疑う症状の有無を確認し、その上で意識がなければ救急車を呼びます。救急車が到着するまでの間に患者を涼しい場所へと移動させ、衣類をゆるめて体を冷やします。

冷やす場所は首、脇の下、太股の付け根を集中的に冷やしてください。医療機関では、分かる範囲で患者本人が倒れた時の状況を冷静に説明しましょう。また、患者に意識があった場合も涼しい場所に移し、衣類をゆるめて体を冷やします。自力で水分および塩分を補給できなければ医療機関へ連れて行ってください。
自力で水分・塩分を補給できれば、回復するまで安静にしましょう。

 

監修/板東 浩 先生
医学博士/内科医

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