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にょうろかんせんしょう尿路感染症

更新日:2022/08/10 公開日:2019/07/09 view数:11,496

尿路感染症(にょうろかんせんしょう)、尿路におこる感染症です。「尿路」は尿が通る器官のことです。尿は腎臓で作られ腎盂(じんう)、尿管を通って膀胱にためられ、尿道から排出されます。このような器官を総称して尿路とよびます。尿道口から腸内細菌などの病原体が入り込むことで、尿路が炎症をおこします。

尿路の中でも感染する場所によって病名が変わります。病原菌が膀胱に達し炎症をおこすのが「膀胱炎」です。さらに尿管を上って腎盂にまで達し炎症をおこしているのが「腎盂腎炎」です。
尿道に細菌が感染して炎症をおこす尿道炎前立腺炎精巣上体炎、男児が発症する亀頭包皮炎なども尿路感染症の一種です。





目次
  1. 尿路感染症の症状
  2. 尿路感染症の診療科目・検査方法
  3. 尿路感染症の原因
  4. 尿路感染症の予防・治療方法・治療期間
  5. 尿路感染症の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 尿路感染症になりやすい年齢や性別

尿路感染症の症状

尿路感染症は尿路のどこで炎症がおきているか、また原因となるウイルスや細菌によっても症状は変わってきます。
全体的には、急性の場合は突然発症して症状が強いという特徴があります。また慢性の場合はそれほど強い症状はおこらず、自覚症状のない場合も多いとされています。

代表的な症状を解説していきます。

「急性単純性膀胱炎」では、排尿時痛、頻尿、残尿感、尿意切迫感、下腹部痛などがみられます。また尿に膿が混じって濁った色になったり、血尿がみられることもあります。
慢性であれば比較的症状は軽いですが、自覚症状のない場合もあります。しかし前立腺肥大症、尿路結石、神経障害、膀胱憩室などがきっかけになっていることもあります。このような基礎疾患が悪化すると、さらに「腎盂腎炎」をおこして急激に重篤な症状があらわれることもあります。

「急性単純性腎盂腎炎」では、悪寒をともなう38度以上の発熱をおこします。全身倦怠感があり、腰痛、背部痛があります。腰や背中を叩いたような「叩打痛」も特徴的な症状です。また腹痛をともなうこともあります。膀胱炎と併発することも多いため、膀胱炎症状もおこることがあります。膿尿(濁った色の尿)、血膿尿や軽度のたんぱく尿がみられる場合があります。

「急性細菌性前立腺炎」では、38度以上の発熱がおこります。全身倦怠感のほかに、排尿に関する症状として排尿時痛、尿意切迫感、排尿困難などがおこります。また会陰部への不快感や痛み、直腸診での圧痛などもおこります。敗血症をおこす場合もあるため、注意が必要です。
しかし、慢性の場合明確な症状はあまりなく、なんとなく会陰部に痛みを感じる、不快感がある、といった程度です。

尿道炎」での例としては、性的接触により感染する淋菌に感染しておこる「淋菌性尿道炎」が挙げられます。この疾患では、発症すると尿道に灼熱感をもったり、尿道口から膿が出ることもあります。このほかにも、発熱、尿の出口が赤く腫れる、頻尿などがおこります。なかには自覚症状に乏しい場合もありますが、放置すると尿道狭窄がおこる場合があります。
淋菌以外の細菌を原因とする非淋菌性尿道炎では、淋菌性より軽度のことが多く、尿道の不快感や尿に膿が混じるなどの症状がおこります。

乳児の場合は発熱、機嫌が悪い、嘔吐、食欲低下など全身の症状となってあらわれることが多くあります。感染が腎臓にまで達すると高熱、黄疸、哺乳不良などがみられます。

尿路感染症の診療科目・検査方法

排尿異常、下腹部痛、腰背部痛など、気になる症状があれば早めに内科泌尿器科を受診しましょう。乳幼児の場合、鼻やのどなど風邪症状がなく、発熱があれば尿路感染症を疑います。乳幼児や小児であれば小児科、小児泌尿器科を受診しましょう。

検査方法は以下のようになります。
まず尿検査で、尿中の白血球を顕微鏡で調べ、尿路感染の初期診断をおこないます。
尿検査では細菌、血尿の有無を確認します。必要に応じて培養検査で細菌を特定します。排尿が自立していない乳幼児の場合、正しい検査結果が得られないこともあるため幼児用採尿パックを使用するか、カテーテルにて採尿をおこないます。

精巣上体炎では、問診、触診によって多くは診断が可能です。陰嚢内状態をみるため超音波検査もおこないます。性的接触による尿路感染が疑われる場合はPCR法によるクラミジア検査もおこなうことがあります。
また、再発を繰り返す患者さんには結石やがんなどによる尿路閉塞も疑い、腹部超音波(エコー)検査、X線やCTによる仰臥位腹部単純撮影などをおこないます。

小児がはじめて尿路感染症を発症した場合は、腎尿路の超音波検査や排尿時膀胱尿道造影レントゲン検査をおこなうことが推奨されます。膀胱と尿道の形態を調べるためのウロダイナミクス検査、腎機能を調べるための核医学検査などをおこなうことも考慮する必要があります。

尿路感染症の原因

原因は大腸菌が多数で、75~90%を占めます。そのほかには肺炎桿菌、(はいえんかんきん)変形菌、ブドウ球菌などがあります。
通常であれば、侵入してきた細菌などの病原体は排尿とともに排出されます。しかしトイレを長時間我慢したり、体調が悪く免疫力が低下したりしていると、侵入した菌を排出できずに尿路にとどまるようになり、発症します。また、女性の場合は妊娠により子宮が増大し、尿管を圧迫して尿の流れが悪くなることが感染をおこしやすくなる原因のひとつではないかと考えられています。

急性膀胱炎や急性腎盂腎炎は圧倒的に女性が罹患することが多いとされています。これは女性の場合、膣や尿道口が肛門に近く尿道も男性に比べて短いため、排便や性交により細菌が侵入しやすいという身体的構造にも原因があります。

男性の場合は、細菌が膀胱まで侵入する前に排尿によって菌を洗い流すことができるため、一般的に男性が急性尿路感染症になることは少ないとされています。ただし、前立腺肥大症、尿路結石などがあると男性でも複雑性尿路感染症を発症する可能性が高くなります。前立腺の肥大や結石が尿道を塞ぐことによって尿が出にくくなり、膀胱内に尿が残り、細菌が侵入しても排尿により菌を排出しきれなくなるためです。

他にも先天異常、神経因性膀胱糖尿病、ステロイドや抗がん剤投与による感染防御力低下なども原因となります。

尿道炎の場合は、性行為などによってクラミジア淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマなどの細菌が尿道に侵入して感染します。

新生児や乳児においては、先天性の腎臓の器質的、あるいは機能異常が尿路感染症を誘発している場合もあります。排尿時に膀胱から尿管、腎臓へと逆行する膀胱尿管逆流、尿が腎臓に貯まる水腎症、尿管の下端が腫れて尿の通過障害をおこす尿管瘤、尿失禁、神経因性膀胱などが原因になっていることがあります。




尿路感染症の予防・治療方法・治療期間

単純性の場合は、おもに抗菌薬による治療をおこないます。重症の場合は入院しての治療が必要になります。

単純性膀胱炎であれば細菌を死滅させる抗菌薬を投与します。ニューキノロン系抗生物質製剤、または経口セフェム系抗生物質製剤が使用されます。3日程度で効果があらわれることが多いです。

単純性腎盂腎炎では、脱水による意識障害がある、尿の通過障害があるなど重症の場合は、入院しての治療となります。中程度の症状であれば、抗菌薬の経口投与で治療します。治療期間は7~14日間が一般的で、通常は7日間ほどの投与で治療を終えることが可能です。乳幼児、小児の場合は抗菌薬の投与を約2週間おこないます。症状が改善しなければ投与した抗菌薬が無効だったと判断し、薬剤を変更することもあります。

複雑性の場合は、基礎疾患に対する治療が必要です。そのため抗菌薬による薬物療法は補助的な位置づけとなります。たとえば膀胱炎で尿が出なくなる尿閉に合併して感染をおこしているのであれば、「膀胱留置カテーテル」をほどこし、尿閉の治療をおこないながら有効な抗菌薬を投与します。

腎盂腎炎では尿路異常が合併することがあります。尿路閉塞があればそれを治療しなければ感染をおさえることは難しいとされています。たとえば膀胱尿管逆流がおきている場合はそれが重症であるほど再発率が高いとされています。腎機能を低下させないためにも、数年間にわたり抗菌薬を投与して尿路感染症の発生を予防が必要になることがあります。

慢性前立腺炎では有効な抗菌剤と前立腺のむくみをとる薬を中心に内服します。症状が改善するまで数ヶ月単位の治療期間が必要となります。

緩和ケアを受けている患者さんに無症候性細菌尿を確認した場合は治療中の病気や腎機能、全身の状態に応じて体に負担が少ないことを考慮した治療法を検討します。

尿路感染症の治療経過(合併症・後遺症)

単純性尿路感染症の多くは抗菌薬による薬物療法による治療は効果も高く、予後も良好です。しかし、抗菌薬に対して耐性を持つ耐性菌による場合は、治療期間が長期化し、合併症をともなう確率も高くなります。
また、単純性膀胱炎は排尿習慣に問題があることで発症を繰り返すこともあります。そのため以下の項目に注意して予防するようにしましょう。

  • 尿意を我慢しない
  • 水分を多めにとる
  • 子どものトイレの自立時に排便後前から後ろへと紙で拭くように指導する
  • 陰部の清潔をこころがける
  • 冷えや過労を避けた生活をする
  • 性交渉直後に排尿する

急性前立腺炎は、放置すると慢性前立腺炎に移行する場合があります。慢性化すると治療が長期化することもあるため、注意しましょう。
閉経後の女性に発症する膀胱炎は、若年女性に比べて再発しやすいとされています。治療法は若年女性と同様ですが、再発を繰り返すケースでは全身性の基礎疾患が背景にある場合があります。
また、緩和ケアを受けている患者さんの場合、抗がん治療などによって抵抗力が低下していることなどから感染リスクは高く、治癒は難しいとされています。

尿路に異常を及ぼす悪性腫瘍などに起因している場合、基礎疾患を治癒することも困難なことが多く、膀胱留置カテーテルなどの挿入などによる複雑性尿路感染も増え、長期間にわたることもあります。そのため、耐性菌が多くなり治癒困難となるケースもあります。

尿路感染症になりやすい年齢や性別

尿路感染症全体の疫学は不明です。
尿路感染症は全体的に女性に多いとされていて、たとえば腎盂腎炎については20代~40代の女性に多くみられ、男女比は1:30であるといわれています。

50代以降には男性の前立腺肥大や糖尿病、がんなど原因となる疾患の罹患数が増えることで複雑性尿路感染症が増えるため、性差は少なくなっていきます。

身体構造上、前立腺炎亀頭包皮炎などは男性のみにおこります。

乳幼児では成人とは異なります。原因不明の発熱の約5%は尿路感染症といわれています。乳児期には男児に多く、1歳以降になると女児に多くなります。

執筆・監修ドクター

中島 由美
中島 由美 医師 Crystal 医科歯科 Clinic International 内科院長 担当科目 内科/アレルギー科

経歴2002年 金沢医科大学医学部 卒業
2002年 金沢医科大学病院 小児科、内科勤務
2004年~2018年大阪、神戸、東京、福岡の病院、クリニックで内科、皮膚科勤務
2018年 クリスタル医科歯科クリニックインターナショナル内に医科開設

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