かびんせいちょうしょうこうぐん過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)とは、別名IBSと呼ばれています。
心因的なことなどが原因で腸の運動や知覚が過敏になる症状のことです。
通勤中の電車や試験の前などに急に腹痛やお腹の不快感があったり、便意をもよおしたり、下痢状の便がでたり、逆に便秘になるなどの症状に悩まされることがあります。
これらの症状は排便後に改善し、ストレスのかかった状況が改善されると症状も改善される傾向にあります。
感染性腸炎の回復後になることもあり、腸の粘膜が弱っていると運動と知覚が過敏な状態になってしまい、食物が入ってくる少しの刺激でも腹痛をおこします。
一種の脳と腸で信号のやりとりがバランスを失うことでおこるのではないかと考えられています。
また、幼少期にはあまりおこらず、20~30代に向けて増加し、老年期にはあまりおこらなくなる傾向があります。
命にかかわるような疾患ではありませんが、慢性化させてしまい、生活の質を下げてしまうことにならないよう、また、他の消化器系疾患の可能性を除外していくためにも、専門医の適切な診断・治療を受けることが肝要です。
過敏性腸症候群の症状
腹痛や腹部の不快感があらわれます。
一過性ではなく、2カ月以上繰り返しおこります。
こうした症状は排便によって軽快するのも特徴です。
また下痢になったりする場合と便秘になったりする場合があります。
下痢は男性に多く、便秘や硬い便になるのは女性に多い傾向です。
もしくは下痢と便秘、両方の症状が混合しておこるなど変動することもあります。
腹痛や下痢などの症状は、電車での出勤中の車内や試験の前やプレゼンテーションの最中など、緊張するような特定の状況でおこることが多くなります。
不眠や頭痛など、他の心因性の症状と合併していることもあり、症状があらわれる状況はさまざまです。
過敏性腸症候群の診療科目・検査方法
過敏性腸症候群の原因
詳細な原因は不明です。
細菌やウイルスによる感染症から回復した後にこの病気になりやすいといわれています。
つまり、腸の粘膜が炎症後に弱くなり、腸内環境の変化から、腸の収縮運動や知覚機能が敏感になっている状態でおこりやすくなります。
脳と腸の間で運動や知覚は制御されていますが、脳と腸の間での信号のやりとりがIBSの患者さんでは強い傾向にあります。
ストレスなどによって、腸の運動が激しくなったり、知覚が過敏状態になったりしているとIBSの症状がおこります。
心理的な要因がきっかけになっていることも多く、性格的な傾向とも強く関連していると考えられています。
他にもアレルギーや免疫異常などもかかわっている可能性があります。
腸に器質的な異常はみられないため、ストレスや緊張などの心因的なものと、脂分の多い食事など食物がきっかけとなっている可能性もあります。
過敏性腸症候群の予防・治療方法・治療期間
原因になっているものを確認でき、避けることができるのであれば接触を避けることで、発症を抑えることができます。
対症療法として腹痛や、便秘・下痢などの便通異常を改善する薬剤の服用、不安やストレスを緩和させるための抗不安薬、抗うつ薬、診療療法によるカウンセリングなどをおこなうこともあります。
治療期間は状況によりさまざまです。
過敏性腸症候群の治療経過(合併症・後遺症)
直接生命にかかわることはなく、一生続く病気でもありません。
しかし、著しくQOL(生活の質)を低下させる可能性があります。
参考・出典サイト
過敏性腸症候群になりやすい年齢や性別
成人の約10%はこの症状に悩まされているとされています。
20~30歳代の成人に多く、男性より女性に多い傾向にあります。
高齢者には少なくなります。
執筆・監修ドクター
経歴2010年 昭和大学医学部卒業
2010年 昭和大学横浜市北部病院初期研修医
2012年 昭和大学横浜市北部病院総合内科
2014年 帰陽会丹羽病院
2015年 昭和大学横浜市北部病院総合内科助教
2017年 霞ヶ関診療所
関連する病気
過敏性腸症候群以外の病気に関する情報を探したい方はこちら。
関連カテゴリ
過敏性腸症候群に関連するカテゴリはこちら。
関連コラム
「過敏性腸症候群」に関するコラムはこちら。