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演技性パーソナリティ障害とは
演技性(えんぎせい)パーソナリティ障害とは、人間関係のなかで無意識に自分に何かの役柄を決め、それを演じるように行動するパーソナリティ障害のひとつです。そのため、“演技性”と病名についています。
この障害の特徴に、対人関係で相手となる他者に対し、自分の身体的外観を用いて過度に注意を引こうとする行動をとることがあげられます。
また全てのものを実際以上に重要に感じ、考え方や感情を誇張する傾向があります。演じる役柄は例えば「自分は犠牲者である」などといったものです。
演技性パーソナリティ障害の本人自身は、自分のことを自然であると捉えているため、ずれていることを認識していないことがほとんどです。
演技性パーソナリティ障害の症状
演技性パーソナリティ障害は、行動や考え方に特徴があっても、多くの場合、本人にはその自覚がありません。
注目されようと目立つ行動をします。大きな物音を立てる、突然泣くなど演技的に見えるようなことをします。
感情表現が表面的で、誇張されていることが多くあります。
集団のなかに存在する時、自分が中心である、注目されることを求め、自分が注目されていないと気が済みません。注目されないと不快になります。注目されずに抑うつ状態になることもあります。
日頃から、注意を引こうとして、露出の多い服装や、性的なアピールを、場所や状況などを考えずにするケースもあります。また、強い主張をして気を引こうとしますが、主張の内容は薄いことが多くあります。
ほかにも人間関係が実際よりも親密だと思い込むことがあり、他人を信用しやすい傾向があります。
行動や考え方、ストレスによって身体的な症状があらわれることもあります。うつ病や気分変調症など、ほかの精神にかかわる病気を合併することがあります。
年齢を重ねると穏やかになり、目立たなくなる傾向にあります。
演技性パーソナリティ障害の診療科目・検査方法
演技性パーソナリティ障害の原因
演技性パーソナリティ障害の原因は現在のところ、明らかになっていません。
幼少期に保護者からの愛情が不充分であったことなどが原因になる可能性があります。また、両親や身近な人のなかに演技性の強い大人がいる環境で育ったといったことも関係します。
ほかにもそれぞれの性格的要因や、教育環境なども関係すると考えられています。
演技性パーソナリティ障害の予防・治療方法・治療期間
演技性パーソナリティ障害の本人は、自分の行動が異常であるという自覚がありません。
精神療法によって、注目を集めるようなやり方をせずにコミュニケーションを他の人ととれるようになることを目的に治療します。
本人の心の根底にある問題を発見し自分自身を理解できるようにしていきます。
抑うつや不安が強いなどの精神的な症状や、しびれなどの身体的な症状が強い場合には抗不安薬などを使った薬物療法を補助的におこなうこともあります。
演技性パーソナリティ障害の治療経過(合併症・後遺症)
演技性パーソナリティ障害は、精神療法によるカウンセリングの回数を重ね、自分の心にある葛藤や問題点を整理していく必要があります。
また、年齢を経て症状が落ちつく傾向にあります。長い目で見ると良いでしょう。
演技性パーソナリティ障害になりやすい年齢や性別
演技性パーソナリティ障害は、人口の1.5%〜3%の人がこの障害を有していると推定されています。ほかのパーソナリティ障害と同じように多くは成人期初期までに発症します。
男女差はないと考えられています。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴昭和61年3月 青山学院大学文学部教育学科心理学専修コース卒業
平成6年3月 東邦大学医学部卒業
平成6年4月 東京女子医大病院で臨床研修を終え、
東京女子医大精神神経科入局
平成8年7月 武蔵野赤十字病院心療内科勤務
平成11年10月 しのだの森ホスピタル入職
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