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しゅうけいきょうふしょう醜形恐怖症

しんたいしゅうけいしょうがい/しゅうぼうきょうふ身体醜形障害/醜貌恐怖
更新日:2022/08/09 公開日:2019/12/10 view数:62,424

醜形恐怖症(しゅうけいきょうふしょう)とは、他人から客観的にみてそれほどの欠点ではないのに、本人自身が「自分は醜い」、身体のある部分の形が「人より劣っている」、「変形している」などという観念にとらわれて苦しむこころの病気をいいます。「醜い」などという強迫観念によって、日常的に社会的生活に支障をきたす場合に精神疾患としての治療が必要になります。

不安を抱く身体の箇所は、一見して他人の目に入る顔や体つきをはじめ、人によってさまざまです。実際に外見上の欠点に対して本人が過剰に大きなマイナスとして思い込むことだけではなく、他人からみたらささいなこと、まったく問題のないようなことを「人を不快にさせている」「軽蔑されている」などと、卑下し、妄想的な錯覚を抱くようになります。

その結果、整形手術を繰り返したり、「醜い」と思う部分への自傷行為をしたりするなど、さまざまな日常生活的障害がおこります。ひどくなると、人前に出るのを嫌い、引きこもり、不登校、就業不能になります。最悪なケースでは自殺の可能性もあります。そのため、放置することは危険であるといえます。

発症年齢は思春期・青年期に多くみられます。家族からみれば本人が悩む理由を理解できないことと、化粧品やエステ、美容整形外科などに小遣いを浪費するようになるため、家族間の不和が生じます。手術代の要求に親が応じない場合、親に対して暴力をふるうこともあります。成人以降でも発症しますが、その場合も思春期のうちにその芽があったといえるケースが多いようです。

自分の問題を精神の問題と考え、本人自身から治療を受けようとすることはあまりありません。多くの場合、親などの家族が心配して受診をすすめます。美容整形外科の専門医が精神科受診をすすめることもあります。

治療としては強迫症/強迫性障害に対する治療と同じ方法が有効だとわかっています。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors、SSRI)などの薬物療法を用いるか、認知行動療法、とくにエクスポージャーと儀式妨害(Exposure & Ritual Prevention, ERP)が有用です。などがあります。それらを組み合わせて治療することもあります。

目次
  1. 醜形恐怖症の症状
  2. 醜形恐怖症の診療科目・検査方法
  3. 醜形恐怖症の原因
  4. 醜形恐怖症の予防・治療方法・治療期間
  5. 醜形恐怖症の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 醜形恐怖症になりやすい年齢や性別

醜形恐怖症の症状

対象部位で多いのは頭や顔にかかわる部位です。具体的には「鼻が低い」「肌が汚い」「しみや傷跡」「頭髪が薄い」などのほか、脚、尻、体毛など形や濃さ、大きさなどがあげられます。また、1カ所か複数かは人によって違います。気になる部位が変わるときもあります。また、顔かたちや肌、筋肉など人目にみえる箇所だけではなく、乳房、性器など普段隠されている部位に悩む場合もあります。

強迫的に何度も鏡で確認せずにいられない、あるいはまったく鏡をみられない、醜いという不安のために頻繁に化粧直しや着替えをせずにいられないなどの行為がみられます。さらに、マスク、サングラス、スカーフ、ひげ、帽子などでみられたくない部分を隠したりします。何度も他人に確認を求める場合や、逆に人前に出られず引きこもるなどもあります。

「気になる部分を隠す」「何度も鏡をみる」といった行為はどこからが病気になるのか線引きが難しいですが、そういった行為に多くの時間を費やし、日常生活に支障が出ていると、病的で治療が必要な範囲になります。

また、このような、「~にちがいない」と思い込むような強迫観念にこころを支配されているときは、イライラ感、集中力や判断力の低下、意欲や喜びなどプラス感情の低下など抑うつ的症状があらわれることもあります。

代表的な例では皮膚にかかわる修正願望のために美容医療処置をおこなったり、歯列矯正やホワイトニング、美容整形などの手術を繰り返し受けたりする行為もおこないます。しかし、その多くは手術結果に満足できず、思い込みがかえって強くなるようです。思春期であれば、経済的に美容整形手術をしたくてもできない場合、親に不満をぶつけて家庭内暴力に発展するケースもあります。
また、筋肉が足りないと思い込み、筋肉増量のための薬品を摂取し続けるケースでは、健康を害し危険な状態になる恐れもあります。

類似した症状には、過食や拒食など食事にかかわる摂食障害があります。ボディスタイルに関して理想とするイメージと、実際の体型のギャップに生じるジレンマが過大になり、どうにかしなければと自分を追い詰めます。

醜形恐怖症の診療科目・検査方法

皮膚に気になることがあり、自傷行為によって皮膚を傷つけたなどでは皮膚科、実際身体にあらわれている症状があれば内科など応急処置としての受診も検討する必要があります。しかし、何度も繰り返しおこなわれる、日常に支障をきたす行為があるなど家族や周囲の心配があれば、心療内科精神科を受診することが推奨されます。
問診と評定尺度、セルフモニタリングなどを使って診断がおこなわれます。
診断の基準としては

  1. ひとつ以上、身体の外見的な欠点にとらわれている部分があるが他人にはわからない、もしくはささいなことにみえる
  2. 気になっている点に反応して皮膚のかきむしりなど自傷行為、美容整形手術などを繰り返しおこなったり、確認行動や過剰な身だしなみなどに1日の多くの時間を費やしたりしている
  3. こうしたことによって、学業的、職業的など社会的に大きな領域に障害をもたらしている
  4. ほかの精神疾患では充分に説明されない

この基準を満たして、訴えが執拗で妄想に近いと思われれば、うつ病統合失調症など、ほかの精神疾患と区別しながら診断します。
診察当日では区別がつかない場合でも、何ヶ月間か経過をみれば区別は比較的容易です。うつ病統合失調症は病状に波があることが普通で、2,3年の間には別の症状に変わっていることがあります。それに対し、身体醜形症を含めた強迫スペクトラム障害は何年と症状が安定しているか、徐々に悪化していくことが普通です。

醜形恐怖症の原因

明確な原因は特定できていませんが、この病気は強迫スペクトラム障害として、強迫症/強迫性障害と原因を共通していることが推測されています。他の強迫症と同じように、性格的に真面目で何かに強くこだわる傾向が強い、成果を追求する、完璧主義、思い込みが激しいなどの要素が発症の前からみられることがよくあります。手洗いや鍵の確認などの強迫症を併発している場合も多いです。

長所が多い人ほど、ささいなことが気になって仕方なくなる傾向になります。育児放棄や虐待を受けたなど育ってきた環境やできごとなどもかかわりがあるとされています。また、子どもの頃に可愛らしい容姿をもち、親や周囲から「可愛い」といわれ続けて成長した患者さんもいます。 成長につれ少しずつ変化していく身体の小さな欠点が気になるということがあります。

遺伝要因として父母が醜形恐怖症をもっていた場合や、自身が強迫症をもっている場合に発症リスクが高くなります。
内閣府がおこなった世界青年意識調査では、18歳~24歳の日本人男女の悩みや心配ごとの占める割合は、2003年では「容姿について」をあげる人は全体の6.3%でした。これが5年後の調査では11.1%に増えています。そのなかでも女性に増加傾向があらわれていました。時代背景的にも、容姿で評価される側面が強くなっていることも要因であると考えられます。

醜形恐怖症の予防・治療方法・治療期間

薬物療法としては、必要に応じて抗うつ剤である選択的セロトニン再取り込み阻害薬(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors, SSRI)とクロミプラミンなどの三環系抗うつ薬が用いられることがあります。

醜形恐怖症の患者さんには自分の考えが病的である自覚がないこともあります。そのため考え方や感情にかかわっていく心理的アプローチをおこなう認知行動療法を治療にとりいれることも有効な場合があります。外見への完璧を求める考え方や思考のあり方にアプローチし、柔軟な思考力を得ることをめざします。

認知行動療法では、たとえば繰り返しおこなってしまう確認行動や、気になる部分を隠す行動を軽減させる「エクスポージャーと儀式妨害」Exposure & Ritual Prevention(ERP)という方法が用いられることがあります。まず患者さんが不安に思って行動してしまう度合いが高いものを階層にして表をつくります。そして、段階的に患者さんの不快な場面に直面してもらいます。曝露反応妨害とは、たとえば、サングラスで隠していた部分をあえて隠さずに外出するなど、隠していた部分をさらけだすことで不安に慣れていくことをめざします。

ERPを積極的に行っている治療施設は日本ではわずかです。行っている場合は強迫症/強迫性障害を専門にしているところです。

醜形恐怖症の治療経過(合併症・後遺症)

思春期に発症した場合は、まわりは思春期に抱く一時的なコンプレックスで、そのうちに治ると考えている場合があります。すぐに悪化して重大な事態になるわけではないので、様子をみることも考慮して良いでしょう。
しかし、他の強迫の症状があったり、家族との関係が悪化したりする場合は、強迫症を専門にしている医療機関を受診することをおすすめします。

この疾患の治療は専門のところと、それ以外のところで治療成績に大きな差があります。

醜形恐怖症になりやすい年齢や性別

醜形恐怖症を発症する年齢は、平均すると16~17歳です。成人にもこの病気をもつ人はいますが、患者さんのおよそ2/3が18歳になるまでに発症しています。発症が多いのは12~13歳の思春期といわれています。この病気をもつ患者さんの年齢は幅広くいます。

性別による差はあまりありませんが女性に若干多い傾向があると考えられています。

執筆・監修ドクター

原井 宏明
原井 宏明 医師 原井クリニック 院長 担当科目 精神科/心療内科

経歴1984年 岐阜大学医学部卒業,ミシガン大学文学部に留学(文化人類学専攻)
1985年 神戸大学精神科で研修
1986年 国立肥前療養所に就職,山上敏子先生から行動療法を学ぶ
1998年 国立菊池病院に転勤。精神科医長、うつ病や不安障害,薬物依存の専門外来と治験などを担当
2000,2001年 ハワイ大学精神科アルコール薬物部門に留学
2003年 臨床研究部長
2007年 診療部長
2008年 医療法人和楽会なごやメンタルクリニック院長
2013年 ハワイ大学精神科臨床准教授
2018年 千代田心療クリニック非常勤医師、BTCセンター・カウンセラー
2019年 原井クリニック開業

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