せっしょくしょうがい摂食障害
摂食障害とは?
摂食障害(せっしょくしょうがい)は、主に2つの症状があります。食事を極端にとらなくなる「拒食症」と食事を大量に摂取することがやめられない「過食症」です。 日常の出来事に影響されて食事を受け付けなくなったり、逆に食べ過ぎてしまうということは誰にでもあります。そうした行動が極端になったものが摂食障害です。
10代の女性に多く、「痩せていること」が評価される社会背景からの影響など、心理的要素が摂食障害に大きく関係しています。栄養失調や糖尿病、他の精神疾患との合併症などをおこすこともあり、治療が必要な障害です。
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摂食障害の症状
体重減少、月経異常 、脱水、腹部膨満感、低体温、低血圧などの症状があります。
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摂食障害の診療科目・検査方法
摂食障害の原因
主に以下の4つが原因です。
①スリムであることをもてはやす社会・文化
②自尊心が低い性格、気分障害などの精神疾患
③家族・学校・職場環境
④遺伝的素因(特に拒食症は遺伝の影響が大きいとされる)
摂食障害の予防・治療方法・治療期間
身体管理を要する緊急入院以外、外来治療が原則です。
①認知行動療法※1
②集団療法※2
③薬物療法
長期間の治療が必要となります。
摂食障害の治療経過(合併症・後遺症)
治療は可能です。治療においては、患者の意志を明確にする動機づけが重要です。
摂食障害になりやすい年齢や性別
1998年におこなわれた疫学調査では、拒食症が1万2500名、過食症が6500名と推計されています。そのほか、拒食症と過食症のいずれに分類するのも難しい症例「特定不能の摂食障害」が4200名と考えられています。
1980年から2000年までに、摂食障害の患者数は約10倍に増加しました。
拒食症の多くは10代、過食症は20代の患者です。近年は10代での発症が増えており「若年発症する病気」の印象が定着してきています。患者の9割以上が女性です。
編集部脚注
※1 認知行動療法
認知行動療法は、「認知の歪みを修正する心理療法」です。
「認知の歪み」は「わざわざ悩みを増幅する考え方・行動」を指します。
日々の出来事は、受けとり方によって大きく変容します。
たとえば、人に笑顔を向けられたとき、
【A】好意を向けられているのかな?
【B】単なる愛想笑いだろう
【C】馬鹿にされているに違いない
上記のうち、「どの受けとり方をするか」で、まるっきり気分が変わってくるはずです。
【A】を選べば、(相手にもよるでしょうが)「幸せな気持ち」になれるかもしれません。【B】なら、何とも思わないでしょう。わざわざ【C】を選択すれば、「腹立たしい気持ち」「悲しい気持ち」を抱えこむはずです。
険悪な相手に笑顔を向けられたならともかく、そうでないなら、あえて【C】の受けとり方をするのは損をする考え方です。できれば【A】、せめて【B】の考え方をすれば、少なくとも「負の感情」を抱える必要はありません。
上記の状況で「【C】の考え方」を選ぶ人は、「悩みを増幅して、自分から不安定な精神状態に飛びこむ人」といえます。認知行動療法では、「損になる考え方・行動を修正するためのカウンセリング」を実施します。
簡潔に表現すれば、
・どのような考え方がストレスを生んでいるのか
・どんなふうに行動すれば、ストレスを減らせるのか
以上の2点を医師・臨床心理士などと一緒に考えていくのが、認知行動療法です。
※2 集団療法
集団療法は、「同じような状況にある患者さんを、グループ単位で集めて実施する心理療法」です。
「同じ悩みを抱えている人」「同じような境遇にある人」と話をするなかで、「自分にそっくりな人」を客観視する機会を得られます。
集団療法は、「他者を通して、自分自身を理解するためのカウンセリング」です。
執筆・監修ドクター
経歴東海大学医学部 卒業
日大板橋病院 勤務
日赤医療センター 勤務
国立病院東京災害医療センター 勤務
東大和病院 勤務
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