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依存性パーソナリティ障害とは
依存性パーソナリティ障害とはパーソナリティ障害の一つで、ほかの人に過度に頼り、常に他者に従い、依存することが特徴的です。
パーソナリティ障害は、ものごとのとらえ方や感情の出し方にかたよりがあるために、周囲の人と異なる反応や行動をおこすものです。依存性パーソナリティ障害の場合は、他人に世話をしてほしいという思いを過剰にもちます。
ほかの依存症などが同時にある患者さんも少なくありません。例えばうつやアルコールなどへの依存症などです。
依存性パーソナリティ障害の症状
依存性パーソナリティ障害の患者さんは、他人に過度に自分の面倒をみてもらおうとします。
1人ではなにもできないと考え、通常は自分で判断するようなことでも、他人からのアドバイスを求めたがります。
依存している人から、身体的または精神的に虐待を受けていても、耐える場合が少なくありません。その人から見捨てられて、一人になることを恐れ、強い不安感を抱きます。依存している人を失うことを恐れて、自分の感情を表に出すことが難しくなります。
交友関係はせまく、少人数でしか関係をもたない人が多いといわれています。依存できる人を失った場合、再び依存できる人を探します。
多くは、10代から、遅くても成人期の早期に症状が始まります。例えば20代後半で性格が変わったように感じた場合はほかの病気などの可能性が考えられます。
依存性パーソナリティ障害の診療科目・検査方法
症状などから診断基準に基づいて、医師によって診断されます。具体的な検査方法があるわけではありません。他者への依存があらわれる境界性パーソナリティ障害など、ほかのパーソナリティ障害との鑑別をおこなうことも重要です。
患者さん本人ではなく、家族など周囲の人が気づくことがあります。その場合、無理に受診を勧めるのではなく、患者さん本人が自分自身と向き合えるような配慮が大切です。
依存性パーソナリティ障害の原因
依存性パーソナリティ障害の原因は、いまだはっきりとは分かっていません。
養育期のつらい経験や、整っていない環境で育った、幼児期に自分自身を否定されるような経験をする、体が弱かったなど、育ってきた環境になんらかの原因があることがあります。
また、控えめで自信がない、服従しやすいなどの性格的な問題もかかわっていると考えられます。
環境とその人のもって生まれた性質とが相互に関係して発症するのではないかと考えられています。
依存性パーソナリティ障害の予防・治療方法・治療期間
依存性パーソナリティ障害の治療には精神療法と薬物療法があります。
精神療法では、認知行動療法や自己主張訓練などの方法があります。依存性パーソナリティ障害の患者さんの多くは医師や看護師に従いやすい傾向にあります。そのため精神療法で治療ができる例も多いといわれています。
一方で、患者さんが治療中に医師や看護師に依存しないよう注意する必要があります。
薬物療法では、対症療法がおこなわれます。状況によって、気分を安定させる薬や抗精神病薬を使用します。ベンゾジアゼピン系の薬は、患者さんが薬に依存するリスクがあるため、あまり使用されません。
依存性パーソナリティ障害の治療経過(合併症・後遺症)
依存性パーソナリティ障害の治療は、時間はかかりますが、治療によって症状が良くなる可能性が高いといわれています。また、年齢とともに良くなる場合があることが分かってきました。
近年は、欧米で短期間の集中的な精神療法が開発されています。日本ではまだ普及していませんが、患者さんそれぞれに合った精神療法を組み合わせて治療することが大切です。
摂食障害や気分障害など、ほかの障害もあると、治療の経過が悪くなることもあります。
依存性パーソナリティ障害になりやすい年齢や性別
人口の約0.7%の人に依存性パーソナリティ障害があると考えられています。
男性よりも女性に多い傾向があります。多くは思春期や成人期の早期などに発症しています。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴昭和61年3月 青山学院大学文学部教育学科心理学専修コース卒業
平成6年3月 東邦大学医学部卒業
平成6年4月 東京女子医大病院で臨床研修を終え、
東京女子医大精神神経科入局
平成8年7月 武蔵野赤十字病院心療内科勤務
平成11年10月 しのだの森ホスピタル入職
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