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とうごうしっちょうしょう統合失調症

更新日:2022/08/16 公開日:2019/02/06 view数:17,505

統合失調症とは?

統合失調症とは、約100人に1人の割合で発病するありふれた病気です。
代表的な症状は「幻覚」や「妄想」です。ほかにも、現実を把握すること、感情・意欲のコントロール、人間関係を保つことが困難になる場合もあります。また自分が病気であるという認識が持てなくなり、自ら治療に向かいにくいのも特徴の一つです。

かつては「不治の病」と思われていたこともあります。しかし現在は、医療の進歩などもあり、治療をしっかり行えば大部分は治る病気になりました。一方で慢性化しやすく、途中で治療をやめたために再発する場合もあります。そのため、再発予防も含め息の長い治療やケアが必要です。

従来は「精神分裂病」と呼ばれていましたが、偏見と差別の解消のため、家族会の要望を受けて2002年に日本精神神経学会により「統合失調症」と名称変更が行われています。

目次
  1. 統合失調症の症状
  2. 統合失調症の診療科目・検査方法
  3. 統合失調症の原因
  4. 統合失調症の予防・治療方法・治療期間
  5. 統合失調症の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 統合失調症になりやすい年齢や性別

統合失調症の症状

統合失調症の症状は多彩で、時期によっても症状あらわれ方が異なります。また、症状に個人差があるのも特徴です。
症状が強いとコミュニケーションの障害や作業能力の障害も強くなり、対人関係や社会適応が困難になってきます。

経過と症状

①前兆期

不眠、疲れやすい、体の不調、頭痛、不安感や焦り、集中力の低下、能率の低下、閉じこもりなどの生活上の変化がみられます。初期の段階では統合失調症とは診断できず、うつ病など他の精神疾患が疑われることがあります。

②急性期

幻覚・幻聴、妄想、思考の混乱、興奮、昏迷、まとまりのない会話などの激しい症状がみられます。このような普通は見られない症状を「陽性症状」と言います。本人には病気の自覚がないのが特徴です。
幻聴は主に自分を批判、干渉している内容が多く、独り言を言ったりにやにや笑ったりすることもあります。
妄想は誰かに何かされている、監視されている、つけられているなどの被害的なものが多くみられますが、病気がすすんでくると誇大的な内容になることもあります。

③回復期

気力がわかない、疲れやすい、気持ちが落ち込む、自信がなくなる、人と話すのがおっくう、引きこもり、不安・焦り、何をしていても落ち着かないなどの症状がみられます。思考力の低下、感情の起伏がなくなる等の症状がみられることもあります。
このような症状は「陰性症状」とも呼ばれます。

④安定期

回復期の症状が治まり、安定に向かいます。しかし、気力がわかないといった「陰性症状」等が残る・持続する場合もあります。

安定期から悪化して前兆期の症状を経て再発する場合もあるため注意が必要です。

統合失調症の診療科目・検査方法

不眠や幻聴などの症状がある、生活や対人関係、学業、就労等で支障がみられる場合は受診をすすめたほうがいいでしょう。統合失調症も早期発見・早期治療が有効です。

自分が病気であるということを理解できなかったり、受診を拒否することも少なくないため、周囲の理解と支援が必要です。その際の受診は難しい面がありますが、地域の保健所、精神保健福祉センターなどで受診の相談を行うことができます。

受診は精神科が良いでしょう。統合失調症の診断治療に経験豊富な医師のいる医療機関をおすすめします。

統合失調症では、確定診断に至る検査はまだ確立していません。そのため問診で症状や経過を聞き取って診断します。体の病気による精神症状を除外するため、血液検査、画像診断等を行う場合があります。原因がわかっていないこともあり、実際の診断は難しいこともあります。

医師個人でばらつきが出ないよう標準化された診断基準には、世界保健機構(WHO)やアメリカ精神医学会のものがあります。診断基準は患者さんやご家族等にも参考になる面もありますが、自己診断は危険です。習熟した医師のもとで、治療を受けることをおすすめいたします。同じ統合失調症の診断であっても重症度や患者さん一人一人の背景によって治療選択が異なる場合があります。

統合失調症の原因

神経伝達系の異常、神経発達障害など様々な仮説がありますが、原因はまだよくわかっていません。現在では「遺伝」のほか、「環境」など他に多くの原因がかかわることで引き起こされるのではないかと考えられています。

例えば、一卵性双生児の一方が統合失調症の場合、もう一方の統合失調症の発症率はおよそ50%となっています。一般的な発症率は1%程度のため、それと比べると非常に高くなっています。

環境と遺伝は両方とも発病に何らかの関係があるものの、どちらか一方のみが原因ではなく、様々な要因によって引き起こされると考えられています。

統合失調症の予防・治療方法・治療期間

治療は長期に渡ることがほとんどです。そのため、主治医との信頼関係が大切です。症状や治療の効き目も個人差が強いため、主治医に任せきりにするのではなくなるべく本人も治療に参加しましょう。それぞれに合った治療を受けることで予後が良くなる可能性が高まります。

治療は「薬物療法」と「心理社会療法」が中心です。急性期は薬物療法が中心ですが、心理社会療法との組み合わせでよりよい結果が期待できます。回復期、安定期では心理社会療法を中心に行いますが、再発予防にも薬物療法は欠かせません。

薬物療法

急性期でも回復期でも薬物療法は重要です。「抗精神病薬」がよく処方されます。規則的な内服が必要で、具合が良い時は飲まなくて良いということはありません。

薬の量や種類は、剤型、服薬回数などは個人差があるため、あまり他の人と比べず、それぞれにあった方法を主治医と相談をしながら決めていくのが良いでしょう。副作用があれば自己判断で内服を中断せず、主治医にすぐ報告して対処しましょう。

抗精神病薬について

抗精神病薬には「定型的抗精神病薬」「新規非定型抗精神病薬」の2つのタイプがあります。
「定型的抗精神病薬」は「従来型抗精神病薬」とも呼ばれ、幻覚や妄想を強く抑える働きがあります。
また「新規非定型抗精神病薬」は、現在主に使用されている治療薬です。従来の薬に比べ、認知・作業能力の改善や、無気力などの「陰性症状」を改善することができます。

どのような薬を服用するかは、薬の作用などに個人差があるため一概には言えません。主治医と相談の上、決定するようにしましょう。

副作用について

抗精神病薬の副作用には、以下のようなものがあります。
・錘体外路症状
パーキンソニズム:手の震え、前屈姿勢、仮面様顔貌
アカシジア:体が落ち着かずじっとしていられない
ジストニア:眼球が上を向いてしまう、四肢がつっぱる、ねじれる、筋肉がこわばる、動作がぎこちなくなる
ジスキネジア:(口の周囲が)モグモグと動く
・自律神経症状:低血圧、立ちくらみ、便秘、鼻づまり、口の渇き、尿が出ない
・精神症状:抑うつ、不安、焦燥、眠気、自発性減退
・肝機能障害
・内分泌・代謝症状:無月経、乳汁分泌、性機能障害、肥満、糖尿病
・アレルギー:発疹、光線過敏症

大抵は軽微なものが多いですが、症状が現れたらすぐに主治医に相談しましょう。しばらく様子をみる、副作用止めを併用する、薬を変えるなどで症状が治まることがあります。

ただしこのほかにも、重篤な副作用として「けいれん発作」「心機能障害」「悪性症候群」などがあります。また自覚していない副作用もあるので、年に何度か定期的に血液検査、心電図検査などの検査を受けましょう。

副作用が現れても、決して自己判断はせず必ず主治医に相談することが大切です。

心理社会的治療

「精神療法」と「リハビリテーション」が中心となります。
精神療法とは、内面を深く掘り下げるようなものではなく、病気や治療法、症状への対処技法についての正しい知識を身に着け理解する「心理教育」が中心です。心理教育は病気の寛解を助け、リハビリテーションの側面もあります。

寛解は必ずしも元の状態に戻ることや、訓練ということだけを意味しません。障害があっても名誉と尊厳のある生活や自己実現ができる状態を目指します。

作業療法では作業を通じて日常活動、生産活動、身体・知的活動の能力改善を図っていきます。「生活技能訓練(SST)」という、病気によって低下した社会技能や生活技能を改善するための援助技法が使われることもあります。

リハビリテーションの場には様々なものがあります。生活活動能力、集団適応、就労能力など向上したい目的の違いなどによって医療機関のデイケア、地域生活活動支援センター、就労継続支援施設、就労移行支援施設、生活訓練施設(援護寮)などいろいろな選択肢があります。

統合失調症の治療経過(合併症・後遺症)

経過には個人差があります。大半は寛解や軽度の障害を残すのみで経過しますが、重度の障害が残る人も1~2割いると言われています。多くの人は再発予防も含め長期にフォローを受けたほうが良いとされます。

再発すると、「治りづらい」「再発しやすい」「障害が残りやすい」といったことがおこりやすくなります。そのため、再発を経験した人はより長期に治療を続けることが必要です。
短期間かつ一度限りで症状が改善する人もいないわけではありませんが、その場合でも1年以上は再発予防療法を行うことが推奨されます。またライフイベントが重なる場面で治療を終了しまうことは再発のリスクもあるため、治療を終えるタイミングについては主治医と十分相談することが必要でしょう。

早期発見・早期治療ができた人は予後が良いことが知られています。治療やケアを続けている人、就労している人も予後が良いとされます。

家族の接し方について

家族が病気を正しく理解することが寛解を助けます。1970~80年代の家族研究で「批判的な言動、敵意、感情的な巻き込まれ方が著しい家族(high EE)とともに生活している患者さんは再発しやすかった」という結果があります。そのため、早期に治療を終えるには家族の理解・サポートが大切です。

具体的には、「焦らない」「ゆとりと笑いを大切に」「メッセージは明確に」「批判・非難はほどほどに」「本人の自尊心を傷つけない」「良いことはほめる」「できることはしてもらおう」を心がけるようにしましょう。

家族自身に望まれることは、病気とその対応について学ぶこと、困難な状況への対処法を身につけることですが、それには地域の支援機関や自助グループなどの援助してくれる人々とのつながりを持ち、一人で抱え込まず役割を分担することが大切です。

また、本人への支援は長きに渡るため、家族自身の生活の楽しみを持ち、家族の我慢は最小限に、かつ家庭以外の居場所や活動を大切にすることも必要でしょう。この10数年でも各地域での支援の仕組みが広がり、様々な支援機関も増えています。

統合失調症になりやすい年齢や性別

世界での研究からは、生涯のうちに統合失調症にかかるのは人口の0.7%であり、「ありふれた病気」のひとつとされています。

発症は10歳代後半から30歳代が多く、中学生以下と中高年での発症は少なく、とくに10歳代後半から20歳代にピークがあります。

性差は男:女=1.4:1で男性に多いとされています。

執筆・監修ドクター

坂井 俊之
坂井 俊之 医師 坂井メンタルクリニック 院長 担当科目 精神科/心療内科

経歴1991年 昭和大学医学部卒業
1997年 昭和大学精神医学教室助手
1999年 埼玉県立精神医療センター急性期精神科医長
2004年 東京都立中部総合精神福祉センター保健福祉部生活訓練科長
2007年 坂井メンタルクリニック開業

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