てんかん

てんかんの説明

【監修】北村 聖 先生(東京大学医学教育国際協力研究センター教授)

てんかんとは?

てんかんは、突然けいれん(けいれん)や意識障害を起こす病気で、大脳の神経細胞を一定のリズムで流れている電気信号が突発的に過剰に放出されることによって起こるといわれています。この病気の発症率は100人に1人といわれており、珍しい病気ではありません。
発症年齢は、乳幼児から高齢者までと幅広く、約80%が18歳以下で発症しています。そのなかでも3歳までに発症する割合が最も多くなっています。

てんかんの発作は、そのままにしておくと症状を抑えることが難しくなります。そのため、症状が現れたら、なるべく早くてんかんの専門外来がある病院、または神経内科を受診しましょう。

てんかんの主な症状

てんかんの主な症状としては、けいれんや意識障害などの発作があげられます。てんかんの発作には「動きが止まりボーッとする」「手足の一部をもぞもぞさせる」といった比較的軽度なものから、「突然手足が突っ張る」「全身を震わせる」「バタンと倒れて体を激しく硬直させる」といった重度のものまであります。

また、発作を繰り返し起こすのが特徴で、患者さんによって発作型はだいたい決まっています。

主なてんかんの発作型

てんかんの発作は大きく「部分発作」と「全般発作」に分けられます。

部分発作

発作型症状
単純部分発作体の一部分に症状が現れる発作。意識ははっきりしている。手足の一部に現れていた発作が徐々に両手両足へと進んでいく状態を「ジャクソン行進」という
複雑部分発作単純部分発作からの移行、または初めから意識が薄れた状態での発作。約1~2分で回復する。症状が進むと手足の痙攣が激しくなったり、口から泡を吹いたり、意識を失うこともある

全般発作

発作型症状
強直間代発作体が硬直して倒れ、全身が痙攣し、意識を失う。約1~2分で回復する。回復後、発作のことを覚えていない場合が多い
欠神発作5~15歳で多くみられる数秒から数十秒程度の短い発作。動作が止まり、反応がなくなる。発作中に体がピクピクと痙攣することがある。回復後、発作のことを覚えていない場合が多い
点頭発作両手を振り上げたり、ガクンと頭を垂れたりする発作で何度も繰り返す。生後数ヵ月で発症し、3歳までに多くみられる。3歳以降は、ほかの発作型に移行する場合が多い
脱力発作瞬間的に筋肉の力が抜けたり意識を失ったりする発作。乳幼児に多くみられ、突然地面に倒れこんでケガをすることもあるため注意が必要
ミオクロニー発作全身または体の一部分が瞬間的にビクンと痙攣する。意識ははっきりしているが、手に持っているものを落とすことなどもあるため注意が必要
てんかん重積状態発作が15分以上続いたり、意識が回復しないうちに次の発作が始まったりする。呼吸困難に陥り、心臓や脳に重い障害が残ることや、死に至ることもある

てんかんの発症原因とは?

てんかんには原因がわからない「特発性てんかん」と、脳の病気や傷が原因といわれている「症候性てんかん」があります。患者さんの割合としては、特発性てんかんが多くなっています。

てんかんは遺伝するという説もありますが、実際には遺伝子が関与しているのはごく一部であり、ほとんどは遺伝せず接触による感染もありません。

てんかんの検査と診断

てんかんの診断には脳波検査が欠かせません。そのほか、CT(コンピュータ断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像法)、SPECT(単光子放射線コンピュータ断層撮影法)やPET(陽電子放射断層撮影法)による画像診断や、血液検査、尿検査を行います。

さまざまな検査

各検査項目の内容は下記の通りとなります。

脳波検査
脳波を測定して異常を発見し、発作型を診断する。
CT、MRI
てんかんの原因となる脳の異常を発見する。
SPECT
脳の血流をみる検査。脳の血流が激しくなっている部分を発見する。
PET
脳の代謝機能などを測定する。
血液検査・尿検査
薬を長期間服用するため、貧血、肝機能の状態を調べる。
また、治療中は薬の血中濃度も調べる。

てんかんの発作では意識が薄れたり失ったりすることが多いので、患者さんは症状をうまく説明することができません。そのため、発作の様子を見た人への問診が診断のカギとなります。

病院を受診の際は、発作の状況を詳しく説明できる人に付き添ってもらいましょう。また、正しい診断を受けるため、自分でも発作の様子を細かく聞いて記録しておくことが大切です。

正しい診断を受けるために記録しておきたい項目

自分で発作の様子を記録する際は、下記の項目を重視しましょう。

  • ・どういう変化が起こって発作に気づいたのか
  • ・頭や目はどちらを向いていたか
  • ・顔や唇の血色、唾液の量は
  • ・手足のけいれんや硬直の様子は
  • ・手足以外のけいれんや硬直の様子は
  • ・体の左右で発作の程度に差があったか
  • ・発作中に意識はあったか(声をかけて確かめてもらう)
  • ・発作は何分間続いたか
  • ・回復直後の様子は(ぼんやりしていた、意味不明の言葉を発した、眠ったなど)
  • ・発作によってケガをしたか

てんかんの治療法は?

てんかんの治療は、薬物療法と手術の2つを中心に行われます。現在では、薬を服用して発作を抑制する薬物療法が主流となっており、正しく服用すればほとんどの発作を抑制できるといわれています。

薬物療法
脳の神経細胞の異常な放電を抑制する抗てんかん薬を使用します。抗てんかん薬にはさまざまな種類があり、発作型や年齢・性別などにより選択されます。

まず1種類から服用を始め、効果がみられない場合は2種類以上の薬を併用します。患者さんの体質などによって効き目に個人差があるため、薬の血中濃度を調べて脳内における濃度を推測し、患者さんに適した服用量を決定します。

抗てんかん薬の主な副作用

抗てんかん薬を使用することで起こる副作用には、下記のようなものがあります。

  • ・発疹
  • ・眠気
  • ・ふらつき
  • ・肝機能障害
  • ・血液中の白血球減少
  • ・歯肉の異常な腫れ
  • ・多毛
  • ・脱毛など

正しく服用しないと、かえって発作を誘発する恐れがあります。症状が治まったからといって自己判断で服用を止めず、医師の指示どおりの用法用量を守って服用しましょう。

発作が起こらない状態が続き、脳波にも異常が現れなくなったら医師の判断のもとに徐々に薬の量を減らしていきます。服用を完全に中止しても再発がなければ治癒したことになりますが、年に1回は定期検診を受けましょう。

手術
薬物療法の効果がみられない患者さんで、てんかんの発作を起こす脳の部位が特定されていて、切除しても障害が残らない場合に限り手術による治療が行われます。

手術内容は異常放電が脳全体に広がっていく経路を絶つ「遮断手術」と、発作を起こす脳の部位を切り取る「切除手術」があります。
また、手術をしてもすぐに発作が治まるわけではないため、しばらくは抗てんかん薬を服用する必要があります。

日常生活で気をつけること

てんかんの発作は、日常生活での刺激によって誘発されることがあります。また、発作が起こった場合を考えて下記の8つのことに気をつけましょう。

① 毎日十分な睡眠を

睡眠不足になると、発作が起こりやすくなります。規則正しい生活を心がけ、睡眠不足にならないように注意しましょう。

② 疲労やストレスをためない

疲れたら無理せず休みましょう。精神的なストレスも発作の引き金になります。心身ともにリラックスを心がけましょう。

③ パソコン、ゲームはほどほどに

パソコンやゲームなどで長時間画面を見続けると、発作が誘発されることがあるので控えましょう。

④ テレビを見るときの環境にも注意

テレビを見るときは、部屋を明るくして画面から適度な距離を保ちましょう。アニメーションなどの点滅光や赤色の光は発作を誘発する恐れがあります。

⑤ 飲酒を控える

飲酒は発作を誘発する恐れがあります。また、酩酊状態での発作は嘔吐の恐れもあり、非常に危険です。

⑥ 激しい運動を控える

激しい運動は、過呼吸になり発作を引き起こす恐れがあります。リラックスして楽しめる程度の運動を心がけましょう。また、発作が起こったときのために単独行動は避けましょう。

⑦ 入浴は周囲の人に声をかけてから

入浴は発作を誘発する恐れがありますので、必ず周囲の人に声をかけましょう。また、入浴中の発作は、溺れたり火傷したりする恐れがあります。浴槽のお湯は少なめにし、温度調節に注意しましょう。

⑧ ケガを防ぐ工夫を

発作で転倒したことがある人は、保護帽やヘルメットなどをかぶって発作によるケガを防ぎましょう。

家族や周囲の方が気をつけること

てんかんの発作を目撃したら、まずは自分が深呼吸をして落ち着きましょう。ほとんどはすぐに治まります。しかし、発作が長く続き意識が戻らない場合には、速やかに救急車を呼びましょう。

てんかんの治療には、家族や周囲の人の協力と理解が必要です。特にほかの心身の病気にもかかっている場合は、医師や臨床心理士、ソーシャルワーカーといった専門家にサポートしてもらいましょう。

また、下記の5点にも注意が必要です。

① 危険なものを遠ざける

発作中にケガをしないよう、火や機械など危険なものを遠ざけましょう。

② 楽な体勢をとらせる

衣服の襟元やベルトを緩め、楽な体勢にしてあげましょう。メガネは外し、コンタクトレンズにも注意しましょう。

③ 窒息するのを防ぐ

吐いたものや唾液を取り除いて、窒息するのを防ぎましょう。激しく突っ張ったり、けいれんしたりしている場合は、下あごに手を当てて上に押し上げ、呼吸をしやすくして舌を噛むことを防ぎましょう。
口の中に指や固いものを差し込むことは、かえって口の中を傷つけたり、窒息したりする危険があります。また、発作が治まってもしばらくは飲食物を取らせないようにしましょう。

④ 静かに見守る

大声で呼び掛けたりゆすったり、無理に押さえつけたりしないようにしましょう。

⑤ 発作が治まったら

発作が治まったら顔を横に向け、呼吸が落ちついて意識が回復するまで静かに寝かせましょう。

家族や周囲の方が気をつけること

 

監修/北村 聖 先生
東京大学医学教育国際協力研究センター教授

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