ひとつのIDでさまざまな施設の順番待ち・予約が可能

EPARKグループ

手足口病

目次
  1. 概要
  2. 症状
  3. 原因
  4. 検査内容と主な診療科目
  5. 治療方法と治療期間
  6. 治療の展望と予後
  7. 発症しやすい年齢と性差

概要

手足口病とは?

手足口病は「子どもの夏風邪」の1つです。「発熱」「身体のだるさ」など、いわゆる「風邪の症状」が出ますが、より特徴的なのは皮膚症状です。主に3つの部位に「水疱(すいほう:水ぶくれ)」が現れる傾向にあります。

・手のひら
・足の裏
・口の中

このような特徴から、「手足口病」と呼ばれています。
ただし、症状の現れ方には個人差があります。
必ずしも、手・足・口の3箇所すべてに水疱ができるとは限りません。
手足口病と思われる症状が現れた場合、「何科を受診するのか」という疑問にお答えすると、子どもは小児科へ、成人は内科への受診が推奨されます。

症状

手足口病の代表的な症状は、次のとおりである。

・発熱(37~38℃)
※熱が出るのは約半数、38℃以上に及ぶのは約30%

・喉の痛み

・口内の水ぶくれ(2~5mm)

・手のひら / 足の裏の水ぶくれ(2~5mm)

・お尻の周囲の水ぶくれ(2~5mm)

・水ぶくれの痛み

手足口病で高熱が出ることは稀(まれ)で多くの場合は37℃台で、38℃以上の熱が出るのは罹患者(りかんしゃ)の3割程度。

また、手足口病の主な特徴は名称の由来でもある、「手のひら / 足の裏 / 口内」に発生する水ぶくれである。

水ぶくれの大きさは2~5mm程度になることが多く、水ぶくれが治る過程で、「かさぶた」を形成しないのが一般的である。

水ぶくれの特徴に痛みがあり、特に「口内の水ぶくれ」は強い痛みを伴い、飲食が困難になることや「足の裏の水ぶくれ」が痛んで歩行が難しくなる例もあり得る。

反面、見た目は痛々しいほどに水ぶくれができていても、思いのほか平然としている子どもも見られる。そのため痛みの程度には個人差があり、一概には言えない。

さらに「手 / 足 / 口の水ぶくれ」が代表的症状とされる手足口病だが、病名とは裏腹に、必ずしも「手 / 足 / 口」の3箇所すべてに水ぶくれが生じるとは限らない。

・手足だけに水ぶくれが発生する例
・口内だけに水ぶくれが発生する例
・お尻の周囲にも水ぶくれが現れる例
・背中にまで水ぶくれが広がっている例
・水ぶくれというより、赤い発疹に見える例
・皮膚症状が治癒に向かう過程で「かさぶた」を形成する例

の可能性がある。

ウイルス別の症状とは?

手足口病は、原因ウイルスごとに異なる症状をきたす場合があるため
以下、ウイルスごとの特徴(症状 / 重症化リスクの違い)を記載する。

原因ウイルス 症状 説明
コクサッキーウイルスA6 爪甲脱落症

(そうこう-

だつらくしょう)

手足口病の治癒後、1か月ほど経過してから現れる症状。手足の爪が根元から浮きあがり、脱落する。コクサッキーウイルスA6に感染した場合に、見られる。コクサッキーウイルスA6の影響により、爪の産生が停止したことが主な原因である。爪は再び生えてくるので、時間経過とともに治癒する。
エンテロウイルス71 髄膜炎

(ずいまくえん)

「手足口病の症状」というよりは、「重篤な合併症の1つ」。しかし、原因ウイルスによる影響が大きい。髄膜炎を合併する確率は、原因ウイルスの種類によって大きく変わる。「コクサッキーウイルスA16では発症の割合が0.21%と低かったが、エンテロウイルス71では1.78%に跳ね上がった」という調査結果が存在する。

コクサッキーウイルスA6の場合、皮膚症状(水ぶくれ)の発生範囲も通常より広くなる傾向がある。典型的な手足口病の水ぶくれは「手のひら / 足の裏 /  口内」で、コクサッキーウイルスA6では「腕 / 脚部 / 唇の周囲」にまで水ぶくれが生じる例も見られる。
手足口病は「原因ウイルスの種類により、症状に幅がある病気」と言える。

原因

手足口病を引き起こす原因は、ウイルスである。

「エンテロウイルス」「コクサッキーウイルス」などのウイルスがあり、種類が複数あるため何度もかかる可能性がある。

つまり、感染した種類のウイルスに対しては免疫を獲得しても、別のウイルスに感染する確率は残ったままということである。

手足口病の原因になりうるウイルスの名称は下記である

ウイルスの名称
コクサッキーウイルスA9

コクサッキーウイルスA10

コクサッキーウイルスA16

コクサッキーウイルスB2

コクサッキーウイルスB3

コクサッキーウイルスB5

エンテロウイルス71

エコーウイルス6

エコーウイルス16

エコーウイルス18

エコーウイルス21

エコーウイルス25

アデノウイルス1

アデノウイルス2

アデノウイルス5

アデノウイルス6

パレコウイルス1

パレコウイルス3

パラインフルエンザウイルス3

手足口病の感染経路

感染リスク 有り
感染経路 飛沫感染(ひまつ-かんせん)
接触感染
糞口感染(ふんこう-かんせん)
遺伝リスク なし
死亡リスク まれ
入院リスク まれ(髄膜炎など脳神経症状をきたした場合)
手術の必要性 なし
病気の経過 急性

・飛沫感染

飛沫感染は「くしゃみ / せき」などの飛沫(しぶき)を介する感染を指す。
飛沫に含まれるウイルスが、周囲にいる人の「鼻 / 口」などに入りこむことで感染する。

・接触感染

接触感染は、物品を介した感染を指す。たとえば、患者さんが手で口を覆った状態で「くしゃみ / せき」をすると、手には唾液・鼻水が付着する。当然、唾液・鼻水には多数のウイルスが含まれており、十分な手洗いをしないままドアノブなどを掴めば、ドアノブにウイルスが付着する。その後、健康な人が同じドアノブを掴んで、手洗いをしないまま「目 / 鼻 / 口」などを触れば、感染の可能性が高くなる。このように、間接的接触によって感染する経路もある。

・糞口感染

糞口感染は、便を媒介とする感染を指す。患者さんがトイレに行ったあと、よく手を洗わないまま、ドアノブなどに触れると、上記の接触感染と同じ要領で感染する恐れがある。糞口感染は「便を介した間接的な感染」のことである。

参考サイト

検査内容と主な診療科目

手足口病は、基本的に子どもの病気である。実際、手足口病にかかる患者さんの約90%が5歳以下の乳幼児が多い。

そのため、基本的な診療科目は「小児科」となる。近所に小児科がない場合などは、とりあえず「内科」を受診しても構わない。

また、「子どもに多い病気」と言われているが、成人が罹患する例も存在する。もし、成人の方で「手足口病と思われる症状」が見られたら、「内科」を受診することが望ましい。ほとんどの場合は検査をおこなわず、臨床症状(りんしょう-しょうじょう:※)から診断する。

病原診断(原因となった病原体の診断)

手足口病の原因となるウイルスは複数、存在する。

ほとんどの場合、次に掲げる4つのウイルスのいずれかが原因の可能性が高い。

・コクサッキーウイルスA16
・コクサッキーウイルスA6
・コクサッキーウイルスA10
・エンテロウイルス71

※ただし、その他のエンテロウイルス属ウイルスが原因になる例もある。
症状だけを見て、「どのウイルスが原因になったのか」を特定することはできない。
そのため、原因ウイルスを特定するには病原診断が必要になる。

病原診断には、次の検査材料を用いる。

・咽頭ぬぐい液(綿棒で喉をぬぐって採取)
・水ぶくれの内容物
・糞便
・直腸ぬぐい液(綿棒で直腸内をぬぐって採取)

もっとも一般的な検査材料は「咽頭ぬぐい液」で、入院している場合など、重症例では「糞便」「直腸ぬぐい液」を用いることで、ウイルスを検出しやすくなると言われている。

ただし、手足口病の患者さんに病原検査を実施する例は多くない。
ほとんどは、「診察⇒手足口病の診断⇒対症療法」の流れとなる。

手足口病と似ている病気には、何がある?

手足口病には、いくつかの「よく似た病気」が存在するため、手足口病と似ている病気を記載する。

ヘルパンギーナ

手足口病と同様、「子どもの夏風邪」と見なされている病気の1つ。

・報告件数の90%以上が5歳以下
・流行時期は5~8月頃

以上の特徴についても、手足口病と合致しているため間違えやすい。
よく似ているのは、「子どもの病気」「夏の病気」といった特徴だけではない。

ヘルパンギーナの症状

・発熱(38~40℃の高熱が多い)
・喉(のど)の痛み
・喉の奥に多数の水ぶくれが出現

症状に関しても、きわめてよく似ているが、手足口病とヘルパンギーナの相違点は、次の2点に集約される。

手足口病とヘルパンギーナの主な相違点

手足口病 症状の種類 ヘルパンギーナ
発熱が見られるのは半数程度。38℃に達するのは、患者さん全体の約30%にとどまり、微熱で済む例もしばしば見られる。 【発熱】 38℃を超える高熱が主症状の1つ。
病名のとおり、「手・足・口」に水ぶくれが現れる傾向。ただし、必ずしも3箇所すべてに現れるとは限らない。口内に水ぶくれができる場合、浅い位置にできるのが普通である。浅い位置は、「喉(のど)ではなく口の中」という意味合いがある。 【水ぶくれ】 水ぶくれができるのは、「口内」に限られる。手足に水ぶくれができることはない。口内の水ぶくれは、深い位置に発生する傾向。深い位置とは、「口の中というより、喉(のど)の奥」という意味になる。

 「38℃を超える高熱が主症状」という事実からわかるとおり、患者さんの自覚症状(身体のだるさなど)は強くなる傾向である。

ヘルパンギーナを引き起こす病原体は、「エンテロウイルス属の複数ウイルス」である。

次のウイルスが、代表的な病原体とされている。

ヘルパンギーナの主な原因ウイルス

・コクサッキーウイルスA2
・コクサッキーウイルスA3
・コクサッキーウイルスA4
・コクサッキーウイルスA5
・コクサッキーウイルスA6
・コクサッキーウイルスA8
・コクサッキーウイルスA10
・コクサッキーウイルスA22
・エンテロウイルス71
・コクサッキーウイルスB群の一部
・エコーウイルスの一部

手足口病と同じく「ピコルナウイルス科―エンテロウイルス属」のウイルスが原因。いくつかのウイルスは「手足口病の原因ウイルス」と完全に重複しており、手足口病とヘルパンギーナの両方を引き起こすとされる。

同じ系統のウイルスなので、感染経路も手足口病と同じで、咳やくしゃみによる「飛沫感染(ひまつ-かんせん)」、ウイルスの付着した手指で鼻・口に触る「接触感染」が主な感染経路になる。

咽頭結膜炎(プール熱)

咽頭結膜炎もまた、一般的に「子どもの夏風邪」とされる病気の1つ。
別名で「プール熱」と呼ぶこともある。
例年、6月くらいから増加し、7~8月に流行のピークを迎える。

・報告件数の約60%が5歳以下
・夏期に流行する

手足口病は「5歳以下の割合」がもっとも多く、約90%を占める。

いずれも「夏場、5歳以下の乳幼児に流行する感染症」という共通項を持っている。

咽頭結膜炎の症状

・発熱(38~40℃の高熱が多い)
・喉(のど)の痛み
・結膜炎(目の充血、まぶたの腫れなど)

このほか嘔吐・下痢などの胃腸症状を伴う例も知られている。

手足口病と咽頭結膜炎は、どちらも「風邪の症状が出る夏場の病気」である。
ただ、それぞれ別の病気であり、明らかな相違点も存在しているため下記に記載する。

手足口病と咽頭結膜炎の主な相違点

手足口病 症状の種類 咽頭結膜炎
発熱するのは約50%で、発熱の見られない症例もしばしば見られる。また、38℃を超えるのは全体の30%に過ぎず、微熱で終わる場合も多い。 【発熱】 主な症状の1つに「38~40℃」の高熱があげられる。
病名にもあるとおり、「手・足・口」に水ぶくれが発生する傾向。 【水ぶくれ】 水ぶくれは現れない。
結膜炎は生じない。 【結膜炎】 「目の充血」「目のかゆみ」「まぶたの腫れ」など、結膜炎の症状が現れる。

咽頭結膜炎を引き起こすのは、主に「アデノウイルス」である。

咽頭結膜炎の主な原因ウイルス

・アデノウイルス3型
・アデノウイルス7型
・アデノウイルス4型
・アデノウイルス2型
・アデノウイルス11型

複数のアデノウイルスが咽頭結膜炎の原因になりますが、咽頭結膜炎の流行は、ほとんどが3型によるものである。

咽頭結膜炎の主な感染経路は、「飛沫感染(ひまつ-かんせん)」と「接触感染」。

咳・くしゃみに含まれるウイルスを吸いこみ感染する。ウイルスに汚染された物質が、目・鼻・口に接触して感染する。
「プール熱」という別名の由来は、プールでの感染が多かったことからである。
同じプールに「咽頭結膜炎の感染者」が入っていると、プールの水を介して接触感染する場合がある。

治療方法と治療期間

手足口病には、対症療法が基本

現状、手足口病に対する特別な治療法はない。
手足口病の病原体―「コクサッキーウイルスA群」「エンテロウイルス71」の増殖を抑える「抗ウイルス薬」も未開発である。

そのため、手足口病は現状「対症療法をしながら、自然治癒を待つ病気」となっている。
対症療法とは、「病気自体を治すのではなく、病気の症状を緩和する治療」のことを指す。

「苦痛をやわらげながら自然治癒するまで様子を見る」という方向性になる。

手足口病の対症療法(一例)

・高熱

手足口病で高熱が出る例は少なく、基本的には解熱剤を必要としない。しかし、高熱が出た場合には解熱剤の処方を検討する。

・口内 / 皮膚のかゆみ

水ぶくれが「かゆみ」を伴う例は多くない。もし、かゆみが強い場合には、必要に応じて「抗ヒスタミン剤」を処方する。抗ヒスタミン剤は、アレルギー反応を抑え、「かゆみ / 発赤」などの症状を緩和する薬をいう。

・脱水症状

「口内の水ぶくれ」「喉(のど)の痛み」が強いと、飲食物を飲みこむことが難しくなる。固形物だけでなく、水分摂取も困難な場合、脱水症状を招く恐れがあり、可能な限り経口補水液などで対応するが、状況により「経静脈的補液(けい-じょうみゃく-てき-ほえき)」を検討する。経静脈的補液は、点滴からの水分摂取のことを指す。

医師の判断で、以上のような対症療法をおこなう。

ただ、対症療法はあくまでも「症状を緩和する治療」に過ぎない。
そのため手足口病それ自体は、自然治癒に任せることになる。
基本的には3~7日で症状が消失し、多くの場合、1週間から10日程度で自然に治癒する。

特別な治療をしなくても治癒するので、あまり重く受け止める必要はない。

原則、通院治療なので自宅で安静に!

手足口病は、基本的に通院治療で済む病気である。
手足口病と診断されたら、自宅で安静にしながら回復を待つことが推奨される。

「口内の水ぶくれ」「喉(のど)の痛み」があるので、飲食物の摂取が困難になることがあるため固形物は(2日くらいまでは)ほとんど食べられなくても、水分だけはきちんと摂取することが大切である。水分不足が続くと、脱水をきたすことがある。

また、(本人に多少なりとも食欲があるなら)「アイスクリーム」「プリン」「ゼリー」など、噛まずに飲みこめる食べ物を与えるのも良い。

ただし、「ヨーグルト」「乳酸菌飲料」「柑橘系のジュース」など、酸性の食品は、口内の水ぶくれに刺激を与える恐れがあるため、避けることが望ましい。

口内が痛むと、(小さな子どもは)飲食物の摂取を嫌がるようになり、「水分不足⇒脱水」につながる恐れがあるので、注意が必要である。

登園・登校の目安は「熱が下がり、ふだんどおりの食事が摂れること」である。

中枢神経系症状の兆候に要注意

ごく稀(まれ)に「髄膜炎(ずいまくえん)」「脳炎(のうえん)」を起こして生命にかかわる場合がある。

これらは中枢神経系症状であり、最悪の場合は生命にかかわることもある。
以下のような症状に気づいたら、早急に医療機関を受診すべきである。

・嘔吐を繰り返す
・ぐったりして、まったく元気がない
・目がうつろ / 視線が合わない
・身体に力が入らない
・呼吸が速い
・呼びかけても反応が乏しい
・2日以上にわたる高熱

髄膜炎であれば、数日の入院を要する場合がある。ただ、髄膜炎を合併した症例でも、ほとんどは無事に回復する。手足口病が生命にかかわる事例は(少なくとも日本国内においては)きわめて稀(まれ)。

治療の展望と予後

基本的に、手足口病はそれほど危険な病気ではなく、予後良好とされている。

医療機関を受診しなくても、7~10日くらいで自然治癒するのが普通である。

そもそも、2019年現在、手足口病のウイルスに有効な抗ウイルス薬は未開発で「手足口病そのものを治す治療法」は存在しないので「自然治癒を待つ病気」の1つと言われる。

しかし、「基本的に軽症で済む病気」が、生命に危険をもたらす例外的状況が存在し、そういった状況が(きわめて低確率ながら)あり得えるため罹患者の様子を注意深く観察することが大切である。

具体的には、ウイルスが髄膜(ずいまく:※)、脳に感染した場合の2つで、髄膜に感染した場合は「髄膜炎」、脳に感染した場合は「脳炎」と呼ぶ。

ウイルス性髄膜炎(ずいまくえん)

髄膜とは、「脳・脊髄(せきずい)」を覆う膜のことをいう。三層構造になっており、外側から順に「硬膜」「くも膜」「軟膜」と呼ばれており、髄膜炎はこの髄膜が病原体に感染し、炎症を起こした状態である。

髄膜炎は、病原体が「細菌か、それ以外か」で重症度が大きく変わる。なかでも細菌性髄膜炎がもっとも重症化しやすく、ウイルス性髄膜炎はやや予後が良好である。「細菌性かどうか」が重要なので、細菌性ではない髄膜炎をまとめて「無菌性髄膜炎」と呼ぶことが多い。

手足口病の合併症になり得るのは、ウイルス性髄膜炎(無菌性髄膜炎)です。手足口病はエンテロウイルス属によるウイルス感染症であるため、髄膜炎を起こした場合はウイルス性髄膜炎と区別される。

髄膜炎の主要3症状

・発熱(ウイルス性の場合、多くは38~40℃)
・頭痛(前頭部、目の奥が痛むことが多い)
・嘔吐

ただし、以上の3症状がすべて現れるとは限らず、「急な高熱」「前頭部の激しい頭痛」「嘔吐」のうち1つ以上が現れたら、ウイルス性髄膜炎の恐れを考慮するべき。

そのほか、髄膜炎の特徴には「羞明(しゅうめい)」「項部硬直(こうぶ-こうちょく)」「ケルニッヒ徴候」「ブルジンスキー兆候」がある。

羞明

光を過度にまぶしく感じて、「目を開けているのが困難」「不快感 / 痛みを覚える」などの問題が生じる。

項部硬直

髄膜炎では髄膜に浮腫(むくみ)が生じ、首筋の筋肉が収縮・硬直する。そのため、患者さんを仰向けに寝かせたまま、医師などの手で首を前屈させようとしても、あまり動かず、痛みを訴える場合もある。健康な人なら、他者の手で首を前に曲げさせた場合、顎(あご)が胸につくまで曲がるが、「首が曲がらず、顎が胸につかない状態」は髄膜炎の兆候と言える。

ケルニッヒ徴候

患者さんを仰向けに寝かせた状態で、膝を直角(90度)に曲げ、医師などが足を引っ張り、膝を足先に向けて伸ばしていく。膝関節の角度が135°以上に進展しないようなら、「ケルニッヒ徴候=陽性」と判断する。

ブルジンスキー兆候

患者さんを仰向けに寝かせ、足を真っ直ぐ伸ばしておく。その状態から、医師が手で首を前屈させる。首を前屈させようとしたとき、「自動的に股関節・膝関節が曲がり、膝を立てた状態になる」という場合、「ブルジンスキー兆候=陽性」である。

何度も言うが、手足口病を起こすエンテロウイルス属には、有効な治療法が存在しないため「高熱に対して、解熱剤を投与」「痛みに対して、鎮痛薬を投与」などの対症療法を実施する。

ウイルス性髄膜炎の多くは、数日~2週間で軽快する。ただし、中には髄膜脳炎(ずいまく-のうえん)が進展するなど、回復が厳しい状況に陥る例もある。

ウイルス性脳炎

脳炎は、「脳が感染して炎症を起こした状態」で中枢神経系のきわめて重篤な合併症である

「ウイルス性髄膜炎⇒ウイルス性髄膜脳炎」と進展した場合、髄膜炎に加えて脳炎をきたす。

髄膜炎の典型的症状―「高熱 / 頭痛 / 嘔吐」に加えて、「痙攣(けいれん)」「意識障害」などが現れる。脳炎を起こした場合には最悪の場合、死亡する症例も見られる。

小脳失調症

ウイルス感染症からの回復期に、「急性小脳失調症」を起こす場合がある。中枢神経合併症の1つだが、髄膜炎、脳炎のように生命にかかわることは(基本的に)ない。

小脳失調症の代表的な症状

・失調性歩行(歩くときふらつく、うまく歩けない)
・振戦(しんせん:指先のふるえ)
・眼振(がんしん:眼球が常に動く)
・構音障害(こうおん-しょうがい:うまく言葉が発音できない)

前述のとおり、小脳失調症は「ウイルス感染症から回復していく時期」に発症するのが特徴。ウイルスに感染すると、免疫システムがウイルスを攻撃するための抗体をつくります。

その過程で「対ウイルス用の抗体」が間違えて「小脳」「神経」を攻撃対象にしてしまい(交叉(こうさ)反応)、小脳失調症が起こるとされている。

小脳失調症の場合、特に「小脳のプルキンエ細胞」が攻撃対象になると考えられている。

症状が治まり始めたころの歩き方、動きに異常を認めたら、医療機関を受診することが望ましい。

ポリオ様麻痺(ポリオ-よう-まひ)

手足口病の中枢神経合併症として、「ポリオに類似した麻痺症状」を起こす例がある。

ポリオは、一般に「小児麻痺(しょうに-まひ)」と呼ばれる病気で、「手足に麻痺が生じる病気」と認識されている。

現実には、ポリオウイルスに感染しても麻痺症状が出ることは稀(まれ)である。

典型的なポリオの症状―麻痺症状が出るのは、感染者の約0.1%にとどまるが、麻痺型ポリオを発症した場合、予後は厳しくなる。

死亡率は小児で約4%、成人で約10%に及び、治癒した患者さんの約半数に永続的後遺症が残るともいわれている。

ポリオの永続的後遺症には、次のようなものがある。

・筋力低下(筋肉に力が入らない)
・筋委縮(きん-いしゅく:筋肉が細くなる)
・感覚鈍麻(かんかく-どんま:感覚がにぶくなる)
・筋肉痛 / 関節痛(痛みが生じる)

ポリオを引き起こす病原体は「ポリオウイルス」であるが、「ポリオウイルス」は「ピコルナウイルス科―エンテロウイルス属」に属し、手足口病の病原体「コクサッキーウイルスA群」「エンテロウイルス71」と同じ仲間のためポリオに似た症状をきたすことがある。

心筋炎

ウイルスなどの病原体が「心筋(心臓を動かす筋肉)」に感染した場合、心筋炎の恐れが出る。

心筋炎の代表的症状

・感冒様症状(かんぼうよう-しょうじょう:風邪のような症状)
・不整脈(脈拍のリズムが乱れる症状)
・心不全(血液を送り出す力が低下する症状)
・ショック症状(急激な血圧低下に伴う症状)

手足口病のウイルスに関しても心筋炎を起こす恐れがあり、「風邪のような症状」から急激に進展し、「ショック症状⇒急死」といった経過をたどる例もあり、場合によっては生命にかかわる。ただし、手足口病から心筋炎に至る確率は低く、きわめて「稀(まれ)な合併症」と言える。

発症しやすい年齢と性差

患者さんの80%が5歳未満の小児。

まれに大人も感染する。

不正確な情報を報告

不正確な情報を報告

メールアドレス:任意
※メールアドレスをご入力いただいた方には、改善結果をご報告致します。
コメント(オプション):