突発性難聴で耳鳴りがする理由。完治の可能性は?治療期間や入院について
『突発性難聴』というと、耳が聞こえづらい病気、というイメージが強いのではないでしょうか。
しかし、それ以外にも『耳鳴り』や『めまい』などの症状があらわれることがあります。中でも耳鳴りは、突発性難聴にかかる約9割の人にともなう症状です。
この記事では、なぜ突発性難聴で耳鳴りが起こるのか、完治の可能性について解説します。
突発性難聴とは?耳鳴りが起こる理由。
1.どういう病気?
『突発性難聴』とは、突然片方の耳がつまったように感じ、聞こえづらくなる病気です。それと同時に『耳なり』や『めまい』をともなうこともあります。年間3万人以上がかかっています。
原因ははっきりとわかっていませんが、ストレスや疲労、血行不良、ウイルス感染などがかかわっていると考えられています。
2.難聴が起こるメカニズム
音が聞こえるしくみと難聴とは?
耳は外側から、『外耳』『中耳』『内耳』の3つに分けられます。外耳は、鼓膜から耳の外側で、その奥に中耳と内耳があります。
「音」はまず外耳から中耳へと伝わり、中耳で増幅して内耳へと届きます。
つぎに、内耳にある『蝸牛(かぎゅう)』という器官で、音が電気信号へと変換されます。
そうして神経を通じて脳に伝わることで、はじめて音を認識することができるのです。
この、音を伝える過程に異常が生じた状態を『難聴』といいます。
2種類の難聴『伝音難聴』と『感音難聴』
難聴は『伝音難聴』と『感音難聴』の2種類に分けられます。
<伝音難聴>
伝音難聴は、外耳もしくは中耳に原因がある難聴のことです。
原因は『耳垢のつまり』や、『中耳炎』など、明確なケースが多いです。聴覚は原因を取り除くことで回復します。
<感音難聴>
突発性難聴は、この感音難聴のひとつです。
感音難聴は、内耳に原因がある難聴のことです。伝音難聴と対照的に、原因が不明確なことが多く、完治が難しいです。
内耳に何らかの障害が起こり、音を電気信号に変えられなくなります。原因は、老化やヘッドホンなどで長時間大きな音を聞くことなどがあげられます。
3.なぜ突発性難聴で耳鳴りが起こるの?
突発性難聴にかかる人の9割が『耳鳴り』をともないます。
その原因は、内耳の『蝸牛』にあります。先に解説したように、突発性難聴は内耳に障害が起こる、感音難聴のひとつです。
耳鳴りが生じるのは、蝸牛に何らかの障害が起きて、実際には音が鳴っていないのにもかかわらず、脳へ電気信号を送ってしまうからです。
耳鳴りをともなう突発性難聴の治療
1.完治する可能性は?
適切に治療しても、完治するのは3分の1
突発性難聴は、完治の難しい病気です。
適切に治療をおこなっても、完治するのは全体の全体の3分の1程度です。もう3分の1は、症状が緩和するものの耳鳴りは続き、残りの3分の1は改善することなく耳鳴りが継続します。
高齢のかたや、めまいの症状がともなうと完治しづらい
高齢の場合や、めまいの症状がともなう場合は、完治しづらい傾向にあります。
もっとも、完治すれば再発することはほとんどありません。これも、突発性難聴の特徴のひとつです。
2.症状から二日以内に耳鼻咽喉科へ!
治療の開始時期は、完治するかどうかに大きくかかわります。
突発性難聴は、発症してから治療をせずに2週間経過すると、回復が難しくなります。
そのため耳鳴りが続く、聞こえづらいなどの症状があらわれたら、1週間以内、できれば2日以内に耳鼻咽喉科を受診しましょう。
3.突発性難聴の治療。期間や入院について
点滴や飲み薬を用いて治療する
症状に応じて『点滴』や『飲み薬』を使用して治療します。
内耳の炎症を抑えることと、血流をよくすることを目的として治療をおこないます。炎症を抑える『ステロイド』、血流をよくする『血液粘度低下薬』や『血管拡張剤』、ダメージを受けた細胞を修復する『ビタミン剤』などを用います。
症状が重ければ入院して治療することも
症状が重く、通院では改善が見込めない場合、2週間ほど『入院治療』をおこなうこともあります。
薬物治療の期間はおよそ2週間
突発性難聴に対する薬物治療は、1か月以上続けても効果がありません。
また、ステロイドによる副作用の影響を避けるため、ステロイド剤は2週間以内に使用を中止します。薬の量については、医師の指示に従いましょう。
安静にすることも治療の一環
上記で紹介した治療に加えて、安静にすることも大切です。
突発性難聴は、ストレスや疲労との関連性が強いと考えられています。疲れをしっかり取り、ストレスの解消につとめましょう。
まとめ
早く治療することが大切!異常を感じたら耳鼻咽喉科へ
突発性難聴は、耳が詰まったような症状から始まることが多く、水が入ったと勘違いして、病院の受診が遅れることもあります。
しかし、突発性難聴を治すためには、すみやかに治療を始めることが大切です。耳に異常を感じたら、できるだけ早く耳鼻咽喉科を受診しましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2002年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科臨床研修医
2004年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教(院外)
2006年6月 幕内会 山王台病院 外科
2007年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教
2008年6月 関東労災病院 外科
2009年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科 助教
2012年10月 横浜旭中央総合病院 外科、昭和大学藤が丘病院 兼任講師
2017年11月 しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開業、院長に就任
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