耳鳴り、低音が聞こえない「低音障害型感音難聴」とは?症状や治療法
『低音障害型感音難聴(ていおんしょうがいがた かんおんなんちょう)』は、ストレスがたまっているときにかかりやすい難聴です。
最近ストレスたまってるなぁ…と感じている方、耳の聞こえが悪くなったり、耳閉感を感じたりや耳鳴りが始まったりすることはありませんか?
この記事では、ストレスの多い現代なら誰がなっても不思議ではない低音障害型感音難聴の原因・症状・治療法などをご紹介していきます。
低音障害型感音難聴について
1. 低音障害型感音難聴とは
耳がつまり、低音が聞き取りにくくなる
『低音障害型感音難聴』は、突然耳がつまったように感じられ、低い音だけが聞き取りにくくなる病気です。耳がつまったような感覚のことを『耳閉感(じへいかん)』といいます。
聴神経に腫瘍がある場合も、このような症状が発症しますが、低音障害型感音難聴の場合は、CTやMRIでも異常は見つかりません。
なんとなく聞こえにくいなど軽い症状が特徴
低音障害型感音難聴は、『突発性難聴』のように、急に耳が聞こえなくなるわけではありません。なんとなく耳が聞こえにくい程度の、軽い症状から始まることが多いのが、この病気の特徴です。
2.メニエール病とのちがい
回転性のめまいがない
低音障害型感音難聴は、難聴、耳閉感、耳鳴りなど、『メニエール病』と共通の症状があらわれます。しかし、メニエール病の特徴である『回転性めまい』はみられません。
「蝸牛型メニエール病」と呼ばれることも
そのため、『蝸牛型(かぎゅうがた)メニエール病』と診断されることもあります。蝸牛型メニエール病とは、聞こえの症状だけを示すメニエール病、という意味です。
『蝸牛』とは、内耳部分にあり、聴覚をつかさどる器官のことをいいます。
また、その他にも、『急性低音障害型感音難聴』、『急性低音障害』などと呼ばれることもあります。いずれも症状は同じです。
低音障害型難聴の症状や原因
1.症状
次の症状が主にあらわれます。
・低い音が突然、聞こえにくくなる
・低い音で耳鳴りがする
・耳の中に水が入ったような耳閉感がある
・音が割れて二重に聞こえる
・自分の声が響いて聞こえる
2.原因
低音障害型感音難聴のはっきりした原因は明らかになっていません。
しかし、発症する人のほとんどに、睡眠不足や過労、過度のストレスがあるなどの共通点があります。
20~40代の、働く女性がかかることが多いです。
おおもとの原因は解明されていませんが、音を感じるセンサーである蝸牛にリンパ液がたまりすぎることでバランスが崩れ、神経伝達がうまくいかなくなり、聞こえに影響を及ぼすことは分かっています。また、内耳の血管は非常に細いので、疲れやストレスなどの影響を受けやすいことも一因だと考えられています。
低音障害型難聴の治療や期間について
1.見逃しがちな初期症状 …早めに耳鼻咽喉科へ!
自己判断で病院へ行かないケースが多い
先に解説しましたが、低音障害型感音難聴は、突発性難聴のように突然耳が聞こえなくなるわけではありません。そのため、聞き取りにくさや耳の違和感を自覚していても、大丈夫だろうと自分で判断し、しばらく病院に行かない人も多いです。
違和感を覚えたらすぐに耳鼻咽喉科へ
そのまま回復に向かう場合もありますが、しばらくするとまた同じ症状に見舞われたり、軽度の難聴が残ったりする可能性もあります。違和感を覚えたらすぐにお近くの耳鼻咽喉科で診察を受け、早期に治療を始めましょう。
2.病院での治療
治療は薬を使った治療が一般的で、おもに下記の薬が処方されます。
ステロイド薬
内耳がむくむ原因である、炎症を鎮める薬です。
血液循環改善剤
内耳の血液の流れを良くする薬です。
利尿剤
内耳のむくみを取ります。
その他(ビタミン剤・漢方など)
低音障害型感音難聴は症状が軽い場合も多いので、ビタミン剤や漢方薬で経過を観察する場合もあります。
3.日々の生活習慣の見直しを!
生活習慣を見直し、睡眠不足やストレスを解消することも治療の一環です。低音障害型感音難聴と診断されたら、いつも以上にゆっくりと過ごし、疲れをためこまないようにしましょう。
4.治療にかかる期間と再発率
すぐに治療すれば、治療期間は数日から数週間ほど
低音障害型感音難聴は、比較的、症状が改善に向かいやすい病気です。個人差はありますが、症状が出てすぐに対処すれば、数日から数週間ほどで治る可能性が高いです。
治っても再発することがあるので注意
しかし、再発率は20~30%程度と言われており、一度治ってもしばらくして再発することも珍しくありません。
低音障害型感音難聴は、繰り返すほどに回復にも時間がかかるようになります。また、高い音にも難聴が進行してしまうケースもあります。
症状がおさまっても油断せず、医師の指示に従って通院するようにしてください。
まとめ
低音障害型感音難聴は、ストレスがたまっている時にかかりやすい病気です。症状を自覚していても、「まだ大丈夫」「もう少し」と病院に行くのを遅らせ、無理をして頑張ると病気に逆効果です。
低音障害型感音難聴と診断を受けたら、心と体を休ませるきっかけにしましょう。病院で適切な治療を受けるとともに、自らの生活習慣を見直すと良いですね。
執筆・監修ドクター
経歴1993年 私立開成中学・高校卒業
1999年 昭和大学医学部卒業、東京女子医科大学病院 脳神経外科入局
2005年 東京女子医科大学大学院脳神経外科学修了 脳神経外科 助教
北海道、関東にて各救急総合病院 脳神経外科医長等歴任
2011年 平成立石病院 脳神経外科勤務
2016年 寿町クリニック 院長
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