メニエール病の治療法や手術について解説!入院が必要なのはどんなとき?
メニエール病は、20代から40代にかけて発症のピークを迎える病気です。ストレスや寝不足などの生活習慣が、大きくかかわっています。
放置すると、聴力の低下や聴覚障害が残ることもあり、早期発見・早期治療が大切です。
症状によっては手術が必要になることもあります。こちらの記事では、メニエール病の治療でおこなわれる手術や、リスクについて解説します。
メニエール病とは
1.どういう病気?
『メニエール病』とは、めまいや平衡感覚のくるい、吐き気などを引き起こす病気です。
別名『内リンパ水腫』とも呼ばれ、原因は、内耳のリンパ液の圧や体積が増えることです。なぜ内耳のリンパ液が変化するのかは分かっていません。
とはいえ、ストレスや睡眠不足などの生活習慣がかかわっていることが分かっています。
また、気候による気圧の変化や、まじめで几帳面な性格によってかかりやすくなります。
2.メニエール病の症状
初期症状は、『なんとなく音が聞こえづらい』『耳の奥に何か詰まっていて、聞こえかたがくもる』など、あいまいなものが多いです。
その後、頭痛をともなうめまいや、吐き気などが生じます。めまいの程度は人によってさまざまで、回転を感じ立っていられない程のこともあれば、なんとなくふわふわする、といった程度のこともあります。
また、冷や汗や動悸などの症状があらわれるケースもあります。
こういった症状が定期的に続いたり、頻度が増えたりする場合は、耳鼻いんこう科を受診しましょう。
3.メニエール病の種類
「メニエール病」といっても、症状によってさまざまな種類に分けられます。
蝸牛(かたつむり)型メニエール病
蝸牛型メニエール病は、キーンと高い音の鳴る耳鳴りが繰り返され、低い音が聞きづらくなることが特徴です。
人の声を聴き取るのは問題ありませんが、人の声よりも低い周波数の音を、聴きづらく感じることがあります。
加えて、耳が詰まったような感覚や、音が揺れて歪んで聞こえることもあります。再発する可能性のある病気です。
前庭型メニエール病
前庭型メニエール病は、激しいめまいが特徴です。ぐるぐると回っているように感じられる、回転性のめまいの発作を繰り返します。この発作は、一度起こると長時間続きます。
また、横揺れやふわふわと浮いてぼーっとするようなめまいを感じることもあります。
両側性メニエール病
両側性メニエール病は、症状が左右の耳両方にあらわれます。
メニエール病にかかる人の3割程度が、両側性メニエール病です。比較的、難聴の程度が重い傾向にあり、すぐに治療が必要です。
メニエール病の手術
めまいや難聴の度合いがひどく、生活に支障をきたすレベルであれば、手術を検討することもあります。
しかし、まずは薬物療法や生活習慣の改善が先決です。
多くの場合は、薬物療法や生活改善によって症状が緩和します。それでも改善がみられない場合は、耳鼻いんこう科にて手術を考える必要があります。
1.内リンパ嚢(のう)開放術
メニエール病の原因となる、内耳の過剰なリンパ液を取り除く手術です。
手術を受けた7~8割近い人に回転性めまいの改善がみられます。難聴のリスクも最小限で抑えることのできる手術法です。
2.前庭神経術
前庭神経術は、平衡感覚をつかさどる『前庭神経』切断する手術です。
手術を受けた9割近い人に回転性めまいの改善がみられ、聴力も保たれることが多いです。
3.そのほか重度の場合の手術
重度のメニエール病の場合は、次の手術がおこなわれることもあります。
・外科的迷路摘出術…内耳を摘出し、平衡感覚機能と聴覚機能を排除する手術
・鼓膜換気チューブ留置術…鼓膜を切開し、チューブを穴に差し込んでリンパ液を排出する手術
4.手術には1~2週間の入院が必要!
手術をする場合は、1~2週間の入院が必要です。
入院している間は、手術以外に点滴治療や聴力のテストを受けます。
また、手術の有無にかかわらずメニエール病の症状がひどく、普段の生活が困難な場合は、入院して治療に専念することがあります。入院する場合は、一般的に服薬や点滴治療などをおこないます。
5.手術をするリスク…聴力への後遺症
手術のリスクとしては、『聴力に後遺症が残る可能性がある』ことが挙げられます。
完全に聞こえなくなることはまれですが、手術前よりも音がくもって聞こえたり、高音や低温が聞き取りづらくなったりする可能性はあります。
もちろん、手術を受けて、劇的によくなるケースもあります。
一方でメニエール病の発作は、不規則にあらわれる性質を持っています。
そのため、手術前と後との違いを明確に知るのが難しいという点があります。
まとめ
「メニエール病」とひとことに言っても、さまざまな種類があり、治療法も多様です。
手術はあくまで、治療の選択肢のひとつです。改善がみられる場合もありますが、変化が分かりにくかったり、難聴の後遺症が残ったりする可能性もあります。
症状がひどい場合には、手術の有無にかかわらず1~2週間ほど入院をして、治療につとめることも大切です。
医師とよく相談をしながら、治療方法について考えていきましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2002年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科臨床研修医
2004年5月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教(院外)
2006年6月 幕内会 山王台病院 外科
2007年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科助教
2008年6月 関東労災病院 外科
2009年6月 昭和大学藤が丘病院 消化器外科 助教
2012年10月 横浜旭中央総合病院 外科、昭和大学藤が丘病院 兼任講師
2017年11月 しらはた胃腸肛門クリニック横浜を開業、院長に就任
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