むずむずあししょうこうぐんむずむず脚症候群
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むずむず脚症候群とは
むずむず脚症候群(むずむずあししょうこうぐん)はじっとしていると、脚などに不快感があらわれる病気です。
夕方から夜間に症状があらわれることが多く、睡眠の質が下がる原因になります。
不眠だけでなく、睡眠中に途中で起きる、逆に夜眠れないので朝、寝過ごしてしまう原因にもなります。夜に眠れないことから、日中は強い眠気を感じます。
そのため、この病気になると学生であれば学業に、社会人であれば仕事に支障をきたします。また、日中でものんびりしていると症状があらわれることがあります。
眠れないことで睡眠薬を飲む人もいますが、多くの場合、症状は改善されません。
むずむず脚症候群の症状
むずむず脚症候群の症状は個人によって違いがありますが、「下肢がむずむずとかゆい」「しびれるような感覚」「痛む」などさまざまです。
下肢を動かしたくてたまらなくなり、動かすと症状は和らぎます。反対に、じっとしているとさらに症状が強くあらわれる傾向があります。
症状は夕方から深夜にかけてあらわれることが多く、朝や日中にはあまりおこりません。
また何かに集中していたり、作業をしたりしているようなタイミングではあまりおこらず、リラックスしていると症状があらわれるのも特徴です。そのため、寝ようと思うと症状があらわれ、睡眠が妨げられます。
多くは両足ともに症状があらわれますが、片足だけにあらわれる場合もあります。重くなることがあり、そうなると時間帯に関係なく症状があらわれ、睡眠に大きく影響します。
また、「睡眠時周期性四肢運動」があわせてみられることが多いといわれ、報告によってはむずむず脚症候群の約8割に認められるとされます。
これは寝ている間に、下肢の不随意運動として、
- 第一趾あるいは全趾の背屈
- 膝関節の屈曲
- 股関節の屈曲
があります。また上肢にも同様の不随意運動を認めることがあります。
チェックリスト
以下の項目に1つでも当てはまったら、むずむず脚症候群かもしれません。受診を検討しましょう。
□ 脚がむずむずとする感じがある
□ むずむずするのは主に夜間
□ 歩いたり、動かしたりするとむずむずが治まる
□ じっとしていると悪化する
※このチェックシートは、医師の診察に代わるものではありません。セルフチェックの結果が問題なさそうな場合でも、少しでも不安を感じたり気になることがあれば、必ず医療機関にご相談ください。
むずむず脚症候群の診療科目・検査方法
むずむず脚症候群は、睡眠がとれないことから、強い疲労感がある例も少なくありません。症状に気が付いた場合、脳神経内科などがある医療機関を受診しましょう。
原因となるほかの病気がないかCTやMRIによる頭部画像検査や血液検査などで調べます。
睡眠時周期性四肢運動が確認される場合は、筋電図検査や睡眠ポリグラフ検査をおこないます。ポリグラフ検査では寝ている間の心拍数、脳の活動などを調べます。四肢の動きをビデオなどで記録する場合もあります。
むずむず脚症候群の原因
むずむず脚症候群の原因はよく分かっていません。
脳内のドーパミンという神経伝達物質の働きが何らかの理由でうまくおこなわれず、症状がおこるのではないかと考えられています。
鉄はドーパミンを作るために必要な物質です。そのため、鉄不足によって症状がおこることがあります。またビタミンDの不足も関係していると考えられます。
妊娠をきっかけに症状があらわれたり、鉄欠乏性貧血の患者さんにおこりやすかったりするのは、こうしたことが関係していると考えられます。
ほかにもリウマチや糖尿病、パーキンソン病などの患者さんにも確認されます。腎臓が悪く、透析をおこなっているという患者さんも多くみられます。なかには遺伝的に家族に多いという患者さんもいます。
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むずむず脚症候群の予防・治療方法・治療期間
むずむず脚症候群の治療経過(合併症・後遺症)
むずむず脚症候群は激しい運動をすると症状を悪化させる場合があるのでできるだけ避けることが望ましいです。
散歩などの運動を心がける、筋肉をマッサージする、温かい風呂または冷たいシャワーなど、工夫をすることで症状が軽くなることがあります。
食事では鉄不足に注意することも大切です。また、座っているときは会話や趣味などに集中すると、意識をそらすことで症状があらわれにくくなります。
薬物療法は、急にやめると症状が悪くなることがあります。医師の指示にしたがって、気長に治療を続けることが大切です。
治療は長期にわたりますが、予後は良いと考えられます。
むずむず脚症候群になりやすい年齢や性別
むずむず脚症候群は、日本では約2~4%の人に症状があると考えられています。男女比は1:1.5と女性に多い傾向があります。
妊娠中は発症しやすくなりますが、多くは出産後すぐに症状がなくなります。
40歳代頃から患者数は増え、60~70歳代がピークとされます。しかし、実際のところ、患者さんの多くは10~20歳代から発症している場合が多いようです。
認知症の方や子どもは症状をうまく伝えられないため、診断が難しく、見逃されることがあります。
子どもの特徴として睡眠障害が目立つ、親あるいはご兄弟に同じような症状が認められやすい傾向があります。
執筆・監修ドクター
経歴2000年 福岡大学医学部卒業
2008年 福岡大学病院 神経内科 助教
2009年 福西会病院 神経内科部長
2012年 福西会病院 神経内科・リハビリテーション科部長
2016年9月 おばた内科クリニック開院
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