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ひろばきょうふしょう広場恐怖症

あごらふぉびあアゴラフォビア
更新日:2022/10/28 公開日:2020/01/06 view数:9,043
目次
  1. 広場恐怖症とは
  2. 広場恐怖症の症状
  3. 広場恐怖症の診療科目・検査方法
  4. 広場恐怖症の原因
  5. 広場恐怖症の予防・治療方法・治療期間
  6. 広場恐怖症の治療経過(合併症・後遺症)
  7. 広場恐怖症になりやすい年齢や性別

広場恐怖症とは

広場恐怖症(ひろばきょうふしょう)とは、強い不安を経験した場合に、今いる場所から容易に逃げる方法がなく、ほかからの助けが得られない状況や場所に追い込まれてしまうことに対して、恐怖や不安を抱く状態のことです。

もともとは本人も恐れていなかったような場所や状況に対して、ある日を境にものすごく不安や恐怖を抱くようになり、その場所や状況を避けるような状態が6か月以上続きます。

広場恐怖症をおこすきっかけはほとんどの場合、パニック発作、あるいはパニック症(障害)です。

パニック症を伴わない広場恐怖症もありますが、こうしたケースは女性の場合で2%、男性の場合で1%程度です。

この場合は下痢や嘔吐、めまいなどの身体症状が発作的におこった経験をもっており、そのために人前で恥をかくことを恐れていることがよくあります。

発症年齢のピークは20代前半です。40歳以上で初めておこることはあまりありません。

恐怖や不安を引きおこす状況としてよくあるのは、大勢の人で混雑した場所があげられます。

たとえば、公共の乗り物や会議、講演会、コンサート会場などがあります。

また、高速道路や高架橋、川にかかる長い橋、長大なトンネル、地下鉄などの逃げ場のない閉鎖的な場所も恐怖の対象になります。

鉄道では各駅停車は大丈夫だけれど、快速や特急など長時間止まらない列車を苦手にしている場合がよくあります。

予想される出来事への不安と、それに伴う回避の結果、列車やバスに乗れなくなります。その結果、就業範囲が限られ、外出する際に誰か付き添いを求めるようになります。

さらには、家から出られなくなるといったこともあります。

慢性的になってしまうことも多く、ほかの不安障害やうつ病を合併してしまうこともあります。

社会生活上大きく生活の質(QOL)を下げるので医療機関でじっくり治療を受けることが推奨されます。

広場恐怖症の症状

広場恐怖症をもつ方のほとんどがパニック症(障害)を伴っています。

原因もとくになく突然おこる「予期しない発作」と、発作がまたおきるのではないかという「予期不安」があります。

パニック発作の症状としては、動悸(どうき)、発汗、めまい、窒息感、胸痛、吐き気や嘔吐、下痢、失神、現実感の消失、死への恐怖です。

高齢者では転倒を恐れる、子どもでは迷子を恐れるなどがあります。

仮に、動悸や窒息感などで医療機関に駆け込んでも、その時には治まっていることも多く、医師にも身体的異常は確認できないことが多いです。

広場恐怖症は、パニック発作がおこった時にそこから逃れられない、助けも求められない状況を恐れ、避けます。

それは広場だけではなく、乗り物に乗る、人混みの交差点、高速道路、美容院、歯科受診時、劇場の中心あたりの席など、すぐには逃れられない場所があります。

また、逃げたら恥をかくと思われる会議、結婚式など、自由を束縛される状況などもあげられます。

逆に、家にひとりでいるという状況に恐怖を感じる人もいます。

誰かが付き添ってくれたら行動が可能な場合もありますが、家族依存になるなどで行動可能な範囲が限られます。生活機能の著しい低下は避けられません。

広場恐怖症の診療科目・検査方法

広場恐怖症が疑われる場合で、動悸や胸苦しさ、胃腸症状などで医療機関にかかって身体的原因がないと診断され、なおかつ特定の状況や多くの場所に行けない、避ける症状が続いたら、心療内科精神科を受診するようにしましょう。

乗り物に乗れないなどの症状がある人は、家族に付き添ってもらうことが望まれます。

たいていの場合は問診票への記入があり、診察ではそれを参考に問診、聴診がおこなわれます。ほかの病気を除外するために血圧を測ったり心電図をとったり血液検査をする可能性もあります。

広場恐怖症の診断基準は以下の3点です。

  1. 逃げられない場所(混雑の中、乗り物の中など)、または逃げたら恥をかく場所や状況(会議やパフォーマンスをおこなう場所)にいる不安、恐怖感がある。その訴えは、実際の一般的な見方からはかけ離れている。
  2. それらの状況を回避したり制限したりしている、またはパニック発作がおこることを強く苦痛に思い耐えている。そういった状態が約6か月以上続いている。そのことが、社会的生活に影響を及ぼして障害が出ている。
  3. 強迫性障害(汚染に対して強迫観念がありごみや公共物に触れないなど)
    特定の者ものに対する恐怖症(車や地下など特定のものだけを避ける)
    外傷後ストレス障害(強いストレスにかかわる刺激を避ける)
    社会不安障害(恥をかいたりすることに対する恐怖のために社会的状況を避ける)
    分離不安症(家や家族から離れることを避ける)
    などの精神疾患によるものと、不安や回避の行動が区別できる

こうしたことに相当すれば、広場恐怖症と診断されます。

また、パニック障害の既往歴のある人は広場恐怖症を併発することが多いです。

パニック障害がすでにある場合と、広場恐怖症だけの場合では対応の仕方も違います。

広場恐怖症の原因

広場恐怖症の明確な原因は解明されていません。身体的な不安にたいする感受性が高い人がなりやすいと考えられています。

脳科学の研究によれば、大脳の扁桃体(へんとうたい)にかかわる恐怖神経回路の活動性が過度になっているとされています。扁桃体は心地よい、不快、恐怖といった情動の中心とされる機能です。

何かの刺激を受けて扁桃体で恐怖感情を生み、視床下部など神経部位に伝わって動悸などの身体症状を引きおこす作用が働いているという説があります。

また、それと環境要因、心理的要因、遺伝的要因がかかわりあっていることが多いといわれています。

幼少期にあったつらい出来事、両親の死や別離、虐待、何者かに襲われる、被災するなど強いストレスがかかる経験があったなどの環境的要因が背後にあることがあるといわれています。

加えて、遺伝的要因もあり、親が広場恐怖症の場合、遺伝することがあります。

広場恐怖症の予防・治療方法・治療期間

広場恐怖症の治療は、薬物療法と認知行動療法を併せることがよいとされています。

広場恐怖症は、薬だけ服用していても完治する可能性は低いといわれています。患者さん本人が「乗り越えたい」という意志と勇気をもって行動療法にのぞんだ方が回復する道がひらけやすいといえます。

薬物療法

いわゆる抗うつ薬や、抗不安薬などによって治療をおこないます。抗うつ薬は不安に作用します。効果があらわれるのに数週間かかります。

それまでに、パニック発作がおこりそうな状況を予測できる時に服用し、一時的に症状を緩和させることができるのが抗不安薬です。ただし、保健適応されない薬もあります。

認知・行動療法

現実のとらえ方、ものの見方に働きかけ、バランスがよく柔軟な視点をもてるようストレスを軽減していく心理カウンセリングをおこないます。

「エクスポージャー(曝露療法:ばくろりょうほう)」による治療について効果が期待できます。不安を感じる状況を低いものから高いものへ、順にリストアアップし「不安階層表」を作ります。

できるところから、実際に経験するようにし、もともと恐れていた場所でも十分な時間そのままいるようにすれば、不安や恐怖を乗り越えられることを実際の体験から学び取るようにします。

エクスポージャーは、抗不安薬を服用してからおこなうと、抗不安薬に対する心理的な依存を作ります。誰かに付き添ってもらうと、その人に対する依存を生じます。

列車に対するエクスポージャーは最初や一駅だけでもよいので、具体的な計画をたてて一人でできるようにした方がよいでしょう。遠くに行く課題よりも、家に帰る課題にした方が実施しやすいことが普通です。

また、パニック発作自体になれるようにする「内部感覚エクスポージャー」も有効です。これを実際におこなうクリニックは数が少ないので、やってくれるかどうかを問い合わせておくとよいでしょう。

治療期間は、症状の重度にも、ほかの精神にかかわる病気を併発しているかどうかによっても違います。しかし、服薬を中止できるには、少なくとも6か月から1年は必要とされます。

広場恐怖症の治療経過(合併症・後遺症)

広場恐怖症では、薬物療法とエクスポージャーを併せて根気強くおこなった場合、不安階層表の「強い不安を感じる」に該当する項目をクリアできた頃にはパニック発作が軽快したとの報告があります。

抗不安薬を長期間服用することによって、「耐性」という、薬の効き目が弱くなることがあります。これを防ぐため、抗不安薬は抗うつ薬の効果があらわれるまでの期間にとどめておくことがよいといわれています。

広場恐怖症とパニック障害は合併していることがありますが、多くはパニック障害が治まれば広場恐怖症も改善します。

しかし、パニック障害にかかったことがない広場恐怖症であれば、慢性化することが多いといわれています。

さらに、慢性化するとアルコール依存症や鎮静剤を多用するなど心身に悪影響を及ぼす可能性があります。

広場恐怖症になりやすい年齢や性別

広場恐怖症は、平成14年から18年度にかけて厚生労働省が一般住民を対象におこなった調査では、何らかの不安障害をもつ人の12か月有病率は5.5%でした。そのうちの0.8%がパニック障害でした。

広場恐怖症の患者さんの数などを把握する統計情報はありませんが、広場恐怖症がパニック障害の患者さんの多くに発症するため、参考になる数字であると考えられます。

パニック障害は女子が男性の2.5倍多いという報告があります。

執筆・監修ドクター

原井 宏明
原井 宏明 医師 原井クリニック 院長 担当科目 精神科/心療内科

経歴1984年 岐阜大学医学部卒業,ミシガン大学文学部に留学(文化人類学専攻)
1985年 神戸大学精神科で研修
1986年 国立肥前療養所に就職,山上敏子先生から行動療法を学ぶ
1998年 国立菊池病院に転勤。精神科医長、うつ病や不安障害,薬物依存の専門外来と治験などを担当
2000,2001年 ハワイ大学精神科アルコール薬物部門に留学
2003年 臨床研究部長
2007年 診療部長
2008年 医療法人和楽会なごやメンタルクリニック院長
2013年 ハワイ大学精神科臨床准教授
2018年 千代田心療クリニック非常勤医師、BTCセンター・カウンセラー
2019年 原井クリニック開業

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