気になるくるぶしの痛みの原因とは?実は病気が潜んでいる可能性も
【医師監修】
くるぶしの痛みは足を捻ることで起こる捻挫や打撲、骨折などが大半ですが、中には病気が潜んでいる場合もあります。
くるぶしが痛む原因や症状や、病気との見分け方について詳しく解説しています。
足首の関節の内側と外側にそれぞれある突起した骨のことをくるぶしといいます。
くるぶしなど足首まわりは筋肉があまりなく、負担がかかりやすい部位なので、痛みが出ることもあります。
たかがくるぶしの痛みと侮ってはいけません。くるぶしの痛みの中には、痛みや腫れで歩くことさえままならない病気が隠れている場合もあります。
くるぶしの痛みや腫れについて、詳しくご説明します。
くるぶしの痛む原因
次のような様々な原因で、くるぶしに痛みが生じることがあります。
1.外傷や負荷によるもの
捻挫
捻挫は足首をひねることで起こります。足首は体重の数倍負担の負担がかかるため、足首をひねると、くるぶしにある靱帯が傷ついてしまいます。
また、過去に捻挫していた場合、足首の靱帯が緩んでいることがあり、捻挫しやすくなることがあります。
骨折
骨折も、足首をひねることで起こることがあります。病院へ行き、レントゲンを撮ることで確認できます。程度によっては、ギブスでの固定を行う場合があります。
疲労骨折
疲労骨折は、繰り返しくるぶしに負担がかかることで、徐々に痛みが生じます。スポーツや走ったりすることで、同じ部分に負担がかかることが原因です。
疲労骨折は骨が折れるというよりもヒビが入るといったほうが近く、たとえ疲労骨折をしても、痛みさえ我慢できれば動くこともできます。
骨は損傷しても日々修復を繰り返していますが、疲労骨折は怪我に対し修復スピードが追いついていないことが挙げられます。
後脛骨筋腱機能不全症(こうけいこつきんけんきのうふぜんしょう)
後脛骨筋とは、つま先立ちをするときに使う筋であり、内側のくるぶしの後ろを通っています。
この筋が、転倒などで外傷を負ったり、長期の繰り返しによる負荷がかかったりすることで、うまく機能しなくなり痛みを感じるといわれています。
特に中年以降の女性に多く、肥満や高血圧もリスク因子となります。ひどくなると扁平足になり、日常生活にも支障が出てしまいます。
腱炎(けんえん)
骨と筋肉をつないでいる腱が炎症を起こすことが原因です。長時間の立ちっぱなしや、足首を使用するような運動を行うことで、くるぶしに負担がかかってしまい痛みが出る場合があります。
2.生活習慣によるもの
運動不足
運動不足による、足首周囲の腱(すじ)が固まってしまうことにより、捻挫や腱炎を起こして痛みが出ることがあります。
外反母趾(がいはんぼし)
足の親指が小指側に曲がっている状態をいいます。歩くときにバランスを取ろうとするため、足首にも無理な負担がかかり、痛みが出ることがあります。
扁平足(へんぺいそく)
通常、足裏には土踏まずがあり、アーチ状になっていますが、扁平足は足裏が平らになっていてバランス良く歩く、走るという足の本来の機能を十分に果たすことができません。
また、走ったりジャンプしたりすると足首に負担がかかる場合があります。
冷え症
足首の冷えから、くるぶしに痛みを感じる場合があります。
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くるぶしの痛みから考えられる病気
くるぶしの痛みの中には、病気が関係しているものもあります。
1.痛風(つうふう)
足首をひねった記憶がないのに、赤み・腫れ・痛みがある
血液中の尿酸値が高いと、足首や足の指の関節炎により痛みを感じます。
多いのは足の親指の付け根ですが、足首をひねった記憶がないのに赤みや腫れ、痛みが出た場合、痛風の疑いがあります。
原因はストレスや内服薬の副作用など様々ですが、多くは食生活が原因です。特に肉類や過度のアルコール摂取が原因とされています。
2.関節リウマチ
あちこちの関節が痛くなる
朝、特に手の指がこわばる、あちこちの関節が痛い、などの症状からくるぶしにも痛みがある場合、関節リウマチの可能性があります。病院で診てもらいましょう。
3.変形性足関節症(へんけいせいあしかんせつしょう)
骨が受ける衝撃を吸収する、『関節軟骨』がすり減る
加齢や関節リウマチ、感染により関節軟骨(関節のクッションの役割を果たしているもの)がすり減ってしまうことにより、関節が変形し痛みが出ることがあります。
4.三角骨障害(さんかくこつしょうがい)
足首の後ろが痛くなり、つま先立ちができない
バレリーナやサッカーのシュート時や、高いヒールを長時間履く人に多く、アキレス腱とくるぶしの間に痛みが出ることがあります。
5.足根洞症候群(そっこんどうしょうこうぐん)
捻挫の後、長期間痛みが続く
足根洞とは、くるぶしのすぐ下を指します。捻挫の後に足根洞に長期間痛みが続く場合、可能性があります。
6.滑液包炎(かつえきほうえん)
関節を慢性的に酷使することで起こる
『滑液包』とは、関節など摩擦のある部位にある滑液を含んだ水のことで、関節を慢性的に酷使することにより起こります。
外側のくるぶしの斜めに関節包という袋があり、それが炎症を起こしている状態です。
中でも、滑液包に細菌が入ってしまう化膿性滑液包炎の場合は、くるぶし部分が赤く腫れ、痛みが出ます。
7.関節炎
関節の炎症を伴い、発熱や腫れがある場合がある
関節リウマチ以外にも、細菌による化膿性関節炎や、結核による関節炎においても炎症が起きる場合があります。
発熱や安静時の痛みなどの症状が見られることがあります。
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通院をする目安と自宅でできる対処法
1.何科を受診すればいい?
くるぶしの痛みは、足をひねることで起こる捻挫や打撲、骨折などが大半を占めます。
まずは整形外科を受診するのが良いでしょう。
2.こんな症状があったら要注意!
痛風や関節リウマチのような症状はもちろん、下のような症状が現れたら早めに病院で診てもらいましょう。
歩くたびに痛い
歩くたびに痛い場合、痛みのある付近の骨に異常が見られる場合があります。
骨のズレがそれほど大きくない骨折の場合、しばらく放置していると骨が自然にくっついていることも少なくありませんが、骨がくっつけばいいわけではありません。
骨がズレや曲がりがなく、関節や筋肉にも問題なく動かせる状態が「治った」ことになるので、歩くたびに痛みがあるような場合は放置しないで病院を受診しましょう。
関節が痛い
関節の痛みは、軟骨など足首の周辺組織が加齢や運動などにより関節周辺に炎症が起きていることが考えられます。
特に関節リウマチは早期治療を行うことが大切な病気なので、安易に自己判断をせずに痛むようなら一度病院で診てもらいましょう。
関節軟骨に変形がある
関節と関節の間の、クッションの役割を果たす関節軟骨が変形を起こしている場合もあります。
腫れている
腫れは、そのまま様子を見て問題のないケースもありますが、関節に炎症が起きている可能性もあります。
腫れに加え、熱をもっている場合、むやみに動かすのは危険です。こちらも自己判断が難しいので、気になるようであれば早めに診てもらうことをおすすめします。
3.接骨院、整骨院、整体は主治医と相談の上で
接骨院や整骨院、整体などは、整形外科で診断をもらってから、主治医と相談の上で行ったほうが良いでしょう。
4.自分でできる、くるぶしの痛みの対処法
すぐに病院に行くことができない場合は、以下を参考にして対処をします。
急に痛みが出た場合
外傷など、急に痛みが出た場合は、まず良く冷やします。
痛みや炎症による腫れは、冷やすことでひいていきます。保冷剤をタオルやハンカチで包み、痛みや腫れが気になる部分にあてて冷やします。
痛みが長く続いている場合
痛みが慢性化している場合は、温めましょう。冷えや神経痛、関節リウマチは温めることで痛みが和らぎます。お風呂や足湯につかることで体が温まり全身の血行が良くなります。
しかし温めると痛みがひどくなる場合はやめましょう。
まとめ
くるぶしの痛みは様々な原因が考えられます。捻挫と思っていたら骨折であったり、慢性関節リウマチや、化膿性の病気であったりと等様々です。
すぐに病院に行けない場合は自分でできる対処法などを試し、症状が続くようなら早期に病院を受診しましょう。放っておくと大変な大きな病気の場合もあります。
執筆・監修ドクター
経歴1995年 昭和大学卒業(形成外科)
1996年 慶應義塾大学(整形外科) ※以後、関連病院にて脊椎専門にて勤務医
2010年 久我山整形外科ペインクリニック 開院
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