へんぺいそく扁平足
人間は立っている時、足の裏をピッタリと地面にくっつけているわけではありません。足の裏はアーチ状のカーブになっていて、ちょうどお皿を伏せたような形で地面と接しているのです。このアーチのくぼんだ部分を土踏まず(つちふまず)と呼びます。そして、何らかの理由によって、足の裏のアーチが低く、土踏まずがない状態になっている足が扁平足です。
扁平足そのものは病気ではありませんが、場合によっては、痛みや不快感の原因となることもあります。
整形外科を受診し、足の裏や足首周りの筋肉を鍛えることで、改善が見込めます。
扁平足の症状
足の裏で受けた衝撃が身体に伝わりやすい状態のため、人によっては、
- 歩くと疲れやすい、長い距離を歩けない
- 足がむくみやすい
- スポーツが苦手になる、ケガをしやすい
- 足の裏が痛む(足底腱膜炎:そくていけんまくえん)
- 膝関節、股関節に負担がかかる
といったことがおこりやすくなります。
扁平足の診療科目・検査方法
病気ではありませんので、必ずしも治療の必要はありません。しかし、何らかの症状が出ている場合や、将来に不安のある場合には、整形外科を受診してください。子どもであれば、まずはかかりつけの小児科医に相談してみるのもいいでしょう。
医師は足と歩き方を観察することによって診断します。「土踏まずが〇cm以上なければ扁平足」といった明確な基準があるわけではなく、年齢、体格、生活習慣なども考慮して、総合的に判断されます。
歩行時の足の痛みなど、症状があらわれている場合は、立った状態で足のレントゲン写真を撮り、土踏まずのアーチが低くなっていないか、かかとが外側を向いていないかを調べます。
この結果をもとに、矯正などをおこなうかどうか方針を決めます。
また、具体的な症状が出ているのであれば、扁平足以外の原因も考えられるため、必要に応じた検査がおこなわれます。
扁平足の原因
通常、土踏まずは7~15歳ころまでに形成されますが、その年代を過ぎても形成が十分ではない場合、扁平足が疑われます。原因は大きく分けて先天性のものと後天性のものの二つがあります。
先天性
遺伝的な要因により、生まれつき土踏まずが形成されにくい場合があります。
後天性
足そのものには問題がなくても、子どものころの運動量が少なかったり、足に合わない靴を履いていたりすると、土踏まずが十分に形成されないことがあります。
また、ケガや肥満、運動不足などによって、一旦形成された土踏まずのアーチが低くなり、扁平足になる場合もあります。
数は多くありませんが、スポーツ選手などでは、過度な運動によって足の筋肉が非常に発達し、扁平足気味になるケースも報告されています。
扁平足の予防・治療方法・治療期間
病気ではありませんので、特定の治療法や治療期間といったものはありません。
アキレス腱のストレッチなど日々の運動などを通じて、少しずつ扁平足を矯正していくことになります。
一般的には、足の裏の筋肉を鍛えるよう勧められます。土踏まずは足の裏の筋肉が発達することによって形成されるからです。「床に敷いたタオルを足の指でたぐり寄せる」といった運動法が知られていますが、詳しいやり方や頻度については医師の指示を仰いでください。
また、土踏まずのアーチを持ち上げるような形状をした靴の中敷きを使用して、土踏まずを形成し、ふたたびアーチが低くならないように保つ方法もあります。
扁平足の治療経過(合併症・後遺症)
足の裏の筋肉を鍛える運動によって土踏まずの形成が順調に進めば、扁平足に伴う症状も少しずつ改善されていきます。
逆に、運動を続けているのに症状の改善がみられない場合は、そのほかの原因を疑う必要があります。
扁平足になりやすい年齢や性別
日本のある自治体で2002年におこなわれた小中学生を対象にした調査では、小学生の約30%、中学生の約18%が扁平足でした。
一方、別の自治体で2013年におこなわれた60歳以上の高齢者を対象にした調査では、男性の26.5%、女性の25.7%が扁平足でした。
加齢や太りすぎなどを原因とする後脛骨筋腱(こうけいこうつきんけん)の変性や断裂が、中高年や高齢者に後天的な扁平足を引きおこすこともあるとされています。
執筆・監修ドクター
経歴2005年 帝京大学医学部卒業
2012年 のぞみ整形外科内科クリニック開院
2017年 スガモ駅前整形外科開院
2020年 医療法人社団のぞみ会理事長
スガモ駅前整形外科 院長
のぞみ整形外科内科クリニック 院長
望クリニック 副院長
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