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じんうにょうかんがん腎盂尿管がん

更新日:2022/08/10 公開日:2019/08/28 view数:5,354

腎盂尿管がん(じんうにょうかんがん)とは、腎臓の中で尿が貯蔵される腎盂や腎臓と膀胱をつなぐ尿管にできるがんです。左右の腎盂から尿管、膀胱を経由して尿道までの経路を総称して尿路と呼びます。尿路内側にある尿路上皮や、粘膜細胞の移行上皮にできるがんを尿路上皮がんと呼びます。腎盂尿管がんのほとんどはこのがんのことを指します。

左右同時発症は少なく、片方の腎盂尿管にがんが発生します。稀に治療後にもう一方の側からがんが発生する場合があります。また、治療後には膀胱がんが発生しやすくなります。

症状は血尿や、背中痛、脇腹痛、腰痛などがあらわれます。重症化した場合は水腎症になり、腎臓は機能しなくなります。

治療は腎臓と尿管を膀胱の一部とともに摘出する外科手術が基本で、腹腔鏡による手術を選択することもできます。

喫煙習慣、常用薬、上部尿路の炎症、尿路結石などが危険因子としてあげられていて、これらを避けることが予防につながるとしています。

目次
  1. 腎盂尿管がんの症状
  2. 腎盂尿管がんの診療科目・検査方法
  3. 腎盂尿管がんの原因
  4. 腎盂尿管がんの予防・治療方法・治療期間
  5. 腎盂尿管がんの治療経過(合併症・後遺症)
  6. 腎盂尿管がんになりやすい年齢や性別

腎盂尿管がんの症状

初期の腎盂尿管がんは自覚症状がほとんどみられません。そのため、進行してから、症状が出ることが多いです。肉眼で確認できる血尿があらわれます。この血液が尿管を塞いでしまうことがあります。

また、がんの進行状況によっては背中、脇腹、腰などに痛みがあらわれます。痛みは強弱と消失の波を繰り返すことから尿管結石の痛みと間違えることもありますが、あまり痛みが強くありませんので区別は容易であることが多いです。重症化すると腎臓の中は排出されない尿で満たされる水腎症になり、やがては無機能腎となります。また、治療後に30~50%に膀胱がんの発生がみられます。

腎盂尿管がんの診療科目・検査方法

問診後に腹部超音波検査を実施し、腎盂内のがん、水腎症の有無、リンパ節転移の有無を調べます。血尿がある場合は、内視鏡で膀胱鏡検査をおこないます。これには膀胱がんと区別をつける目的もあります。尿検査では尿中がん細胞の有無を確かめる尿細胞診検査をおこないます。排泄性腎盂造影では造影剤を注入しX線撮影で尿の流れを調べたり、造影剤を注入しCT撮影で腎尿管膀胱を調べたりします。

これらの検査で陽性の可能性大と判断された場合、精密検査が必要になります。1つは逆行性腎盂造影検査です。これは尿道から膀胱鏡を入れ、カテーテルから造影剤を注入しX線撮影する検査です。

もう1つは、尿管鏡検査です。尿道から内視鏡を入れて、直接尿管、腎盂を観察します。異常のある組織を直接採取して細胞診や組織検査をおこなうことが多いです。

診断後も状況確認のために、幾度か画像診断をおこないます。しかし、すでに進行している例も少なくありません。検診で尿潜血を指摘されたら、一度は早めに泌尿器科を受診しましょう。

腎盂尿管がんの原因

原因は解明されていません。危険因子として喫煙や常用薬の副作用があげられています。

喫煙

喫煙については非喫煙者と比較すると喫煙者は3倍の発症リスクがあるとされています。45年以上の長期喫煙者では7.2倍、また過去に喫煙歴があるという場合でも2倍とされています。

常用薬の副作用

抗がん剤の「シクロホスファミド」や鎮痛剤の「フェナセチン」をはじめとする一部医薬品に対しても、発症リスクを下げるための対策を取る必要があります。また、一部の漢方薬については長期間の使用や濫用には注意する必要があります。

その他の化学薬品

このほか、塗料として使用されるベンジンなどの石油系有機溶剤などの化学物質なども発症リスクを上昇させます。そのため、石油、木炭、アスファルトやタールなどを職業的に扱うような産業従事者には4~5倍の発症リスクがあるといわれています。

慢性疾患

また、尿路結石など上部尿路の慢性炎症などもリスクと捉えられています。

腎盂尿管がんの予防・治療方法・治療期間

治療は手術を基本とし、発症した側の腎臓および尿管、膀胱壁の一部をひとまとめに摘出する「腎尿管全摘術」をおこないます。粘膜の浅い層に発生したがんで、転移がみられなければ腹腔鏡下手術を選択することも可能とされています。しかし、左右両側の腎盂尿管にがんが発生していたり、片腎を摘出済みで、残存する腎臓の腎盂尿路にがんを発症した場合は、腎機能を残す保存的手術療法をおこないます。このほかの保存的療法として、尿路にBCG(弱毒結核菌)を注入する治療法をおこなう場合もあります。

転移した場合や、転移がなくてもそれ自体が進行がんであるもの対しては、抗がん剤を用いた化学療法を優先的におこないます。しかし、有効性は立証されていません。

転移のあるものや外科手術が不可能な場合、また化学療法を補助する目的で放射線療法をおこなうことがあります。治療期間はがんの進行度や、選択した治療法により変動します。手術の場合は10~14日間の入院加療が必要となります。

腎盂尿管がんの治療経過(合併症・後遺症)

治療は手術を基本とします。がんがある側の腎臓と尿管、膀胱壁の一部をひとまとめに摘出する「腎尿管全摘術」をおこないます。粘膜の浅い層に発生したがんで、転移がみられなければ腹腔鏡での手術をすることが一般的です。

しかし、左右両側の腎盂尿管にがんが発生していたり、片腎を摘出済みで、残存する腎臓の腎盂尿路にがんを発症した場合は、腎機能を残す保存的手術療法をおこないます。このほかの保存的療法として、尿路に細いカメラ、尿管鏡を挿入し、レーザーで治療することによって尿管を温存する場合もありますが、できる施設は限られています。

転移がなくても、局所の浸潤が疑われたり、がんの悪性度が高い場合は手術の前に抗がん剤を用いた化学療法を先行させる場合もあります。転移のあるものや外科手術が不可能な場合は、抗がん剤を用いた化学療法をおこないます。

治療期間はがんの進行度や、選択した治療法により変動します。手術の場合は10~14日間の入院加療が必要となります。

腎盂尿管がんになりやすい年齢や性別

手術後5年程度は再発および転移に対して警戒するため、定期的に胸部・腹部CTなどの検査を受けます。
膀胱表面の粘膜のみにとどまっているがんであれば、5年生存率は90%程度と予後は良好とされています。

しかし、進行性のがんでは腎盂や尿管の壁が薄く浸潤しやすいため、他組織に転移しやすくなる傾向があります。そのため、3~5割の患者さんは手術後に膀胱がんが発生していて予後は不良となっています。

転移が認められない進行性がんの5年生存率は、20~50% 、転移が認められる場合は2年生存率が10%に満たないといわれています。予後の改善のためにそのようなケースでは術後も化学療法をおこなう必要があります。

術後は腎機能に問題がなければ食事の制限などもなく、普通の生活を送ることが可能とされています。しかし、過度な運動は推奨されません。

執筆・監修ドクター

陶山 俊輔
陶山 俊輔 医師 陶山クリニック 院長 担当科目 泌尿器科

経歴2005年3月  久留米大学病院医学部 卒業
2005年4月  福岡新水巻病院 初期研修
2007年4月  久留米大学病院 泌尿器科 入局
       久留米大学病院 泌尿器科 助教
2008年10月 大牟田市立病院 泌尿器科 医員
2010年4月  久留米第一病院 泌尿器科 医員
2010年10月 久留米第一病院 泌尿器科 医長
2013年4月  久留米大学病院 泌尿器科 助教、教育連絡主任
2015年4月  久留米大学病院 泌尿器科 助教、外来医長
2018年5月  陶山クリニック開院

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