ぎまくせいちょうえん偽膜性腸炎
偽膜性腸炎の症状
抗菌薬を使用後に、下痢、腹痛、発熱、嘔吐等がおこることが知られています。
偽膜性腸炎の診療科目・検査方法
偽膜性腸炎の原因
クロストリジウム・ディフィシル菌(C.difficile)は嫌気性菌(※1)で芽胞(※2)を有し、芽胞を介して経口感染します。
入院期間が長くなるほど保菌率が高まります。
ニューキノロン(※3)、セファロスポリン(※4)、クリンダマイシン(※5)等の抗菌薬の使用によって腸内細菌のバランスを乱して発症に至ります。
偽膜性腸炎の予防・治療方法・治療期間
可能であれば原因となっている抗菌薬の使用を中止するのが望ましいです。
またバンコマイシン(※6)、メトロニダゾール(※7)の経口投与を行うこともあります。
治療期間は10~14日です。
偽膜性腸炎の治療経過(合併症・後遺症)
治療は可能です。
偽膜性腸炎になりやすい年齢や性別
性差はなく、高齢者・入院患者に多い傾向にあります。
参考・出典サイト
編集部脚注
※1 嫌気性菌
嫌気性菌は、「生育にあたり、酸素を必要としない細菌」を指します。
嫌気性細菌は、「通性嫌気性細菌」と「偏性嫌気性細菌」に細分化することができます。
通性嫌気性細菌は「酸素を必要としないが、酸素が存在する環境でも生きていける細菌」、偏性嫌気性細菌は「大気中と同じ濃度の酸素に晒されると死滅する細菌」です。
ちなみに、生きるために酸素が必要な細菌を「好気性細菌」と呼びます。
※2 芽胞(がほう)
芽胞は、「耐久性の高い細胞構造」です。
一部の細菌は、生存・増殖が困難な環境に置かれると、芽胞を形成して休眠状態に入ります。
芽胞は熱・乾燥・薬剤などに高い耐久性を示します。
「通常の消毒薬」「数分間の煮沸」程度では、芽胞を形成した細菌を殺菌できません。
増殖できる環境になった場合、発芽して普通の状態に戻ります。
※3 ニューキノロン
ニューキノロンは、抗菌薬の系統の1つです。
細菌が増殖するのに必要な酵素―DNAジャイレースを阻害する働きを持っています。
広い範囲の細菌に対し、殺菌的な抗菌作用をもたらします。
※4 セファロスポリン
セファロスポリンは、抗菌薬の系統の1つです。
セファマイシン系と合わせて「セフェム系抗菌薬」と総称されます。
細菌の細胞壁を構成するペプチドグリカンの合成を阻害することで、殺菌的に抗菌作用を示します。
※5 クリンダマイシン
クリンダマイシンは、抗菌薬の種類の1つです。
リンコマイシン系抗菌薬に属します。リンコマイシン系の抗菌薬は、静菌的に作用します。
静菌は「増殖を抑えること」を指します。
※6 バンコマイシン
バンコマイシンは、抗菌薬の種類の1つです。
グリコペプチド系抗菌薬に属します。
バンコマイシンは偽膜性腸炎の原因菌―「クロストリジウム・ディフィシル菌」を殺菌することができます。
これまでに使用した抗菌薬により、「さまざまな細菌が殺菌された中で、クロストリジウム・ディフィンシル菌が大量に生存している状態」になったことが偽膜性腸炎の原因です。
そのため、「クロストリジウム・ディフィシル菌」を殺菌すれば、偽膜性腸炎の軽快が期待できます。
※7 メトロニダゾール
メトロニダゾールは、抗原虫薬・抗菌薬の1つです。
ニトロイミダゾール系に属します。
もともとは「トリコモナス」と呼ばれる原虫(単細胞の寄生虫)を駆除する薬でしたが、嫌気性菌にも幅広く抗菌作用を示すことがわかり、適応範囲が広がっています。
偽膜性腸炎の原因菌―「クロストリジウム・ディフィシル菌」に対しても、抗菌作用を示します。
執筆・監修ドクター
経歴2009年 藤田保健衛生大学医学部卒業
2009年 津島市民病院で初期研修
2011年 慶應義塾大学大学院経営管理研究科
2013年 総合大雄会病院 消化器内科
2017年 総合大雄会病院 消化器内科 診療副部長
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