びしゅっけつしょう鼻出血症
鼻出血症(びしゅっけつしょう)は鼻の穴から血が出ることをさしています。一般的には「鼻血」と呼ばれ、多くの人が経験しています。
副鼻腔炎やかぜなどの急性鼻炎で鼻がつまる、くしゃみが多い、鼻を何度もかむといったことで鼻出血をおこしやすい状態になります。
子どもの場合はアレルギー性鼻炎などによる鼻のかゆみをきっかけに指で鼻の粘膜を刺激したり傷つけたりしてしまうことが原因になります。また、鼻出血は子どもに多い印象がありますが大人にも同じようにおこり、高血圧などほかの病気が隠れた原因となっていることもしばしばあります。
鼻血の際に軽い症状のものであれば必ずしも受診は必要ありません。しかし、一般的に知られる「鼻血が出たら上を向いて首筋をトントンたたく」という処置は医学的根拠に乏しい対応です。正しい対応方法を確認し、早急に出血を抑えましょう。
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鼻出血症の症状
固有鼻腔(鼻の穴の周辺)や副鼻腔(鼻の奥の空洞)、上咽頭(のどの奥の上の部分)から血が出て、外鼻孔(鼻の穴)から流れ落ちます。出血の量や箇所によっては鼻の奥からのどへ血が流れることもあります。
鼻の穴を左右に仕切る鼻中隔の前方部位にあるキーゼルバッハ部位から血が出ることが多くあります。キーゼルバッハ部位は鼻の穴から1cmほどの場所にあり、毛細血管が多く、粘膜が薄いため血が出やすい部位です。
ほかにも鼻の入り口にかさぶたが出来て、それが取れたときにも出血します。血がたくさん出ると、ショック(急激な血圧の低下)をおこす可能性があります。
鼻出血症の診療科目・検査方法
鼻出血症の原因
ケガや膿(うみ)がきっかけでおこるものが多いです。
副鼻腔炎やかぜなどによる急性鼻炎で鼻を何度もかむときに出やすくなります。
子どもの場合はアレルギー性鼻炎などで鼻がかゆくなり、こすったりいじったりすることで鼻の粘膜が刺激されることが原因になります。
大人の場合は原因不明(特発性鼻出血)であることが多くあります。女性であれば生理にともない出血する人もいます。また、高血圧や循環器の病気、薬物など、さまざまな原因が隠れていることがあるため、詳しく調べる必要があります。
子どもか大人かに関係なく、白血病など血液の病気や、できもの(腫瘍)が原因になって鼻出血をおこしていることもあります。
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鼻出血症の予防・治療方法・治療期間
基本的には「圧迫止血法」で出血を抑えます。
キーゼルバッハ部からの出血であれば、うつむいて鼻を左右からつまんで強く押さえます。15~20分程度押さえ続ければ、多くの場合は出血が止まります。
また横になるのを避け、可能であれば椅子に座ります。のどに血が回る場合は、飲み込まずに吐き出すようにしましょう。
よく知られている、上を向いたり、後頭部をトントンとたたいたりする処置はよくありません。また、鼻にティッシュペーパーを詰めると、あとで引き抜くときに再び粘膜を傷つけてしまうこともあります。
詰めものをするのであれば、なるべくガーゼやコットンにして、あまり奥へ入り込まないように注意しましょう。詰めるときにワセリンや軟膏を塗っておけば、あとで引き抜きやすくなります。
それでも血が止まらない場合は、血を止める薬を使うこともあります。また、レーザーなどで血が出ている部分の血管を焼き、血を止めることもあります。多くは当日中に治療が終わりますが、血が出ている箇所によっては入院が必要になることもあります。
鼻出血症の治療経過(合併症・後遺症)
多くは問題なく血が止まり、その後の生活にも影響はありません。
しかし、繰り返し血が出る場合は大きな病気が隠れている可能性もあるため、原因をしっかりと見極める必要があります。鼻の中に出来た腫瘍が原因であれば早い段階で治療する必要があります。
耳鼻咽喉科医に腫瘍がないかを調べてもらいましょう。
鼻出血症になりやすい年齢や性別
実際に何人くらいが鼻血を出しているのか具体的に調べた研究は確認できませんでした。しかし、多くの人が一生に一度は経験しているのではないかと考えられています。
1984年から1990年までの7年間、鼻血で受診した1632人の患者さんを調査したところ、10歳までの子どもと40歳以上が多いという結果でした。また、この調査では、男女比が2:1と男性に多くみられました。
執筆医の経験上でも10歳以下と40歳以上がほとんどです。また、左右に鼻の穴を隔てる鼻中隔のカーブがある鼻中隔湾曲症の強い患者さん、手を鼻にもっていく癖があるという人も鼻出血をおこしやすい傾向にあります。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴1988年 聖マリアンナ医科大学 卒業 同耳鼻咽喉科入局
1998年 山梨医科大学 耳鼻咽喉科 入局
2005年 矢崎耳鼻咽喉科 入職
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