じょうがくどうがん上顎洞がん
上顎洞がんとは?
上顎洞(じょうがくどう)がんは上顎洞に発生した悪性腫瘍です。
上顎洞は副鼻腔の1つで、副鼻腔の中で、最も大きい空洞があります。
目と歯の間、頬骨の側辺り、小鼻近辺の左右対象に位置しており、この部分に発生した悪性腫瘍(がん)を上顎洞がんといいます。
鼻や副鼻腔のがんの中では発生しやすいのですが、胃がんや子宮がんなどに比べるとかなり稀ながんと言えます。
近年は副鼻腔炎が減少し、それと共に上顎洞がんの数も減少傾向にあります。
初期は鼻風邪のような症状なので気がつきにくい疾病です。
進行すると上顎洞の骨の壁を破壊して周囲の組織を圧迫し始め、顔、眼の変形異常、神経障害なども起こります。
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上顎洞がんの症状
がんが上顎洞内のみ存在するときは症状が出にくく、初期症状があったとしても副鼻腔炎(鼻閉感、膿性の鼻漏など)のような症状であるため、判断はしにくいです。
がんが進行して増大すると、がんの増大箇所によってさまざまな症状があらわれます。
がんが前方に増大すると、顔が腫れたように見えるようになります。また、後方に増大すると、視力が落ちたり、口が開きにくくなったり、頭痛がおこることもあります。
そのほか、鼻づまり、歯痛、眼球突出、ものが2重に見える、口腔内が腫れる、鼻血など、さまざまな症状がみられます。
上顎洞がんの診療科目・検査方法
上顎洞がんの原因
明らかな原因は不明とされています。慢性副鼻腔炎(蓄膿症)が主に関係していると考えられています。
副鼻腔は小さな空洞があるので、風邪をひいたことによって、副鼻腔の炎症が続くと、慢性副鼻腔炎になることがあります。慢性副鼻腔炎を放置、または炎症が続くことで、がんに移行する場合があると思われます。
また、木材粉じんやホルムアルデヒドなどの有害物質によって引き起こされることも分かってきました。
近年では慢性副鼻腔炎の患者が減少しているため、このがんを発症する人も減少傾向になっています。
上顎洞がんの予防・治療方法・治療期間
上顎洞がんの治療は、他のがんと同様に外科的手術での切除が行われるが、上顎洞がんの箇所が顔であることから顔の状態や目の機能を損なわないような工夫が必要となります。そのため治療では化学療法、放射線療法、手術療法を組み合わせて行うことが多いです。
多くの上顎骨を摘出した際には、腹部や皮膚、骨などを使い顔の保存を図るようにします。
治療期間は、がんの進行状況により個人差があります。
上顎洞がんの治療経過(合併症・後遺症)
上顎洞がんは症状が出た時にはすでに進行している場合が多く初診時に80%はT3,T4の進行がんになっています。
化学療法、放射線療法、外科療法を併用して5年生存率は42〜70%と報告されています。
上顎洞がんの進行度
T1 | 上顎洞粘膜に限局 |
T2 | 骨吸収/骨破壊(上顎洞後壁および翼状突起進展を除く) |
T3 | 上顎洞後壁の骨、皮下組織、眼窩底/眼窩内側壁、翼突窩、篩骨洞 |
T4a | 眼窩内容前部、頬部皮膚、翼状突起、側頭下窩、篩板、蝶形洞、前頭洞 |
T4b | 眼窩尖端、硬膜、脳、中頭蓋窩、脳神経(V2除く)、上咽頭、斜台 |
参考・出典サイト
上顎洞がんになりやすい年齢や性別
全がんの5%とされる頭頚部癌に含まれています。70年代の調査では日本の罹患率は10万人あたり、男性で1.6人、女性で0.7人です。
女性より男性に多く、50歳以上で発症のリスクが高くなります。
執筆・監修ドクター
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