こうさんきゅうせいふくびくうえん好酸球性副鼻腔炎
好酸球性副鼻腔炎とは?
好酸球性副鼻腔炎とは、鼻茸(鼻ポリープ)が両側の鼻内にたくさんできてしまい、再発しやすい難治性の副鼻腔炎です。
鼻茸は手術で取り除くことができるため、一時的に回復しますが再発してしまうことが多い特徴があります。
通常の慢性副鼻腔炎であればマクロライド系抗菌薬の少量持続投与や内視鏡手術による鼻茸の摘出により治癒することが多いです。好酸球性副鼻腔炎は、再発しやすい点、ステロイド薬の投与により症状が軽快する点、嗅覚障害を伴いやすい点、喘息(特にアスピリン喘息)を併発しやすい点、特殊な中耳炎(好酸球性中耳炎)を併発しやすい点などが特徴です。
鼻茸を調べると好酸球という免疫細胞が多く確認できるため、2000年代に好酸球性副鼻腔炎という名前で呼ばれるようになりました。
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- 目次
好酸球性副鼻腔炎の症状
鼻がつまり、粘りのある鼻汁が出ます。また難治性の嗅覚障害がおこります。
喘息を併発したり、中耳炎を併発することもあります。好酸球性中耳炎に罹患すると難聴や、耳漏を伴うこともあります。
症状は両側鼻内で同じように現れます。
鼻茸が鼻内に充満すると鼻が閉塞してしまい、鼻呼吸が困難となり口呼吸になります。
口呼吸を続けることで気道(のどから気管)が乾燥し、喘息発作を誘発し、呼吸障害を呈する場合があります。
気管支喘息に合併しやすく、アスピリン系の解熱剤へ反応するアスピリン喘息をおこす人にも合併しやすいことがわかっています。
逆に好酸球性副鼻腔炎の患者さんが気管支喘息やアスピリン不耐症をおこすこともあります。
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好酸球性副鼻腔炎の診療科目・検査方法
主な診療科は、耳鼻いんこう科です。
問診とともに、鼻鏡、ファイバースコープなどを使い、鼻の中を詳細に確認します。
他にもCT検査を行い鼻茸の状況を詳しく確認します。
気管支喘息やアスピリン喘息に罹患している患者の両側鼻茸を認めた場合には、公算急性副鼻腔炎を疑い、嗅覚障害の有無、中耳炎の有無、問診、血液検査などの検査が進められます。
両方鼻内に鼻茸を認めるか・CTにて特徴的な鼻茸の所見(篩骨洞優位の陰影)を認めるか・血液検査の好酸球数は多いか・鼻茸内の好酸球数はどうか、これらの項目を踏まえて診断が確定されます。
その他にも好酸球性中耳炎を合併しているか・アスピリン喘息や気管支喘息の合併があるか・NSAIDアレルギーがあるかなどをもって重症度が決定されます。
好酸球性副鼻腔炎の原因
ウイルスの関与も疑われていますが、はっきりとした原因はわかっていません。また今のところ、この病気が遺伝するという報告もありません。今後の研究結果次第で解明されることが期待されています。
現在は指定難病になっています。
好酸球性副鼻腔炎の予防・治療方法・治療期間
・ 手術療法
・ ステロイド投与
通常の慢性副鼻腔炎で行う治療は効果を認めません。唯一の治療法としてはステロイドの経口投与になります。
手術療法により鼻閉症状は一時的に改善しますが、すぐに再発します。しかし手術をすることで鼻内を単一の空洞(鼻内の細かい骨の隔壁を除去し、単洞化)にすることで術後の管理に有益とする報告もあります。
好酸球性副鼻腔炎の治療経過(合併症・後遺症)
好酸球性副鼻腔炎になりやすい年齢や性別
1990年代後半から増加しており、現在も増加傾向にあります。
好酸球性副鼻腔炎の患者は約2万人います。
女性よりも男性に多い傾向があります。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴2009年に日本大学医学部を卒業。初期研修課程終了後、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科へ入局。東京医科歯科大学付属病院や土浦協同病院などの市中病院で研鑽を積み、カリフォルニア大学サンディエゴ校へ留学。
2016年7月より医療法人社団則由会AGAヘアクリニックを院長として開院すると同時に水島耳鼻咽喉科副院長に就任。
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