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おすらーびょうオスラー病

いでんせいしゅっけつせいもうさいけっかんかくちょうしょう/しゅっけつせいまっしょうけっかんかくちょうしょう/えいちえいちてぃー遺伝性出血性毛細血管拡張症/出血性末梢血管拡張症/HHT
更新日:2022/08/10 公開日:2019/07/01 view数:8,165

オスラー病(おすらーびょう)とは全身の血管に異常が起こり、出血などの症状がおこる病気です。

「遺伝性出血性毛細血管拡張症」「遺伝性出血性末梢血管拡張症」と呼ばれることもあります。
遺伝性の病気で、この病気を持つ親から子へ伝わりますが、原因になる遺伝子を持っていても必ず発症するわけではありません。
全身の血管に異常がおこる病気ですが、おこる症状は患者さんによりまちまちです。
指定難病となっており、この疾患の患者さんの約5割は、「肺」「脳」「肝臓」の少なくとも1つに病変があるとされています 。

目次
  1. オスラー病の症状
  2. オスラー病の診療科目・検査方法
  3. オスラー病の原因
  4. オスラー病の予防・治療方法・治療期間
  5. オスラー病の治療経過(合併症・後遺症)
  6. オスラー病になりやすい年齢や性別

オスラー病の症状

出血性毛細血管拡張症に最も多い症状は、「鼻出血」です。
鼻出血は患者さんの約80~90%におこります。

異常な血管が臓器にあるとそれぞれの臓器に対して症状がおこります。
例えば、肺に異常な血管が増えた場合、「血痰(痰に血がまじる)」が出ることがあります。
また、肺が十分な酸素を受け取れなくなり、息切れが生じたり、疲労を感じやすくなったりすることも考えられます。
肺の血管異常によって血栓ができてしまい、それが脳に達することで脳卒中や一過性虚血発作がおこることもあり、
脳に異常な血管が増えた場合であれば頭痛やけいれん、麻痺などの脳神経に関わる症状がおこる可能性があります。
肝臓であれば肝不全になります。
消化管出血や鼻出血などの出血が長引くことで鉄欠乏性貧血になることもあります。

出血は、特に顔・唇・口や鼻の中、手足の指先が赤色・紫色になることで気がつくことが多いです。

オスラー病の診療科目・検査方法

主な診療科は「呼吸器内科」「耳鼻いんこう科」「脳神経内科」「脳神経外科」などです。

検査は、基本的には医師による視診を中心に診断されます。顔、口の周り、手足の指に血管拡張がみられた場合に診断され、判断が難しい場合には、脳や肺、肝臓などを調べるためにCTやMRIなどの画像検査をおこなうこともあります。それでも診断が難しい場合には遺伝子検査を利用することが可能です。
検査をすると、この疾患の患者さんのうち、80%に遺伝子の突然変異が見つかります。

家族に本疾患の患者さんがいる場合は思春期の終わり頃に病気の可能性があるかを調べることが多く、通常は、肺・肝臓・脳の画像検査でおこないます。

診断基準

オスラー病には、以下のような診断基準があります。

  • 鼻血を繰り返す
  • 皮膚や粘膜などの毛細血管が広がっている
  • 肺や脳、肝臓などの動脈・静脈に奇形がある
  • 両親など、一親等以内でオスラー病を罹患している人がいる

この4項目のうち、3つ以上当てはまるとオスラー病であると診断されます。また2つ当てはまる場合は、疑いがあるのではと推測されます。
ただし、子どもの場合は2つしか当てはまらない場合でも注意して診察・観察することもあります。

オスラー病の原因

原因は遺伝子の異常です。
原因となる遺伝子は「Endoglin」「ACVRL-1」「SMAD4」の3つが確認されており、これ以外の原因遺伝子も存在する可能性はあります。

これらの遺伝子が、血管内膜の形成に関わっており、血管奇形が出現することで出血などの症状が出るとされています。

「常染色体優性遺伝」であるため、この遺伝子を持つ親から生まれた子どもは、遺伝子を受け継ぐ確率が50%であります。遺伝子異常があると必ず発症するというわけではないが、常染色体優性遺伝で発症する疾患としては高頻度です。

オスラー病の予防・治療方法・治療期間

鼻出血に対しては、軽症であれば圧迫法などによる止血などをおこないます。
中等度であれば、レーザーによる鼻粘膜を焼く治療を施したり、重症であれば鼻粘膜の皮膚を置き換える手術をおこなうことも考えられます。

肺動脈に血管の異常がある場合、破裂や塞栓症を起こす可能性があるため、カテーテル治療で血管内の塞栓を治療します。

脳に症状がある場合は外科的な方法や放射線療法を組み合わせた治療をおこないます。
消化管出血や鼻出血による貧血には、鉄剤が投与され、さらに消化管出血が重症であれば、内視鏡でレーザー治療をおこなう傾向にあります。

治療期間は、症状が出ている場所によりさまざまですが、近年は多くの血管病変の治療ができるようになってきています。

オスラー病の治療経過(合併症・後遺症)

この疾患による死亡率は2~4%です。

近年、血管塞栓術、レーザー治療などによって、予後は比較的良好です。
血管破裂、脳膿瘍、敗血症などの合併症を起こさなければ、普通の人と同様に生活を送ることができるといわれています。

肺に発症し未治療の場合は、歯科治療などの治療時に抗生物質を服用し、感染を予防することが推奨されています。

オスラー病になりやすい年齢や性別

はっきりとした統計はありませんが、日本では5,000~8,000人に1人が原因になる遺伝子を持っているとされています。
また、患者数としては約10,000人と推測されています。
頻度は低いですが非常に珍しい病気というわけではありません。

また、本疾患の遺伝子を持っていても、必ずしも発症するわけではないため、罹患者数は推測値です。
国の指定している難病指定の1つであるため、条件を満たせば医療費の補助を受けることができます。

遺伝によるものであり、発症に男女差はなく、小児期に鼻出血を繰り返し、思春期以降に皮膚や粘膜の毛細血管が拡張し、中年以降に消化管出血の症状が出る、など年齢とともにさまざまな症状があらわれると考えられています。

執筆・監修ドクター

杉村 久理
杉村 久理 医師 江北ファミリークリニック 院長 担当科目 内科/小児科/アレルギー科/呼吸器内科

経歴産業医科大学医学部 卒業
順天堂大学医学部公衆衛生学教室 研究員
McGill University Occupational Health 留学

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