腎性尿崩症とは
腎性尿崩症(じんせいにょうほうしょう)とは、腎臓が、尿の濃度をコントロールするホルモンに反応しにくくなり、大量の薄い尿を排出する多尿になる病気です。
正常な状態の腎臓は、ADHという抗利尿ホルモンによって尿量を調節しています。特に、バソプレシンという下垂体ホルモンの指令により尿の濃度と量を調整しています。
腎性尿崩症にかかると、バソプレシンの指令を腎臓の尿細管が反応しなくなり、ろ過された水分を身体に再吸収することができなくなります。非常に強いのどの渇きを感じ、水をたくさん飲むようになります。
腎性尿崩症の症状
腎性尿崩症は、たくさんの量の尿を出す多尿になります。量は1日あたり3ℓ以上、多いときは、20ℓの尿を排出します。
そのため、強いのどの渇きも生じます。発熱もみられ、嘔吐(おうと)や、けいれん発作を伴う場合もあります。
遺伝性の場合は、生後すぐに症状があらわれます。また、乳幼児は、のどの渇きを伝えられないため、重度の脱水症におちいりやすくなります。
認知症のある高齢者も、のどの渇きを伝えられないため、脱水症をおこしやすい傾向にあります。
腎性尿崩症の診療科目・検査方法
腎性尿崩症の原因
腎性尿崩症は遺伝性と後天性があります。
遺伝性のものは「先天性腎性尿崩症」とよばれます。遺伝性の多くの場合、X染色体による劣性遺伝子によって引きおこされます。男性はXY、女性はXXという染色体を持っています。
そのため、X染色体が1本しかない男性に発症することが多くあります。また両親からの遺伝ではなく遺伝子の突然変異で発症することもあります。
後天性のものは下垂体のホルモンであるバソプレシンの作用を阻害する薬によって引きおこされることがあります。
また、多発性嚢胞腎(たはつせいのうほうじん)、腎盂腎炎、シューグレン症候群、骨髄腫や肉腫のがんなど、病気によって腎臓そのものが侵された場合も、腎性尿崩症をおこす恐れがあります。
血液中のカルシウム濃度が高い状態や、カリウム濃度が低い状態が続いていると、バソプレシンの作用が部分的に遮断されるため、腎性尿崩症をおこしやすくなります。
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腎性尿崩症の予防・治療方法・治療期間
腎性尿崩症において、脱水を予防するために、のどの渇きを感じたら、ただちに十分な水分を摂取する必要があります。
また、尿の量を減少させるため、食事を、塩分とたんぱく質を控えたものにする必要があります。
尿の量を減少させるための薬も使用します。
乳幼児や、症状の重い高齢者などには、十分な水分を頻繁に与える必要があるため、点滴なども利用します。
腎性尿崩症の治療経過(合併症・後遺症)
腎性尿崩症は重度の脱水症となる前に診断できれば、予後は良好です。
乳幼児の場合も、治療を適切におこなえば、正常に発育する可能性が高くなります。
逆に、早期の治療をおこなわないと、脳に損傷が生じ、知的障害があらわれたり、身体の発育が遅れたりする可能性があります。
腎性尿崩症になりやすい年齢や性別
腎性尿崩症の患者さんの数は日本では不明です。
先天性腎性尿崩症について、カナダのケベック州でおこなわれた研究からの推測では、男児100万人出生あたり8.8人のX連鎖性劣性遺伝形式の患者さんが認められると報告しています。
執筆・監修ドクター
経歴1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
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