病気が病気を生む「膠原病肺」とは?知っておきたい症状と治療法

私たちの体には、外敵から体を守るための免疫システムが備わっていますが、支障をきたすと自らの組織を攻撃してしまいます。
中でもタンパク質の“コラーゲン”を標的として、皮膚や内臓、骨、筋肉、血管などあらゆる場所に炎症や障害を起こす疾患を「膠原病(こうげんびょう)」といいます。
膠原病はそれ自体が原因となり、別の病気を引き起こしやすい病気です。特に肺に異変を起こすことが有名で、引き起こされる肺疾患を「膠原病肺(こうげんびょうはい)」といいます。
膠原病肺とは
先に説明したように、膠原病にかかっており、肺に異変があったものを総称して、膠原病肺といいます。
膠原病肺の症状は、それぞれの肺の異変具合によって違いますが、軽度であればあまり症状が出ることはありません。進行すると、痰の絡まない空咳が出たり、歩行や階段の上り下りに伴って息苦しさが生じたりすることがあります。
膠原病肺の種類と原因

膠原病にかかると、全身の臓器で炎症や線維組織の増殖が起こりやすい状態になります。これは肺も同じで、様々な疾病にかかりやすい状態になっています。
1.間質性肺炎(かんしつせいはいえん)
膠原病肺の中で、もっとも発症する頻度が高いものが、「間質性肺炎」です。肺胞の壁が炎症を起こし、壁が厚くなることで呼吸障害が発生します。
症状は、「息切れ」や「空咳」です。症状が重くなると日常生活で息切れが起こるようになり、ひどくなると呼吸困難になることもあります。
膠原病の中でも、多発性筋炎や皮膚筋炎、全身性硬化、関節リウマチ、シェーグレン症候群は、間質性肺炎を起こす頻度が高いです。しかしその原因については明らかになっていません。
2.細気管支炎、気管支拡張症
酸素や二酸化炭素のやりとりを行う気管支の細い部分が、肺胞とつながって炎症を起こす病気を、細気管支炎(さいきかんしえん)といいます。
気管支の壁が壊れたり、弱くなったりすることによって痰や咳、喀血がでたり肺炎になったりするのが気管支拡張症(きかんしかくちょうしょう)です。
膠原病になるとこれらの症状が起きる仕組みは判明していませんが、免疫異常に由来すると考えられています。
3.胸膜炎(きょうまくえん)、胸水(きょうすい)
肺の表面にある胸膜が炎症を起こす「胸膜炎」や、胸腔内に水が溜まる「胸水」を起こしたりすることもあります。
これらは、胸が痛む、発熱するといった症状がでてきます。とくに深い呼吸をすると痛みが強まります。
もともと膠原病は様々な臓器に炎症を起こしやすい病気ではありますが、臓器関節リウマチや全身性エリテマトーデスは、とくに胸膜病変を起こす頻度が高くなります。
4.血管炎、肺高血圧、びまん性肺胞出血など
臓器の血管に炎症が起きて臓器障害を起こす「血管炎」や、心臓から肺へ流れる“肺動脈”の血圧が高くなり、肺から血液に十分な酸素を届けられなくなる「肺高血圧(とくに肺動脈性肺高血圧症)」、肺胞の周りの毛細血管が破れ肺胞内に血液がたまってしまう「びまん性肺胞出血」なども膠原病肺の一種です。
これらの他に、細菌、抗酸菌(結核を含む)、ウイルス、真菌などの感染症によって起きる肺の異変や、膠原病の治療のために使っていた薬が原因で起きる薬剤性肺障害による異変などもあります。
治療方法について

膠原病肺の症状に合わせた治療を行っていきますが、その時々の容体によっても治療法は大きくかわります。
1. 間質性肺炎の治療
一般的にはステロイド薬や免疫抑制剤を使います。それとともに患者の自覚症状や検査結果もふまえて総合的に判断していきます。軽症であれば服薬なしで自然治癒することもあります。
2. 細気管支炎、気管支拡張症の治療
細気管支炎に確立された治療法はなく、免疫抑制剤やステロイド薬を使用して、いま起きている炎症を抑えて安定した状態を保ちます。
気管支拡張症では痰を取り除くための薬や、感染症が疑われる場合は抗菌薬などの薬物療法を行います。痰に血が混じる、といった症状が継続するようであれば止血をするための外科的療法を行うこともあります。
3. 胸膜炎、胸水の治療
一般的にはステロイド薬や免疫抑制薬を使います。ウイルスや細菌の感染などによって起こる胸膜炎とは治療方法が異なります。
4. 血管炎、肺高血圧、びまん性肺胞出血の治療
血管炎では、炎症を抑えるためにステロイドや免疫抑制剤を使い、炎症の状態に応じて徐々に薬を減らしていきます。
肺高血圧では血管拡張薬を使用し、びまん性肺胞出血ではステロイドによる免疫抑制を行ないます。
まとめ

膠原病は様々な合併症を引き起こしやすい病気です。また、膠原病の多くが指定難病で、原因がわからず、治療法も確立されていません。
自己判断で市販薬を服用したり、放置したりすると、思わぬ合併症を引き起こすことがあります。膠原病にかかったら、必ず主治医に相談し、その指示に従いましょう。また、少しの異変から重症になることもありますので、その場合も主治医に報告、相談をしてください。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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