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【完全解説】医師にきいてみよう!健康診断の数値結果について

更新日:公開日:
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目次
  1. 身体測定
  2. 血圧
  3. 血液(採血検査)
  4. 脂質代謝系(採血検査)
  5. 心臓検査
  6. 消化器系(エックス線造影検査)
  7. 肝機能・膵機能
  8. 腎尿路系(尿検査)
  9. 便検査
  10. 呼吸器系
  11. 聴力
  12. 健康に日々を過ごすために

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会社や学校、また市区町村の行う定期健診などで、誰もが一度は健康診断を受診したことがあると思いますが、その結果を見て疑問を抱いた方も多いはず。診断結果は大抵の場合、数値や記号で結果を示しています。ここではそんな健康診断結果の見かたをわかりやすく解説します。

身体測定

身体測定では基本的な体の構成を調べて、身長に対しての健康度を調べます。
数ある項目のうちのいわば「入口」のようなもので、この数値がベースとなる項目も数多くあります。

BMI値

身長と体重を測り、

体重(kg)÷(身長 (m)× 身長 (m)) 

という数式を用いてBMI値を算出します。

・18.4 以下(低体重につき要改善)
・18.5~24.9(標準体)
・25.0 以上(肥満につき要改善)
(例)身長174cm 体重83kgの場合「83÷1.742=BMI値27.41」となり、この方は「肥満」となるので、生活習慣の改善が必要となります。

腹囲(お腹周り)
腹囲は、「万病のもと」との異名も持つメタボリックシンドロームの判定をおこなうために計測します。
男性は85cm以上、女性は90cm以上あった場合にいわゆるメタボ体型と判断され、さまざまな内臓系疾患を引きおこす要因にもなってしまうので注意が必要です。

受診の必要性

身体測定の再検査をおこなう必要はありませんが、結果を鑑みて医師もしくは生活習慣指導をおこなっている医院・クリニックに受診することが望ましいと考えられます。肥満は、脳卒中や心筋梗塞などの命にかかわる病気を引きおこす恐れもあります。

医師にきいてみよう!

Q. メタボが体に良くないのはわかりますが、最近流行の糖質制限ダイエットなど、食事のコントロールをすればそれだけで改善されるのでしょうか?具体的な生活指導の内容がありましたら、教えてください。

A. 最近流行している糖質制限ダイエットだけで必ずしもメタボが改善されるという訳ではありません。メタボ改善の理想のバランスは、食事:運動=5:5であると言われています。
具体的なプランとしては、食事コントロールに加えて生活の中で取り入れやすい運動を行うことです。
例えば、通勤やおでかけする際に、電車であれば目的地よりひとつ前の駅で下車し1駅分歩く、家事を行う際につま先立ちになる、歩く前にスクワットをしてから歩くなど日常生活で続けやすい運動がお勧めです。
食事面での糖質制限は、糖質を断つのではなく糖質の摂取量を減らすということです。必要量以上の糖質を摂ると、余ったエネルギーが脂肪として蓄えられるので、余分な糖質をカットするというのが理想的です。各食事で、糖質が多い麺、パン、芋、スイーツを摂りすぎないよう心がけましょう。糖質制限中は、栄養が偏りがちになるため、魚介や肉、豆腐、チーズなど適量なタンパク質や脂質を摂ることが重要になります。極端な糖質制限は体調を崩したり、身体への悪影響を及ぼすこともあるので、何事もバランスが大切です。

血圧

血圧は心臓のポンプ機能に問題がないかを調べる検査で、2種類の値を計測します。1つは心臓の筋肉が収縮したときの圧力(最高血圧)で、「上の血圧」と呼ばれます。もう1つは心臓の筋肉が拡張したときの圧力(最低血圧)で、「下の血圧」と呼ばれます。

収縮期血圧(最高血圧)

・129以下が正常
・130~159は要注意
・160以上は異常(要加療)
単位(mmHg)

拡張期血圧(最低血圧)

・84以下が正常
・85~99は要注意
・100以上は異常(要加療)
単位(mmHg)

受診の必要性

血圧が高めだからといって、必ずしも「高血圧」と決まったわけでありません。そのときの体調や精神面、気候などで変動することがあります。常に基準値よりも高い場合は一度医師に相談することが望ましいです。
血圧が高めだと、今現在は問題がなくても動脈硬化が進み、将来的に脳出血や心筋梗塞、狭心症などの疾患を引きおこすリスクが高まります。特に外食が多い方は塩分過多気味で、これらの病気を発症しやすくなります。

血液(採血検査)

血液は、現在身体が抱えているさまざまなトラブルを発見する指標になります。採血検査で貧血、肝臓の疾患、腎臓の疾患、高脂血症、糖尿病などの病気が隠れている可能性を知ることができます。いくつもの項目と目安の違いがありますが、数値が意味するところを解説します。

血糖値(FPG)

糖というと甘いものを思い浮かべるかと思いますが、まさに血液の中の甘いブドウ糖の値を調べます。通常は空腹時に計測します。ブドウ糖は血液によって全身に供給され、エネルギーの源となります。数値が高い場合はエネルギー過多となり、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞のリスクが高まり、また膵臓がんなどのさまざまながんのリスクになり得るといわれています。

・70~99が正常
・100~125は要注意
・126以上は異常
単位(mmHg)

HbA1c(ヘモグロビン・エーワン・シー)

糖尿病か否かを判断する項目で、血糖値が高い状態が長期間続くと値が高くなります。この検査と空腹時の血糖値の両方で異常値(空腹時血糖値126mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上)が出た場合、糖尿病の疑いがあります。

・5.5以下が正常
・5.6~6.4は要注意
・6.5以上は異常
単位(%)

白血球数(WBC)

細菌などから身体を防御する役目を果たす白血球は、その数が高いと細菌感染症や炎症、腫瘍などの存在が疑われます。また白血病や心筋梗塞の場合にも高くなります。低い場合は再生不良性貧血などの血液の病気や膠原病、ウイルス感染症の疑いがあります。一般的に喫煙者や妊娠時には値が高く出る傾向があります。

・3100~8499が正常
・8500~9999は要注意
・3000以下及び10000以上は異常
単位(μL)

赤血球数(RBC)

赤血球は、呼吸によって肺から取り入れた酸素を全身に運搬し、不要となった二酸化炭素を肺に送る役目を果たします。この値が小さいと貧血の疑いがあり、多いと多血症の疑いがあります。各値には男性と女性で差があるので注意が必要です。

[男性]
・400-539が正常
・360-399及び540-599は要注意
・359 以下及び600以上は異常
単位 (万/μL)

[女性]
・360-489が正常
・330-359及び490-549は要注意
・329以下及び550以上は異常
単位(万/μL)

ヘモグロビン(Hb)

ヘモグロビン(血色素)は血液中で酸素を運ぶ役目を果たす「へムタンパク質」です。この値が少ないと鉄欠乏性貧血などが疑われます。また、値が大きいと多血症の疑いがあります。脱水症の時にも値が大きくなります。

[男性]
・13.1-16.3が正常
・12.1-13.0及び16.4-18.0は要注意
・12.0 以下及び18.1以上は異常
単位(g/dL)

[女性]
・12.1-14.5が正常
・11.1-12.0及び14.6-16.0は要注意
・11.0以下及び16.1以上は異常
単位(g/dL)

ヘマトクリット(Ht)

全血液中の赤血球割合を示すもので、低数値だと貧血、高数値だと多血症や脱水症の疑いがあります。赤血球とヘモグロビンと同じく、主に貧血の診断をするために用いられます。

[男性]
・38.5-48.9が正常
・35.4-38.4及び49.0-50.9は要注意
・35.3 以下及び51.0以上は異常
単位(%)

[女性]
・35.5-43.9が正常
・32.4-35.4及び44.0-47.9は要注意
・32.3以下及び48.0以上は異常
単位(%)

受診の必要性

採血したときの体調によることもありますが、検査結果の表記に再検査が必要とあれば一度、医療機関を受診することが望ましいです。健康診断では数値に異常があるということまでは分かりますが、どういった病気が隠れているかまでは診断に至りません。病気の早期発見につながるので異常値がある際は受診することが望ましいです。

医師にきいてみよう!

Q. 会社の定期健診で、あなたはHbA1cの値が6.0なので糖尿病予備軍だから食生活改善の指導を受けなさいと言われました。何をどう改善すればよいのでしょうか?お酒も好きで毎週末会社の同僚と飲むのですが、それもやめなければいけないのでしょうか?

A. 糖尿病予備軍(耐糖能障害)の患者さんでは、生活習慣の改善により糖尿病の発病のリスクを減らすことができます。まず、1日3食を規則正しく食べましょう。食事時間の間隔を空け過ぎず規則正しく食べることで血糖値の乱高下を防ぐことに繋がります。
2つ目は、食事の中で食べる順番を考えましょう。食物繊維を多く含む野菜やきのこ、海藻から食べることによって血糖値の急激な上昇を抑えます。
3つ目は、血糖値が上がりやすい食べ物、糖質を含む調味料に注意しましょう。血糖値が上がりやすい食べ物は、炭水化物、糖分の多い菓子類、パン類、ジュースなどです。糖質を含む調味料の中でソース、ケチャップは要注意です。また、ノンオイルドレッシングはコクを出すために糖分が入っているので成分表示をよくみてから購入しましょう。
4つ目は、就寝2時間前の飲食を避けるようにしましょう。
お酒についは、飲まないことに越したことはないですが必ずやめなければならないわけではありません。飲む機会を減らし、しっかりと休肝日をもうけることが大切です。自宅では糖質ゼロのお酒を選んでみてもよいでしょう。また、お酒のつまみに揚げ物や塩分の多いもの、味の濃いものを一緒に食べていませんか?お酒のお供は、枝豆やお豆腐、サラダチキンなどタンパク質を多く含むもの方がアルコールを代謝しやすく、脂質や糖質を抑えられるのでおすすめです。参考にしてみてください。

脂質代謝系(採血検査)

血液の中の脂質を調べる事で、動脈硬化に関連する心筋梗塞や脳梗塞、脂肪が体内に蓄積する脂肪肝などの病気のリスクを予測することができます。

総コレステロール(TC)

値が高いと動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳梗塞のリスクとなります。甲状腺機能低下症でも高くなります。低い場合は栄養吸収障害や肝硬変、甲状腺機能亢進症などの疑いがあります。

・140~199が正常
・139 以下及び200~259は要注意
・260 以上は異常
単位(㎎/dL)

HDLコレステロール

通称「善玉コレステロール」と呼ばれるもので、血液中の余剰コレステロール(悪玉コレステロール)を回収します。総コレステロールや悪玉コレステロール(LDLコレステロール)、中性脂肪値が正常でも、この値が低いと動脈硬化のリスクが高くなります。

・40以上が正常
・35~39は要注意
・34 以下は異常
単位(㎎/dL)

LDL コレステロール

通称「悪玉コレステロール」と呼ばれるもので、LDLコレステロールが多いと血管の壁にコレステロール(プラークという塊)が堆積し、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まります。

・60~119が正常
・120~179は要注意
・59 以下及び180 以上は異常
単位(㎎/dL)

中性脂肪(トリグリセリド)

食事で摂取したエネルギーの余剰分を肝臓が合成したものが中性脂肪で、これが血液を流れて脂肪細胞(=脂肪の倉庫)にストックされることによって内臓脂肪や皮下脂肪になります。数値が高いと脂肪肝や動脈硬化のリスクが高まります。低い場合には低栄養や低βリポたんぱく血症※などが疑われます。
※低βリポたんぱく血症とは、LDLコレステロールや中性脂肪の値が非常に低くなる病気のことです。発病には遺伝的な影響もあります。

・30~149が正常
・29以下及び150以上は要注意
単位(㎎/dL)

non HDLコレステロール

LDLコレステロールや中性脂肪など動脈硬化のリスクを総合的に評価する比較的新しい指標です。この値が高いと動脈硬化のリスクが高くなり、脂質代謝異常、甲状腺機能低下症などが疑われ、逆に低いと肝硬変や栄養吸収障害、低βリポたんぱく血症などの可能性があります。

・90~149が正常
・150~209は要注意
・89以下及び210以上は異常
単位(㎎/dL)

受診の必要性

HDLコレステロール以外は、いずれの項目も基準値より高いと動脈硬化のリスクがあり、さまざまな病気を引き起こす原因となります。また低すぎる場合でも、栄養吸収障害や低βリポたんぱく血症が疑われるため、どの場合でも速やかに内科などを受診するようにしましょう。

医師にきいてみよう!

Q. コレステロールが高めという検査結果が出ましたが、コレステロールを減らすために普段から気をつけるべきことは何でしょうか?

A. コレステロールを減らすためのポイントは、飽和脂肪酸の多く含まれる食事を余分に摂らないよう注意し、不飽和脂肪酸の多く含まれる食事を摂るように心がけることです。
飽和脂肪酸はコレステロールの合成を高めますが、不飽和脂肪酸はコレステロールの合成を減らします。不飽和脂肪酸の代表として青魚などに含まれるDHAなどがあります。以下に代表的な食品をあげてみましたので参考にしてみてください。
飽和脂肪酸の多い食品・・・脂身の多い肉、食肉加工品、乳製品、インスタントラーメン、スナック菓子など
不飽和脂肪酸の多い食品・・・大豆製品、ゴマ油、魚介類、オリーブ油など

心臓検査

心臓は全身に血液をおくる大切なポンプの役目を持っています。心臓の検査、特に心電図は筋肉で形成された臓器である心臓の発する微弱な電気活動を記録することにより、現在の状態を知ることができる大切な検査です。心臓のリズムの異常(不整脈)や、狭心症・心筋梗塞など命に関わる病気の手がかりを教えてくれます。

2通りの検査方法

【1】通常の検査(安静時心電図検査)
仰向けに寝てリラックスした状態で、両手足と胸部に電極を付け、心臓の発する微弱な電気活動を一定時間記録する。

【2】心臓エコー検査
超音波によってリアルタイムに心臓の動きを映し出し、心臓の動きや大きさ、壁の厚さなどをチェックし、直接心臓の活動を観察する。心肥大や心臓の弁の異常、心筋梗塞なども診断することができる。

検査によってわかること

不整脈、狭心症、心筋梗塞、心肥大、弁膜症など

受診の必要性

異常が見られた場合、不整脈や狭心症、心筋梗塞など時に命にかかわる疾患が潜んでいる可能性もあります。要精査や要治療など異常が見られた場合は速やかに循環器内科などを受診するようにしましょう。

医師にきいてみよう!

Q. 会社の検診で心電図の検査に異常が出たらしく、要再検査と出ていて非常に不安です。コレステロールや血糖値、血圧などその他の検査に異常はみられなかったのですが、心臓疾患なのでしょうか?

A. 高コレステロール血症や高血糖値、高血圧といったいわゆる生活習慣病に関連した動脈硬化の進行で、狭心症や心筋梗塞などの病気以外にも、脈のリズムの異常や心臓内に伝わる電気活動の速度の異常などが心電図でわかります。その中には症状がなければ経過観察可能なものも多くあります。ですが、時に命にかかわる不整脈を引きおこす可能性があるブルガダ症候群やQT延長症候群などが隠れている事もあり、要再検査や要精査の時には循環器内科など専門の医師にご相談してください。

消化器系(エックス線造影検査)

口から入った食物は食道を通過し、胃で消化しやすく整理され、十二指腸を通ってやがて小腸で栄養が吸収され、大腸で便となり排泄されます。この一連の器官を消化管と呼びますが、エックス線検査は主に食道、胃、十二指腸の病気を調べる検査です。

胃部エックス線検査

バリウム(造影剤)という検査用の液体を飲み、その液体が胃の粘膜を覆った際の状況をエックス線撮影することにより観察します。粘膜の凸凹がバリウムの「たまり」や「抜け」として観察されます。ポリープや胃潰瘍、がんを疑う病変を調べることができます。粘膜の不整によりピロリ菌感染による慢性胃炎も判定できることがあります。(胃粘膜を直接観察できる胃内視鏡検査と比較すると、細かな病変に対してはどうしても診断の精度は低くなってしまいます。)

胃にポリープがある場合

・胃底腺ポリープ
胃の上中部にできる5mm前後のポリープで、複数あることも多く、ほとんどは良性で経過観察可能、もしくは放置可能です。中にはバリウムによって生じた気泡がポリープとして認識され診断させるケースもあります。

・胃底腺ポリープ以外のポリープ
胃過形成ポリープと胃腺腫があります。胃過形成ポリープは基本的には良性のポリープで、ピロリ菌感染による慢性胃炎の粘膜にできることが多く、時に出血を起こします。ピロリ菌の除菌を行うことで小さくなったり、消失することもあります。胃腺腫は胃の下部や前庭部という胃の一番奥の場所にできることが多く、放置すると胃がんになる可能性あるので治療の適応となり、多くの場合内視鏡で切除可能です。過形成ポリープや腺腫が疑われた場合には、一度内視鏡による精密検査を受けることをお勧めします。

・その他
粘膜の隆起や陥凹(くぼみ)などにより胃潰瘍や胃がんが疑われることがあります。その場合にも早めに内視鏡による精密検査を受けてください。定期的な胃がん検診で見つかるがんの多くは早期の胃がんで、大半が内視鏡での切除が可能であり治癒が期待できます。

医師にきいてみよう!

Q.【1】胃に痛みを感じることもなく、食欲も旺盛なのですが、検診を行うと3年連続で胃体中部透亮像胃ポリープ、要経過観察と診断されます。最初は造影剤の影響といわれましたが、2回3回と続くと心配です。胃カメラでもっと詳しい検査を受けた方が良いのでしょうか?

A. 解説のように胃部エックス線検査は、バリウムによって生じた気泡がポリープの様に映ることがあります。その場合には撮影中に体を回転させることで気泡が移動しますが、今回のケースでは3年連続で同じ部位に指摘されており、まずはポリープを考えます。
大きさなどの情報はありませんが、ポリープのある部位よりおそらく胃底腺ポリープが第一に疑われているのではないでしょうか。ご心配であればポリープや粘膜を直接観察できる内視鏡による精査を一度は受けることをお勧めします。

Q.【2】ピロリ菌検査をすすめられましたが、もしピロリ菌がいた場合、どのようにして除去するのですか?また、除去した後で菌が再発する可能性はあるのでしょうか?

A. ピロリ菌感染は慢性胃炎を引き起こし、胃潰瘍や胃癌の原因となることがわかっています。また感染早期の除菌ほど胃癌予防効果が高いといわれており、ピロリ菌感染が判明した場合には速やかに除菌することをお勧めします。標準的な除菌方法はアモキシシリン、クラリスロマイシンという2剤の抗菌薬とプロトンポンプ阻害薬(PPI)もしくはカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)という胃酸を抑える薬剤の計3種類の薬剤を朝夕食後で7日間内服します。この治療は保険適応となっていますが、事前に内視鏡検査を受け慢性胃炎など診断されることが条件となっています。
現在、P-CABを用いた治療での除菌成功率は90%以上と報告されています。成人では口から新たにピロリ菌が侵入し再感染することはほとんど起こりませんが、除菌成功の診断に至った後も少量のピロリ菌が胃内に残っており時間がたつと再陽性化する例が報告されており、頻度は年0~2%程度とされています。除菌成功後でも胃癌が見つかることもあり、上記の再陽性化の問題からも、内視鏡検査などによる定期的な胃の検査・観察をお勧めしています。

肝機能・膵機能

肝臓は人の体内で最も大きな臓器であり、栄養の合成、毒素の分解や感染から身を守る免疫にも影響を与える大切な臓器です。近年、食事やアルコールなどライフスタイルの変化から、幅広い年齢層で脂肪肝や隠れ脂肪肝、アルコール性肝炎の方が多くなっているのでこの検査の重要性が増しています。

AST(GOT)、ALT(GPT)

肝臓や心臓、筋肉の中に多く存在する酵素「AST(GOT)」と、肝臓の中に多く存在する酵素「ALT(GPT)」の値から、現在の肝臓の状態を調べます。肝臓の細胞が壊されるとこれらの数値が高くなり、脂肪肝、急性肝炎(ウィルス性、アルコール性、薬剤性など)、慢性肝炎、肝臓がんなどの疑いがあります。

・30以下が正常
・31~50は要注意
・51以上は異常
単位(U/L)

γ-GTP(ガンマ-グルタミルトランスペプチターゼ)

主にアルコール多飲や、胆汁の流れに障害がある場合に高くなります。この値が高いとアルコールの多飲、アルコール性肝炎や総胆管結石、胆管がんなど胆道系の病気も疑われます。多くはASTやALTと同時に高くなることが多いですが、アルコール多飲の場合にはγ-GTPのみ高くなる場合があります。

・0~50が正常
・51~100は要注意
・101以上は異常
単位(U/L)

ALP(アルカリホスファターゼ)

ALPは肝臓の他、腎臓や骨、小腸にも含まれる酵素で、これら臓器に問題が生じた時に血液中にこの酵素が流失します。肝臓に関係する病気として、総胆管結石や胆管がんなど、肝臓で作られた胆汁の流れが悪くなるような胆道系の病気のときに値が高くなります。なお、検査の数時間前に脂質の高い食事をとってしまうと高い値が出る場合があります。また妊婦さんや閉経後の女性でも高い値が出ることがありますが、それは女性ホルモンが関係しているからです。

・104~338が正常
・103以下及び339~450は要注意
・451以上は異常
単位(U/L)

受診の必要性

肝臓はある程度のダメージであれば治療により改善し正常に戻ることが多いですが、ダメージが長期にわたり進行し肝硬変になってしまうと正常に戻ることが極めて難しい臓器とされています。身体に黄疸がでたり、本来肝臓で分解されるはずのアンモニアが血液中に増えることでこん睡状態になることもあります。そのため、早期の対応・治療が大切であり、検査で異常があった場合には速やかに内科などを受診するようにしましょう。

医師にきいてみよう!

Q.【1】お酒をまったく飲まないのですが、肝臓の検査の結果がここ3年ほど思わしくなく先生から要観察と言われます。ただ、祖父も父も肝臓が悪かったのですが、このようなことは遺伝するのでしょうか?

A. アルコールによる肝障害(アルコールを分解する酵素は遺伝的な影響を受けます)以外に、発病に遺伝的な影響がある肝臓の病気は自己免疫性肝炎、鉄や銅が肝臓に沈着してしまう代謝異常の病気、体質性黄疸などがあげられます。一方、ウィルス性肝炎は遺伝はしませんが、血液や体液を介して家族内で感染することがあります。
自己免疫性肝炎は外敵から自分を守るための免疫機構が自分の肝臓の破壊に関与してしまう病気で特に女性に多く、無治療であれば慢性的に進行してしまう病気です。鉄が肝臓に沈着するヘモクロマトーシスや銅が沈着するウィルソン病は、鉄や銅を体外に排泄する仕組みに障害が起こる病気で無治療であれば進行してしまう病気です。体質性黄疸は肝臓で代謝され、胆汁中に排泄されるビリルビンが、何らかの障害で血液中に多くなってしまう病気で黄疸といって皮膚が黄色くなるのが特徴です。
いくつかのタイプに分かれますが特に多いジルベール症候群では多くは無治療で経過観察が可能です。肝臓機能の異常が成人期以降に指摘されたのであれば遺伝的な要因だけでなく、脂肪肝など生活習慣によるものが多いのですが、上記以外にもさまざまな原因がありますので引き続き主治医の先生と相談し経過観察してください。

Q.【2】40歳を越えて2~3年で15kg太りました。検査結果は問題はなかったのですが、先生から脂肪肝と言われ、運動するよう言われました。片道1時間の通勤は運動にはならないのでしょうか?

A. 実際に長い通勤時間の中で、電車を使っている、階段を使っている、歩いているのであればある程度のカロリー消費にはなります。しかし、片道1時間の通勤を継続している中でも、体重が増加したのであれば、運動量の不足や食事量が多くカロリーオーバーの可能性がありますので、通勤+運動の強化+食事の改善が必要です。
今までの通勤時間の中で、早歩きで階段を使う回数を増やしたり、時に一駅分多く歩いてみたり、電車の中では座らずにつり革を持ちつま先立ちをするなどの無理のない身体活動を増やしてみるのはいかがでしょうか。体重が増えた分、早歩きやつま先立ちをする時は足や膝に負担がかかり、怪我をしやすくもなりますので気をつけながら徐々に運動量を増やしていきましょう。

腎尿路系(尿検査)

「沈黙の臓器」と呼ばれる腎臓は、問題があってもなかなか自覚症状でその異常を知らせてくれません。このサインをいち早く見つけるために尿検査を行います。また、尿は糖尿病のサインも知らせてくれます。

尿たんぱく定性

腎臓で血液がろ過され不要物だけが尿中に排泄されます。腎臓の働きが低下すると尿中にたんぱくがもれ出てきます。また腎臓や尿道に炎症があるときにも尿中にたんぱくが検出されます。陽性の場合は糸球体腎炎やネフローゼ症候群、慢性腎炎の可能性があります。急性腎盂腎炎や尿道炎、膀胱炎など感染症でも陽性となります。女性では、生理が検査日に前後したことにより陽性反応が出る場合もあります。

・(-) 陰性が正常
・(+)(±) は要注意
・(2+)以上は異常

尿糖定性

尿の中に糖が出ているか否かを調べます。陽性の場合は糖尿病が疑われますが、血糖値が160~180mg/dl以上でないと尿糖反応が出ないので、糖尿病初期では陰性となる場合があります。また、検査数時間前に暴飲暴食を行うと、本来陰性でも陽性と出る場合があります。

・(-)陰性が正常
・(+)(±) は要注意
・(+)以上は異常

尿潜血

肉眼で確認できないようなレベルで血液が尿に混じっていないかを調べます。陽性の場合は膀胱炎や尿路結石、糸球体腎炎などの疑いがあります。また膀胱がんでも陽性となります。女性では、生理が検査日に前後したことによる陽性反応が出る場合もあります。

・(-)陰性が正常
・(+)(±) は要注意
・(2+)以上は異常

クレアチニン(Cr)※採血

クレアチニンは筋肉で作られるアミノ酸系の老廃物で、腎臓でろ過されて尿中に排泄されます。筋肉の量に影響されるので基準値に男女差を設けています。腎臓の機能が低下するとクレアチニンが血液中に残留してしまいこの値が高くなります。異常な場合は腎臓の働きの低下が疑われます。脱水の場合にも値が高くなることがあります。

[男性]
・1.00 以下が正常
・1.01-1.29は要注意
・1.30 以上は異常
単位(㎎/dL)

[女性]
・0.70 以下が正常
・0.71-0.99は要注意
・1.00 以上は異常
単位(㎎/dL)

受診の必要性

症状がなくとも、腎炎や糖尿病など、放置しておくと全身にさまざまな影響が出る疾患が発見されるケースがあります。膀胱がんなど命にかかわる疾患もあり異常があれば速やかに内科や泌尿器科、糖尿病内分泌内科などを受診するようにしましょう。

医師にきいてみよう!

Q. よく糖尿病は遺伝しないと聞きます。私の家系に糖尿病患者はいません。しかし検査の結果私は糖尿病予備軍と言われてしまいました。もし私が糖尿病になってしまった場合、将来生まれてくる子供にも遺伝的な影響を及ぼすのでしょうか?

A.  糖尿病予備軍とのことですが、2型糖尿病は遺伝的要因と生活習慣などの環境要因の両方が影響し発病するとされています。現在、発病には多くの遺伝子が関わっていることがわかっており、「糖尿病のなりやすさは遺伝の影響をうける」と言えます。お子様も成人期以降の定期的な健康診断の受診が大切であり、これは一般の方と変わりはありません。普段から食事の不摂生を避けるような生活習慣の指導は必要であると考えます。必ず遺伝し発病する訳ではなく、家族皆で健康意識をもち、継続して生活習慣を改善することで予防することができると考えます。まずは糖尿病予備軍から正常値になるよう生活習慣を改善してみてください。

便検査

「便は健康のバロメーター」と言われるように、実際に体の中、特に腸の状況を細かく教えてくれます。

便潜血

便に血液が混じっているか否かを調べます。+(陽性)の場合は痔、大腸ポリープ、大腸がんの疑いが考えられます。

・2回とも- (陰性)で異常なし
・1回でも+(陽性)があれば要再検査または精査

受診の必要性

大腸がんは肝臓や肺、骨など全身に転移することが多いがんとして知られています。その一方で、早期に発見し、治療することで治る可能性が高いことでも知られています。早期発見・早期治療のためにも、異常が見られれば速やかに消化器内科などを受診するようにしましょう。

医師にきいてみよう!

Q. 私はよく下痢をします。特に電車に乗っている時や、学校や会社にいるときなどに便意をもよおします。これは何か特別な腸の病気なのでしょうか?

A. 症状からは過敏性腸症候群が第一に考えられます。通常、大腸など腸の粘膜に異常がないのに、ストレスなど心理的変化で腹痛や下痢を引き起こす病気です。睡眠や食事などライフスタイルの見直しや、内服治療で症状が改善することが期待できます。また一般的には年齢を重ねるうちに症状が軽快する傾向にあります。しかしながら、潰瘍性大腸炎やクローン病など他の腸の炎症性疾患が隠れていないかを確認することも大切です。また肛門に近い直腸癌でも頻回の下痢がきっかけで発見されることがあります。まずは消化器内科などを受診し相談してみてください。

呼吸器系

息を大きく吐いたり吸ったりして肺活量などの肺機能を調べ評価します。また、胸部レントゲンもあわせて撮り、総合的に判定を行う場合もあります。

肺活量

年齢や性別、身長などから予測肺活量を算出し、実際の肺活量と比べます。80%を割ると肺の膨らみが悪くなる間質性肺炎や肺線維症など、肺になんらかのトラブルが起きていることも考えられます。結果から総合的に肺年齢を算出する場合もあります。

・80.0 %以上が正常
・79.9%以下は要注意

1秒率

息を大きく溜め込んだあと一気に吐き出すことによって、1秒間に吐き出せる息の割合を調べます。正常値を下回った場合、肺気腫や慢性気管支炎にかかっている可能性も考えられます。

・70.0 %以上が正常
・69.9%以下は要注意

受診の必要性

すぐに命にかかわる状態でなくとも、階段を上るなどの簡単な運動で息が上がるなど、日常生活に支障をきたす場合があります。異常があった場合には、速やかに呼吸器内科などを受診するようにしましょう。
喫煙をしていない人でも、黄砂や、PM2.5などによって今後何らかの疾患を抱えることがあるかもしれません。「自分は大丈夫」と過信しないことが大切です。

医師にきいてみよう!

Q.【1】私はもともと肺活量がなく、検診でもいつも70%を割っているのですが、水泳やランニングなど、有酸素系のスポーツは行わない方が良いのでしょうか?

A. 肺活量が70%を割っている状態は医学的には、「拘束性換気障害」と言います。健康診断で異常があれば、まずは内科や呼吸器内科を受診をして拘束性換気障害の原因となる病態を調べてください。個々の病態や患者さんの状態により、治療法は異なります。一般的に、有酸素系のスポーツは行っても問題はありませんが、運動により負荷がかかりすぎると、心臓や肺に良くない場合もありますので、適切な運動量を主治医の先生とよくご相談ください。

Q.【2】私は喫煙者です。たばこを吸っていると肺活量にも影響を及ぼすのでしょうか?また、最近流行の電子タバコに変えれば問題ないのでしょうか?

A. 喫煙は、肺にとっては間違いなく悪影響です。肺がん、肺気腫など様々な呼吸器疾患の原因となりますので、肺活量にも影響を及ぼします。電子タバコに関しては、長期の追跡調査結果がまだ不足しているので、問題ないかどうかはまだ結論を出す段階ではありません。多くの販売会社は、有害成分の量を比較していますが、「有害成分の量」と「人体へ有害かどうか」は別のものです。健康診断という健康を意識する機会を利用して、禁煙することをおすすめします。

聴力

近年、音楽を聴く機器の発達が著しく、これに伴い難聴や隠れ難聴といった聴覚機能のトラブルを訴える方が多くなっています。聴力を把握しておくことは今後も日常生活を健康かつ安全におくる上でとても重要です。1000Hz、4000Hz共に30dB以下の音量で聞き取れない場合は難聴の疑いがあります。

[1000Hz]、[4000Hz]共に聞き取れる音圧(音の大きさ)が

・30dB 以下が正常
・35dBは要注意
・40dB 以上は異常

受診の必要性

難聴へのリスクを調べる大切な検査です。早期発見・早期治療のために、異常が見られたら速やかに耳鼻咽喉科などを受診しましょう。
近年は音楽再生機器の進化が聴力に与える影響も少なからずあり、将来難聴にならないためにも、早めの対策が大切です。

医師にきいてみよう!

Q. 毎日1時間の通勤電車でスマートフォンの音楽機能で音楽を聴いています。耳の穴に入れるイヤホンと耳を覆うヘッドホンで難聴へのリスクは変わるのでしょうか?

A. 難聴へのリスクは大きな音で、長時間連続して聴くことで高まります。耳の穴に入れるイヤホンやヘッドホンはどちらも遮音性を高める事で、小さな音量で音楽を楽しむことが期待できます。いずれにせよ、よい機器を選べば大丈夫な訳ではなく、難聴のリスクを減らすためにはできるだけ小さな音量で聴き、途中で耳を休める時間を作ることが大切になります。

健康に日々を過ごすために

検査を行う項目は学校や会社によってさまざまで、実際の健康診断ではほかにも細かい項目がいくつもあります。それらの解説はまた別の機会にしますが、健康で気力に満ちた毎日を送るために、健康に日々心掛け、定期的な健康診断をつづけていきましょう。

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