ばんこまいしんたいせいちょうきゅうきんかんせんしょうバンコマイシン耐性腸球菌感染症
バンコマイシン耐性腸球菌感染症(ばんこまいしんたいせいちょうきゅうきんかんせんしょう)、別名VREは、バンコマイシンという薬に対し耐性(たいせい:薬が効かない)腸球菌によっておこる感染症です。
バンコマイシンは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の治療に使用される抗菌薬です。抗菌薬は一般的に抗生物質ともよばれています。
VREは、多くの薬剤に対して耐性をもつため、この細菌によって感染症が発生すると治療が困難になります。
腸管内など身体のなかにVREを保菌していても、健康であれば病原性が弱いためほぼ無害です。外科手術後の患者さん、そのなかでもがんや胸腹部などに対する手術をした患者さんや、白血病や臓器移植、火傷(やけど)などで感染から身体を守る機能が低下している患者さんは感染症をおこすことがあります。そのため術創(じゅつそう)感染症、肺炎、敗血症、腹膜炎などに注意する必要があります。
VREは、ヨーロッパで初めて分離(培養実験で特定すること)されてから、欧米では医療機関の集中治療室などで感染が拡大して、重大な院内感染菌と認識されています。
日本では、輸入鶏肉からVREが検出された事例があり、一層の注意が必要です。ただし、鶏肉が汚染されていても、通常は加熱調理(70度1分)によって死滅します。
- 目次
バンコマイシン耐性腸球菌感染症の症状
VREへの感染では、手術した傷の後に感染する術創感染症や肺炎、敗血症、髄膜炎、細菌性心内膜炎、胆道感染症、尿路感染症、腹膜炎などになります。
がんなどの病気にかかっていて、免疫力が低下している状態の患者さんであれば日和見感染症、術後感染症、カテーテル性敗血症などになります。
感染することで患部などが赤く腫れる炎症があらわれることがあります。
また発熱、ショック(急激に血圧が下がる症状)をおこし、生命にかかわることもあります。
免疫力が低下している状態では、MRSA、大腸菌、緑膿(りょくのう)菌などの強力な病原性をもつ細菌も混合感染(同時に感染してしまうこと)することが多いため、そういった菌による症状が目立って出現する場合が多くあります。
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バンコマイシン耐性腸球菌感染症の診療科目・検査方法
問題になるのは入院中などのため、あえて医療機関を受診することはないかもしれません。受診するのであれば内科です。
VREに感染していても、多くのケースで自覚できる症状は出現しません。
そのため、保菌しているかを診断するためには便の培養検査や直腸のぬぐい液での検査が必要です。
バンコマイシン耐性腸球菌感染症の原因
腸球菌はいろいろな抗菌薬に耐性をもっています。
しかし、バンコマイシン抗菌薬への耐性はなかったため、効能が期待され治療に使用されています。そのバンコマイシンに対して耐性を得た腸球菌に感染してしまうことが原因と考えられています。
免疫力が低下するなんらかの病気をもつ人や、外科手術を受けた後の患者さんが感染した場合に問題になります。
VREは接触感染により拡大します。
保菌者の排便中に含まれるVREが、保菌者や医療従事者の手や指、トイレやドアノブなどからほかの人へ感染する恐れがあります。
バンコマイシン耐性腸球菌感染症の予防・治療方法・治療期間
VREを保菌していても、多くのケースで症状はありません。
その場合は、治療や予防のための投与は推奨されていません。
複合感染症では、感染をおこす原因の菌がほかの強力な菌であれば、その菌に対しての治療をおこないます。
VREの治療は、どういった薬が効果的か考慮し、患者さんが治療中の病気の状態に合わせて抗菌薬を投与します。感染巣洗浄やドレナージを組み合わせる治療がおこなわれます。
多くの場合、リネゾリド、キヌプリスチン・ダルホプリスチンが最初に選択されます。すでにこれらの抗菌薬に対して耐性をもつVREも報告されているため注意が必要とされています。
バンコマイシン耐性腸球菌感染症の治療経過(合併症・後遺症)
VREは、保菌すると消失するまでに数か月以上かかると考えられています。
しかし健康体であればほぼ無害なため、入院の元になった病気が治り、改善されれば退院できます。
退院後も、周りに新生児、高齢者、免疫力が低下している患者さんなどがいなければ、さほど神経質になる必要はありません。食事前の手洗い、トイレ後の手洗い、毎日の入浴などをしっかりおこなうようにしましょう。
消失したかを判断するために、1カ月ごとに検便や直腸のぬぐい液での検査がおこなわれます。
この検査結果が3回連続して陰性になれば「VRE消失」と判断されます。
しかし体調によっては再び陽性になるケースもあるため、陰性となっても手洗いの徹底が必要です。
バンコマイシン耐性腸球菌感染症になりやすい年齢や性別
日本では年間50~120件ほどの発症報告があります。総数としてはさほど多くありませんが、治療方針や治療経過に大きな影響を与えると考えられています。
発症しやすい年代や性差は特に報告されておらず、免疫力が低下する病気をもつ患者さんや、外科手術後の患者さんに注意が必要とされています。
執筆・監修ドクター
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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