猩紅熱とは
猩紅熱(しょうこうねつ)とは、A群β溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)という細菌が原因でおこる、感染症の重い症状のことです。
溶血性連鎖球菌は溶連菌とよばれます。この細菌による感染症は子どもに多いのが特徴です。猩紅熱以外にも様々な症状をひきおこします。
「猩紅」とは英語ではスカーレットといい、黄色がかった赤色のことです。この名前のとおり、高熱とともに皮膚に赤い発疹があらわれます。
明治期には法定伝染病に指定され、危険な病気でしたが、その後、抗菌薬が開発されたことで治療しやすくなり、猩紅熱の症状をおこし生命にかかわることは少なくなりました。
1999年に伝染病としての届け出は必要がなくなり、現在では溶連菌感染症について指定された医療機関が患者さんの数を報告しています。
猩紅熱の症状
猩紅熱は感染してから数日間の潜伏期間があり、多くは症状が突然あらわれます。
最初にのどの痛みと発熱があります。猩紅熱といわれる症状の場合は、発熱がおきてから12~24時間すると赤い発疹があらわれます。
発疹は点状だったり、日焼けのように肌が赤くなったります。またこの発疹は小さいものが集まって肌触りが紙ヤスリのようになることがあるのも特徴です。
こうした発疹は顔にはあまりおこりませんが、鼠径(そけい)部やわきなどの体がこすれる部分に多くおこります。
また、おでこや頬が赤く紅潮しますが、口の周りは白くなる口囲蒼白(こういそうはく)も特徴です
のどの扁桃腺(へんとうせん)の腫れや首のリンパ節の痛み、舌が突起状になり、真っ赤になるイチゴ舌など溶連菌感染症による症状もあらわれます。
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猩紅熱の診療科目・検査方法
猩紅熱は内科を受診してください。
診断を正確に決定するには、のどから採取したサンプルを培養して、A群β溶血性連鎖球菌がいるかを確認します。しかし培養には時間がかかるため、基本的には感染症の有無を確認する迅速検査により陽性反応が出れば、治療をおこなうことがほとんどです。
猩紅熱の原因
猩紅熱はA群β溶血性連鎖球菌への感染が原因です。
溶連菌に感染している人が、咳やくしゃみをしたときに鼻やのどから飛んだ分泌液の飛沫を吸入したり、感染した皮膚の傷と接触したりすることで感染します。
家庭や学校など人が集まり、密接にかかわるような環境で広がることがあります。
猩紅熱の予防・治療方法・治療期間
猩紅熱は通常、抗菌薬によって治療します。
抗菌薬は子どもに対して症状があらわれている期間を短くします。青年や成人に対しては子どもに使用した場合と比べると、そうした効果は下がりますが、中耳や副鼻腔への症状や、イチゴ舌に対して効果があります。また、他の人へ感染が拡大することへの予防にもつながります。
合併症としておこる関節や心臓などに溶連菌が炎症をおこすリウマチ熱を予防する効果もあります。
抗菌薬は症状がなくなっても自己判断で服用を中止してはいけません。10日間以上、継続して服用しましょう。
猩紅熱の治療経過(合併症・後遺症)
猩紅熱は抗菌薬を飲んでから24時間以上経過した後であれば、ほかの人に感染させる可能性はほとんどありません。
発症後しばらくしてから球糸体腎炎(きゅうしたいじんえん)という腎臓の機能障害をおこすことがあり、長期間の経過観察が必要です。
猩紅熱になりやすい年齢や性別
猩紅熱は5~15歳の子どもに多くおこります。
2017年のA群溶連菌感染症の定点把握数を確認すると5歳がもっとも多く、約50,000人でした。
執筆・監修ドクター
![岡村 信良](https://byouki-scope.empower-column02.com/wp-content/uploads/2019/02/HIG24476-e1556267472814.jpg)
経歴2006年 北里大学大学院卒、
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任。
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
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