シラミ症とは
シラミ症(しらみ)とは、シラミという昆虫に寄生されることによっておこる病気です。
シラミはかろうじて目に見える大きさの昆虫です。人間の毛髪や衣服などに寄生し、皮膚を咬んで血液を吸うことによって生きています。
人間に寄生するものは、頭に寄生する「アタマジラミ」、毛に寄生する「ケジラミ」、衣類や寝具に寄生する「コロモジラミ」の大きく3種類に分けられます。
シラミに咬まれると、その部分に強いかゆみがあらわれます。遊びの中で頭を寄せ合ったりすることや、衣類など身の回りのものを共有することによって、人間から人間へと簡単にうつります。
不潔にしていることが原因でかかる病気ではありません。
シラミの種類によっても異なりますが、専用のシャンプーなどでシラミと、その卵を取り除いたり、身の回りのものを洗濯したりすることによって治療します。
シラミの症状
シラミは、多くの場合、寄生された部分に強いかゆみがあらわれます。かゆみのために、イライラする、眠れなくなるといった精神的な不調があらわれることもあります。
かゆみがあるからといって、強くかいたりすると、皮膚が傷ついて、ブドウ球菌などの細菌に感染することもあります。細菌に感染すると、熱が出たり、痛みがあらわれたりします。
患者さんが子どもの場合、アタマジラミに咬まれても、気づかないことがあります。
ケジラミの場合は、咬まれると、青灰色の班点が胸、尻、太ももにあらわれます。
また、リンパ節が腫れることもあります。まつ毛に寄生すると、目のかゆみや、ヒリヒリとした刺激を感じます。
コロモジラミに咬まれると、肩、尻、腹の皮膚にじんましんのような赤い小さな穴ができます。
また、ほかのシラミとは違い、発疹チフスや回帰熱などの重い病気を広げる原因になる恐れがあります。
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シラミの診療科目・検査方法
シラミは、皮膚科を受診しましょう。
かゆみがシラミによるものであることを確かめ、ほかの皮膚の病気と区別する必要があります。そのために、かゆみがある部分にシラミとその卵(虫卵)があるかどうかを調べます。
アタマジラミは目の細かいクシで丁寧に梳(す)きながら探します。髪の毛を濡らすと見つけやすくなります。
また、1日に3~4個の虫卵を産むため、虫卵の方が多く、見つけやすいとされています。虫卵は白っぽい灰色の楕円形で、頭の側面や後ろ、耳の後ろによくみられます。
ケジラミは紫外線で照らすと探しやすくなります。顕微鏡を使って探すこともあります。ケジラミそのものを探すのではなく、糞が皮膚や下着に茶色い点状の汚れとなって残っているかどうかで見つけることもできます。
また、性的接触によって感染するため、性行為のパートナーも診察を受けなければなりません。
コロモジラミは衣類の襟首や袖口などの縫い目や、折目に潜んでいることが多いとされています。そのため、このような部分を中心に注意深く探します。
シラミの原因
アタマジラミは頭皮や髪の毛に寄生します。遊びの中で頭を寄せ合うといった濃厚な身体の接触や、ヘアブラシ、帽子などの身の回りのものを共有することでうつる恐れがあります。
静電気や風に飛ばされて、髪の毛から髪の毛へと移動することもあります。毎日、入浴して髪を洗うなど、清潔にしていても、うつることはあります。
また、水の中では、髪の毛から落ちないように強くしがみついていますので、風呂やプールでうつることはまずありません。
ケジラミは陰部や肛門部、胸毛などの体毛やまつ毛、口ひげにも寄生します。多くは、性的接触によってうつります。
そのため、性感染症の一つとして扱われることもあります。家族間、特に、母子の間でうつることもあります。
コロモジラミは不衛生な衣類や寝具にいて、それらを使うことによって感染します。人間同士の接触でうつることはありません。
シラミの予防・治療方法・治療期間
アタマジラミであれば、専用のシャンプーやクリームを1週間~10日程使って、様子をみます。シラミを完全に取り除くためには、シラミの虫卵も殺す必要があります。
そのために、虫卵を毛髪から浮かせて取り除きやすくするシャンプーも使います。また、ドライヤーの熱を30分程あてることで、虫卵を取り除きやすくなります。
ケジラミの治療も専用のシャンプーやクリームを使います。陰部の毛を剃りとる取ることで、ケジラミや虫卵を取り除くことも有効です。まつ毛に寄生している場合は、ワセリンや目薬などで治療します。
コロモジラミでは一般的に、薬は使いません。普段、使っている衣類や寝具を洗濯し、65℃以上の熱で乾かすのがもっともよいとされています。
カーペットや人形など、洗濯ができないものはポリ袋で密封し、2週間程、放置しておきます。コロモジラミは血液を吸うことができないと、2~3日で餓死します。
そのため、虫卵が孵化する期間を含めても、2週間が経過すれば危険はなくなると考えられます。
シラミの治療経過(合併症・後遺症)
シラミになりやすい年齢や性別
シラミは性別、年代に関係なく、かかる恐れがあります。
アタマジラミは幼児や、小学校低学年の子どもなど、濃厚な身体の接触を伴う遊びを好む年齢層に多い傾向があります。また、5~11歳の女の子どもにもよくみられます。
学校や保育所、地域などで集団感染がおこることも珍しくありません。アフリカ系人種に寄生することはまれだとされています。
ケジラミは性的接触をよくおこなう年齢層に多くみられます。
コロモジラミは衣類を洗ったり、しっかりと乾かしたりできない環境にいる人がかかりやすいとされています。
また、数は多くありませんが、一人暮らしのお年寄りがかかった例も報告されています。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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