こうじゅうじんたいこっかしょう後縦靭帯骨化症
後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこつかしょう)とは、背骨の中を縦に走る「後縦靭帯」が骨のように分厚く硬くなる病気です。
骨化すると脊髄の入っている脊柱管が狭くなってしまい、神経が圧迫されるようになるため感覚障害や運動障害などの神経の症状がおこります。
症状は骨化した場所により異なりますが、首筋・肩甲骨周辺・指先の痛み・しびれなどが発症します。
さらに症状が進行すると足の痛みやしびれを引きおこすこともあります。
骨化してしまう脊椎の部位により「頸椎(けいつい)後縦靱帯骨化症」「胸椎(きょうつい)後縦靱帯骨化症」「腰椎(ようつい)後縦靱帯骨化症」と呼ばれます。
後縦靭帯骨化症の症状
症状は首、肩、肩甲骨周辺、腕、指、指先、足などさまざまな部位におこります。
症状としては痛み、動かしにくい、だるさ、しびれなどがあります。動かしにくい場所は首であれば回らない、腕や足が思う様に動かないというだけでなく、関節の可動域に制限がかかり伸ばせなくなったりします。
また関節に違和感がある場合もあります。
初期の症状の多くは首筋・肩甲骨周辺・指先などの痛み・しびれから始まります。
進行すれば、痛み、しびれの範囲は拡大し、足のしびれ、感覚障害、足が思うように動かない、手で細かい作業ができないなどの状態になっていきます。
重症化すれば、歩行、起立困難、排尿、排便の障害がおこることもあります。
後縦靭帯骨化症の診療科目・検査方法
後縦靭帯骨化症の原因
まだ原因の特定はされておらず指定難病69として難病指定されています。
現在ではさまざまな要因が重なることで発症すると考えられています。
考えられている要因としては「遺伝的素因」「性ホルモン異常」「カルシウムやビタミンDの代謝異常」などや糖尿病、肥満、加齢なども要因と考えられています。
他にも全身的な骨化の傾向がある場合や骨化しやすい部位へのストレスなどの影響も指摘されています。
レントゲン撮影時に骨化した部位が発見されることがありますが、症状は必ずおこるわけではなく一部の人にのみおこります。
遺伝により発症することが知られているが必ずおこるわけではなく、前述の要素が複雑に関連していると考察されています。
後縦靭帯骨化症の予防・治療方法・治療期間
まず手術以外の方法としては、骨化により圧迫されている神経を保護する治療法があります。
例えば、首であれば頸椎を保護するために頸椎カラーと呼ばれる外固定装具をつけて快適な位置で安定させて安静にします。
薬物療法として、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤などを処方します。
症状によっては、手術での治療を必要としています。
手術方法は、部位、骨化の状態により、さまざまな方法があります。
後縦靭帯骨化症の治療経過(合併症・後遺症)
診断を受けても症状が進んでいなければ、積極的に治療を行わない場合もあります。
手術を受けた場合も数年〜数十年後に、他の部位が骨化することで症状が再びおこる場合もあります。
そのため、定期的な画像検査が必要です。
後縦靭帯骨化症になりやすい年齢や性別
50歳前後での発症が多く、男女差は2:1で男性が多いです。
糖尿病や肥満の患者さんに発生率が高いことが知られています。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴1997年 慶應義塾大学理工学部卒業
1999年 同大学院修士課程修了
2006年 東京医科大学医学部卒業
2012年 東京医科歯科大学大学院博士課程修了
三楽病院整形外科他勤務
愛知医科大学学際的痛みセンター勤務
米国にてペインマネジメントとエイジングケアについて学ぶ
2016年 フェリシティークリニック名古屋 開設
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