くっしんぐびょうクッシング病
クッシング病(くっしんぐびょう)とは、脳の下垂体にできた下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)と呼ばれる腫瘍により、副腎皮質から分泌されるコルチゾールとよばれるホルモンの分泌が過剰になる病気です。コルチゾールの分泌が過剰になるクッシング症候群の一種として知られており、厚生労働省から難病指定を受けています。
下垂体は、頭蓋骨のほぼ中心付近に位置する脳の下部にある器官です。下垂体の働きのひとつは腎臓の上部にくっついている副腎皮質が分泌するホルモンの生成を制御することです。しかし、ここに腫瘍ができた影響で副腎皮質を刺激するホルモンの分泌が過剰となりコルチゾールが過剰に分泌されます。これにより顔面や皮膚の異常、高血圧や糖尿病、精神に異常をきたすなどのさまざまな症状を引きおこします。
放置すると合併症などを誘発して死にいたることもあります。そのため原因となる腫瘍を手術により摘出し、薬物療法を併用しながら根治をめざす必要があります。
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クッシング病の症状
クッシング病の診療科目・検査方法
体重の急激な増加や顔面の膨張、腹部の肥満など特徴的な症状を自覚したら、内科、内分泌内科、脳神経外科を受診しましょう。問診でクッシング病の疑いがもたれる自覚症状があるかを確認して、以下のような検査をおこないます。
血液検査
採血の結果、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)、コルチゾール(副腎皮質ホルモン)が高い数値を示した場合はクッシング病が疑われ、デキサメサゾン負荷試験と呼ばれるステロイドホルモンを内服して、翌日に再びコルチゾールを測定する検査をおこなっていきます。
頭部MRI
頭部を断層撮影して下垂体腫瘍の有無を確認します。腫瘍が小さすぎてMRIで判別不能とされ発見に至らないケースや、下垂体腫瘍に起因しないタイプのクッシング症候群である可能性もあるため、この場合は改めて全身CTスキャン検査をおこないます。
選択的静脈カテーテル検査
MRIやCTを用いても腫瘍の発見に至らなかった場合は太腿の付け根から頭部に向けてカテーテルを挿入し、頭部にある海綿静脈洞より血液を採取する検査をおこない腫瘍を捜索する場合があります。
クッシング病の原因
脳の下垂体にACTH(副腎皮質刺激ホルモン)をつくる下垂体微小腺腫が発生することにより発症します。この影響により下垂体がACTHを過剰に分泌するようになります。比例してACTHを大量に受け取った副腎皮質がコルチゾールを過剰に分泌するようになることで症状をおこします。
下垂体に腫瘍ができる原因は現在のところ不明です。遺伝性はないとされていますが、中には家族性のクッシング病も報告されています。
クッシング病の予防・治療方法・治療期間
治療法の第一選択肢は手術療法により下垂体腺腫を取りのぞくことです。薬物療法や放射線療法も状況に合わせて適応されます。
手術は経蝶形骨洞下垂体腺腫摘出術と呼ばれる方法を採用します。これは鼻から内視鏡を挿入し、鼻の奥の骨を除去して下垂体にアプローチし外科的手術により腫瘍を摘出する方法です。
手術による腫瘍の摘除が不充分であった場合や手術が出来ない場合は薬物治療をおこないます。
放射線療法
何らかの要因で内視鏡手術が不可能か、もしくは結果が不充分であった場合には、二次手段としてガンマナイフを用いた放射線療法をおこないます。
クッシング病の治療経過(合併症・後遺症)
下垂体の腫瘍のほとんどは良性のものであることから、手術が成功すれば予後は徐々に回復に向かうものとされています。
クッシング病になりやすい年齢や性別
1965~86年におこなわれた全国調査では年間平均100例程度のクッシング症候群の発症が確認されています。そのうちクッシング病は4割とされています。
性差は1:4の割合で女性に発症者が多く、若年~中年に発症者が多いとされています。
執筆・監修ドクター
経歴2006年3月 北里大学医学部卒業
2008年4月 北里大学内分泌代謝内科学入局
(平塚共済病院、川崎市立井田病院などへ出向)
2011年4月 北里大学病院 内分泌代謝内科 助教
2014年4月 北里大学医学部 内分泌代謝内科学 助教
2016年4月 山岸クリニック相模大野 開院
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