ひとつのIDでさまざまな施設の順番待ち・予約が可能

EPARKグループ

夜間・休日に電話1本で医師がご自宅へ

急な発熱時など往診(自宅で診察・処方)の無料電話相談を受付しています。

0066-98090-0345523(無料電話相談)

夜間・休日に電話1本で医師ご自宅へ

今すぐ電話する無料電話

くっしんぐしょうこうぐんクッシング症候群

更新日:2022/08/10 公開日:2019/09/02 view数:12,913

クッシング症候群(くっしんぐしょうこうぐん)とは、副腎皮質ホルモンの分泌異常によって、手足が細い、顔面や腹部の肥大化など身体的な症状をおこす病気です。分泌過剰になるホルモンは、コルチゾール(コルチコステロイド)といいます。これは、炭水化物や脂肪、タンパク質などの代謝や、炎症を抑える、免疫をコントロールするなどの働きを担っています。またストレスを感じると分泌され、危機的状況に対して備えるようにうながす働きがあります。
分泌量が多すぎても少なすぎてもなんらかの症状がおこります。
クッシングの名前はこの病気の研究に携わった脳神経学者の名前からとられています。

コルチゾールが過剰に分泌される原因はさまざまです。副腎にコルチゾールを過剰分泌する腺腫ができた場合や、脳の下垂体に「ACTHホルモン」という副腎皮質ホルモンの分泌をうながす腺腫ができることが問題になりやすいです。

ACTHの過剰分泌によって引きおこされている場合は「クッシング病」とも呼ばれています。これは厚生労働省より難病指定を受けています。

腺腫が発見されれば外科手術によって腺腫を取り除くことを検討します。手術がうまくいかなかったり、なんらかの理由で手術ができない場合はホルモン製剤を生涯にわたり服用する必要があります。また、放置すると生命に関わる病気ですので、しっかり治療することが重要です。

目次
  1. クッシング症候群の症状
  2. クッシング症候群の診療科目・検査方法
  3. クッシング症候群の原因
  4. クッシング症候群の予防・治療方法・治療期間
  5. クッシング症候群の治療経過(合併症・後遺症)
  6. クッシング症候群になりやすい年齢や性別

クッシング症候群の症状

特徴的な兆候が身体にあらわれます。顔面が満月のように肥大する「満月様顔貌(まんげつようがんぼう)」、背中の上部に多くの脂肪がつく「野牛肩」、手足は細く胴部だけが肥大化する「中心性肥満」、腹部に赤い線がつく「腹部赤色皮膚線条」などがあらわれます。このほか、筋力の低下や皮膚の薄化などがあらわれます。皮膚が薄くなることで青アザができやすい傾向にあります。ニキビ、多毛、むくみなどもおこります。

身体的徴候以外にも高血圧、血糖値が通常より高くなる「耐糖能異常」、骨粗鬆症、月経異常、うつ症状などの精神に関わる症状がおこることもあります。骨粗鬆症糖尿病腎結石の合併率が高く、未治療の場合、脳血管障害、心臓病、免疫低下による感染症によっておこる敗血症、骨粗鬆症による骨折などがおこる可能性があります。




クッシング症候群の診療科目・検査方法

問診をおこない、身体所見も含めて確認します。その後、採血および採尿にて血液中のコルチゾールを測定します。検査値が高い場合は超音波(エコー)やCT、MRIなどによる画像検査を実施し、副腎や下垂体での腫瘍の有無などを確認します。

クッシング病の疑いがあり、下垂体腺腫の検索が不充分と判断した場合は、選択的静脈カテーテル検査をおこないます。この検査は、静脈カテーテルを大腿の付け根から挿入し、頭部の海綿静脈洞の血液を採取してその血液を調べる検査です。

また、クッシング症候群は生命予後に関わるため受診の必要性は高いと言えます。
主な受診科目は内分泌内科です。

クッシング症候群の原因

コルチゾールの過剰分泌によります。

副腎皮質腺腫や、脳下垂体腺腫により引きおこされるコルチゾールの過剰分泌が代表的な原因として知られています。

脳下垂体腺腫による場合は、ACTHというコルチゾールを分泌するよう命令する腺腫が下垂体に発生した場合におこります。ACTHを分泌する腫瘍が下垂体以外にできることもあります。こうした腫瘍は「異所性ACTH産生腫」や「異所性CRH産生腫瘍」とよばれます。これらは甲状腺、膵臓、気管支、肺小細胞などにできます。

いずれの腺腫も発生する根本的な原因は不明です。ステロイドの服用により引きおこされる薬剤性の場合もあります。

副腎皮質腺腫にはホルモンの過剰分泌をおこなわないタイプも存在します。また副腎にできる副腎がんが原因となることもあります。

基本的には遺伝性のものではありません。しかし一部には遺伝的要因による家族性のものもあります。

クッシング症候群の予防・治療方法・治療期間

腺腫や腫瘍による場合は手術療法により摘除することが基本です。
副腎腺腫に対しては、腹腔鏡手術、下垂体腺腫に対しては経鼻的な経蝶形骨下垂体手術がおこなわれます。これらには、開腹術や開頭術に比べて施術時間を短縮し。患者さんへの体の負担が少ないというメリットがあります。また術後の回復も早いです。早い人では、手術翌日には歩行が可能になっています。
副腎皮質腺腫の場合は術後1週間程度、脳下垂体腺腫の場合は2週間程度で退院が可能とされています。

異所性ACTH産生腫による場合も基本は外科的に取り除くという方針は同様です。
脳下垂体腺腫は手術自体が不可能なケースや、手術の結果が不充分であった際に、改めてガンマナイフ(※)などを使用した放射線療法をおこなう場合があります。また、病状などによっては、副腎皮質ホルモン産生阻害薬などによる薬物療法を手術に優先しておこなう場合もあります。
副腎皮質腺腫による場合は、両側性であれば片側の副腎のみ摘除と薬物療法を併用する場合もあります。

※ガンマナイフ・・・放射線の一種であるガンマ線を病変にビーム状に照射する放射線療法のこと。切除するわけではないため、治療後の経過をみて病変が閉塞し、消失していくかを観察します。

クッシング症候群の治療経過(合併症・後遺症)

下垂体腺腫の術後の合併症としては尿崩症(にょうほうしょう)、下垂体機能低下症があげられます。尿崩症とは、喉が渇き、水分を多量に摂取し、尿を多量に排出するようになることです。

また、下垂体機能低下症とは、さまざまなホルモンを分泌する働きを持つ「下垂体」が、何らかの原因によってホルモンを分泌できなくなる状態を指します。これにより、全身の倦怠感などを引きおこします。

下垂体腺腫は非常に小さい場合が多いです。そのため、すべてを発見できず、残った腫瘍による再発がおこることがあります。そうしたケースでは再手術をおこないます。
また、無治療の状態で放置すると死亡リスクが増大します。

クッシング症候群の罹病期間が長いとコルチゾール過剰の影響で骨粗鬆症を合併します。その場合は改善に時間を要するため骨粗鬆症の治療は継続しておこなう必要があります。

クッシング症候群になりやすい年齢や性別

1965~1986年の全国調査では年間平均100症例が確認されています。このうち半数が副腎性でした。また約40%は、ACTH分泌に関わるクッシング病であったとされています。現在では検査体制の充実などにより発見しやすくなったこともあり、実際にはこれより多いと考えられています。

男女比は1:4で女性に多いとされています。

執筆・監修ドクター

山岸 貴洋
山岸 貴洋 医師 山岸クリニック相模大野 院長 担当科目 内分泌内科/糖尿病内科

経歴2006年3月 北里大学医学部卒業
2008年4月 北里大学内分泌代謝内科学入局
     (平塚共済病院、川崎市立井田病院などへ出向)
2011年4月 北里大学病院 内分泌代謝内科 助教
2014年4月 北里大学医学部 内分泌代謝内科学 助教
2016年4月 山岸クリニック相模大野 開院

不正確な情報を報告

不正確な情報を報告

メールアドレス:任意
※メールアドレスをご入力いただいた方には、改善結果をご報告致します。
コメント(オプション):

関連する病気

クッシング症候群以外の病気に関する情報を探したい方はこちら。

関連カテゴリ

クッシング症候群に関連するカテゴリはこちら。