子宮肥大とは
子宮肥大(しきゅうひだい)とは、子宮が大きくなることを指します。
子宮は通常、鶏の卵ぐらいの大きさですが、にぎりこぶし大や、それ以上に大きくなることもあります。主に、子宮腺筋症という病気によって引きおこされます。
子宮腺筋症は、子宮内膜とよく似た組織が子宮筋層内に入り込む病気です。入り込まれた部分や周辺の筋層が肥大し、硬くなります。
子宮腺筋症は子宮筋腫と症状が似ています。ただし、子宮腺筋症では、子宮筋層と病変との境がわかりにくいのに対し、子宮筋腫では、境がはっきりしていてわかりやすい点が違います。
また、子宮腺筋症と子宮内膜症も、子宮内膜が本来とは違う場所にできるところが共通しています。ただし、子宮内膜症は子宮筋以外の場所にできるという点が違います。
子宮肥大の症状
子宮肥大は子宮が大きくなります。子宮は通常、鶏の卵ぐらいの大きさですが、にぎりこぶし大や、それ以上に大きくなることもあります。
子宮肥大を引きおこす子宮線筋症の主な症状としては、ほかにも、強い生理痛、生理時の出血量増加や、それに伴う貧血、生理のとき以外でもおこる腰痛や不正出血、下腹部痛などがあります。
このうち、生理痛は日常生活に支障が出るほど強くなることも多くあります。
貧血にともなう息切れや倦怠感、痛みによる性交障害がみられることもあります。また、不妊の原因となることもあります。
子宮肥大の診療科目・検査方法
子宮肥大の原因
子宮肥大を引きおこす子宮線筋症の原因は不明です。
なぜ、子宮内膜組織が子宮筋層内に入り込むのか、そのメカニズムはいまだ解明されていません。
子宮肥大の予防・治療方法・治療期間
子宮肥大を引きおこす、子宮線筋症の主な治療方法には、「保存的治療(薬物・ホルモン治療)」と「手術」があります。
よほど重度でない限り、まずは保存的治療をおこないます。症状が軽い場合、鎮痛剤や鉄剤の内服によって、症状のコントロールを試みます。
このような対症療法でよくならない場合は、低用量ピルや黄体ホルモン放出子宮内システム、GnRHアナログといったホルモン治療で、原因となっている子宮内膜組織や炎症のコントロールを試みます。
保存的治療で症状がコントロールできない場合や、合併症などで治療が継続できない場合は、手術をおこないます。
主に、子宮全摘術をおこないます。子宮腺筋症の部分のみを取り除く「核出術(摘出術)」をおこなう病院もあります。
ただし、子宮筋腫とは異なり、通常の筋層との境界がはっきりせず、異常部分を取りきれないことも多いことから、一般的ではありません。
女性ホルモンが低下する閉経後は、自然と症状が治ります。そのため、閉経が近い場合は、症状が強くても、なんとか保存的治療で乗り切るようすすめられることもあります。
子宮肥大の治療経過(合併症・後遺症)
子宮肥大の子宮腺筋症は、子宮筋腫や子宮内膜症と同じように比較的よくおこる病気です。
また、基本的に完治することはありません。そのため、症状が治る閉経までの間、子宮腺筋症と上手に付き合っていく必要があります。
また、妊娠・出産を希望するかどうかでも治療方針が異なります。ホルモン治療中は妊娠・出産ができないためです。
自分の希望を主治医へ伝え、相談しながら方針を決めて、治療に取り組んでいくことが大切です。
子宮肥大になりやすい年齢や性別
子宮肥大の子宮腺筋症には、女性の20〜30%がかかります。かつて、発症しやすい年齢は40歳代で、とりわけ30代後半から40代以降の出産経験がある女性に多くみられるといわれていました。
しかし、最近では、若い女性にも多く発症しており、20〜30歳代の患者さんが増加傾向にあります。
子宮筋腫や子宮内膜症などと合併している場合もあります。
執筆・監修ドクター

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