卵巣捻転とは
卵巣捻転(らんそうねんてん)とは、卵巣が、子宮とつながっている部分でねじれる疾患です。
血流がとだえ、激しい腹痛がおこります。長期間、卵巣に血液が流れなくなると、組織が壊死することもあります。また、多くの場合、ねじれるのは片側だけといわれています。
原因は卵巣のう腫です。卵巣のう腫とは、卵巣に液体などの成分が溜まり、大きく腫れる疾患です。良性のものが多いといわれています。
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卵巣捻転の症状
卵巣捻転には以下の症状があらわれます。
- 激しい腹痛
- 吐き気
- 嘔吐
痛みは突然おこることが多いといわれています。
数日~数週間にわたって、締めつけられるような痛みを感じることもあります。痛みは、体の向きを変えたときに感じることが多くみられます。
以下のようなショック状態になる場合もあります。
- 呼吸がはやくなる
- 意識が遠くなる
こうした場合は、緊急手術をおこない、ねじれを元に戻さなければなりません。
卵巣捻転の診療科目・検査方法
若い人でも、腹部に違和感を感じるなどの症状があれば、婦人科を受診しましょう。
問診に続き、内診、超音波検査をおこないます。
内診
卵巣の大きさや、癒着していないかなどを確認します。
超音波検査
装置を膣の中に入れ、正確な検査をおこなうことで、確定診断をすることができます。腫瘍がある場合、良性か、悪性かも確認することができます。
そのほか、MRI検査やCT検査、血液検査をおこなう場合もあります。
卵巣捻転の原因
卵巣捻転の予防・治療方法・治療期間
卵巣捻転の症状、卵巣のねじれを元に戻すためには、手術をおこないます。手術の内容は、患者さんの年齢や、出産希望の有無などで異なります。医師と十分に話し合って決めることが大切になります。
しかし、卵巣の組織が壊死している場合は、緊急手術で、卵巣と卵管を摘出する必要があります。
近年では、卵巣のう腫が原因の場合、腫瘍の部分だけを取り除くことも可能になってきています。また、腹腔鏡下での手術もおこなわれることが増え、患者さんの負担は少なくなってきています。
一般に、1週間程度の入院でよいとされています。
卵巣捻転の治療経過(合併症・後遺症)
卵巣捻転の治療において、近年では、開腹手術ではなく、腹腔鏡下手術をおこなうケースが増えています。
腹腔鏡下手術では、腹部に1~4カ所程度、穴を開けて、手術をします。体を傷つけにくく、手術後の合併症も少ないなど、さまざまなメリットがあります。
早期に発見し、治療をおこなえば、予後は良いと考えられます。また、卵巣のねじれを元に戻すと、卵巣の機能は9割程度、元に戻るといわれています。
未婚の人、若い人でも、卵巣の機能を保ちながら手術をすることが可能になってきています。
卵巣捻転になりやすい年齢や性別
卵巣捻転の患者さんの数を調査したデータはありません。
卵巣は女性の生殖器であるため、女性の疾患です。生殖可能な年齢の女性であれば、誰にでも発症する恐れがあります。子どもにも発症した例があります。
また、この疾患の原因となる卵巣のう腫は、20~30代など、若い女性に多くみられます。妊娠した際の検査で見つかる例も少なくありません。若いからといって安心せず、定期的に婦人科疾患の検診を受けることが大切です。
執筆・監修ドクター
経歴1999年 日本医科大学産婦人科教室入局 日本医科大学付属病院 産婦人科研修医
2001年 国立横須賀病院(現 横須賀市立うわまち病院) 産婦人科
2002年 東京都保健医療公社 東部地域病院 婦人科
2003年 日本医科大学付属病院 女性診療科・産科 助手代理
2004年 日本医科大学付属第二病院 女性診療科・産科 助手
現在 石野医院の副院長
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