子宮内膜ポリープ
概要
子宮内膜ポリープとは?
子宮内膜ポリープとは子宮内膜にできる、イボ状の腫瘍のことです。
約7割が良性で、ポリープの大きさは1cmに満たない小さいものから、数cmのもの、1個の場合から多数のものまで、大きさや一度に発見されるポリープの数もさまざまです。
不正出血や過多月経などによっておこる貧血や、不妊の原因になることもあります。
超音波(エコー)検査、MRIなどの検査でこの病気が疑われた場合には、悪性かどうかも含め詳細に判断するため子宮内膜検査をおこないます。
「過多月経」、「不妊」など、子宮内膜ポリープによる症状がある場合にはポリープ摘出手術の対象になります。不妊症の患者さんはポリープを摘出することで、妊娠の可能性が増えることもあるといわれています。
症状
自覚症状はない場合もありますが、以下のような症状があらわれることがあります。
・不正出血
・過多月経
・過長月経
・月経困難症
・貧血
自覚症状がなく検診などでたまたま発見されることがあります。過多月経は、婦人科の病気やホルモンバランスの乱れなどによっておこります。
また、不妊のため婦人科を受診する患者さんから子宮内膜ポリープが発見されることは少なくありません。
子宮内膜は妊娠する時に受精卵が成長していく場所です。ポリープがあることによって、受精卵が着床しにくい状態になってしまいます。そのため不妊を招きやすくなります。
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診療科目・検査
不正出血などの症状があるのであれば婦人科、産婦人科を受診する必要があります。
一次検査では、超音波検査をおこないます。追加検査としてMRIによる画像検査をおこなうこともあります。子宮内膜ポリープが発見された場合は、さらに子宮鏡検査をおこない悪性のポリープではないかを詳しく調べます。
電子内視鏡で膣から子宮内を直接観察します。
この検査では
・ポリープの大きさ
・個数
・位置
ポリープの大きさが1㎝以上の大きさでは自然に消失していくものも少なく、悪性化していく可能性もあります。
月経周期によって正確に診断できないことがあるため、月経終了後~排卵期までに検査をおこなうことが望まれます。
原因
原因は明らかにはなっていません。
しかし、女性ホルモン(エストロゲン)が過剰に分泌されるなど、ホルモンの乱れが原因のひとつといわれています。ホルモンの乱れはストレスなどによりおこることがあります。
また、子宮内に細菌などが侵入し炎症をおこすことや、出産などが影響しているという説もあります。
治療方法と治療期間
不正出血や月経異常、不妊症などの場合は手術でポリープを切除します。
手術方法には、子宮内膜掻爬(そうは)術と子宮鏡下ポリープ摘出術があります。
子宮内膜掻爬術は、器具を使って内膜をかきとる手術方法です。
子宮鏡下内膜ポリープ摘出術は、子宮鏡で、拡大された子宮の中を見ながら電気メスでポリープを切り取ります。小さなポリープを見逃すことが少なく、再発することも少ない方法です。とくに不妊症治療を目的とする場合にはこの治療法が選ばれることが多くあります。
また、多くは2~4日で退院が可能です。なかには日帰り入院が可能なこともあります。退院後は1~4日ほどの自宅静養が必要ですが、比較的早い社会復帰ができる治療法といえるでしょう。
ただし、完全な治療法はなく、手術後に再発することがあります。
症状がなく、不妊症や悪性ポリープではなければ経過観察とすることもあります。
治療の展望と予後
約70%が良性といわれており、適切な手術を受けポリープを除去することができれば、その後の経過が悪いことは多くありません。
しかし、0.8%でがんが発見されたという報告もあります。そのためすべてが良性と判断することはできません。しかし、悪性であったとしても早期に発見することで治癒する可能性は高くなります。そのため不正出血の症状だけであっても早期の受診が望まれます。
自覚症状はあまりないため、定期的に婦人科での検診を受けることも重要です。
発症しやすい年代と性差
子宮内膜ポリープは女性のみに発症する病気です。
40代~50代に多くみられます。
不妊症の人の約24%に子宮内膜ポリープがあるという報告もあります。
年齢を問わず、妊娠を希望する女性には注意の必要な病気といえるでしょう。
参考サイト