きょうちょくせいせきついえん強直性脊椎炎
強直性脊椎炎とは?
強直性脊椎炎(きょうちょくせいせきついえん)はリウマチ性疾患のひとつです。
関節リウマチが手や足の指など、体の末梢部に起こるのとは逆に背中で全身の神経とつながる脊椎や骨盤などの大きな関節に炎症や強直が起こるのが特徴です。
10代~20代の男性に発症することが多く、それまでは痛みを感じていたものがなくなり、脊椎が動かしづらい、こわばるなどの症状に移行しますが、脊柱全体が固まるような症状はすべての人に起こるわけではありません。
この病気の原因は分かっていませんが遺伝によって発症する可能性があることがわかっています。
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強直性脊椎炎の症状
腰痛や臀部痛、また体幹に近い大きな関節に痛みが生じます。
夜間や朝方などの安静時から動き出す時が最も痛く、動かし続けることによって痛みが軽減していきます。
強直性脊椎炎の診療科目・検査方法
血液検査にて炎症反応の上昇がみられます。また仙腸関節や脊椎のレントゲンで異常所見を認めます。
リウマチ科を受診しましょう。
強直性脊椎炎の原因
原因はわかっていません。
特定の遺伝子型であるHLA-B27をもつ人に多くみられますが、病気にどこまで関与しているかは不明です。
強直性脊椎炎の予防・治療方法・治療期間
薬による治療により症状の緩和が可能です。
運動療法やリハビリテーションのほか、非ステロイド性抗炎症薬で痛みをコントロールできます。重症例ではTNF阻害薬(※1)という生物学的製剤が適応しますが、根本的な治療法はないのが現状です。
完治することがないため、生涯にわたって治療を継続する必要があります。
強直性脊椎炎の治療経過(合併症・後遺症)
完治することはありません。
薬による治療により症状の緩和が可能です。
強直性脊椎炎になりやすい年齢や性別
1990年代の調査によると、日本人の有病率は0.0065%です。
男性の方が女性よりも3~4倍多く、10代から30代で発症します。
編集部脚注
※1 TNF阻害薬
TNF阻害薬は、「炎症を引き起こす物質―TNFαの働きを抑え、炎症による組織破壊を防ぐ薬」です。
生物学的製剤と呼ばれる種類の薬であり、主に「関節リウマチの薬」として使われています。
炎症は免疫反応の1つで、「病原体・異物の排除に必要な反応」です。
炎症を起こした箇所に戦力を集中させることで、病原体・異物を効率良く排除できるからです。
炎症部位が損傷を受ける代わりに、病原体・異物が全身にまわるのを避けることもできます。
しかし、関節リウマチなどの自己免疫性疾患では、免疫システムが「本来、起こす必要のない炎症」を起こします。
「自分の身体の一部」を異物と間違えて攻撃し、常時、炎症を起こした状態になるのです。
その結果、「炎症による損傷」がどんどん進み、(関節リウマチなら)関節の組織が破壊されていきます。
そこで、「炎症を引き起こすための物質―TNF-α」の働きを抑える薬が役に立ちます。
TNF阻害薬はTNF-αと結合して、炎症の惹起(じゃっき:発生させること / 誘発すること)を阻害します。
関節リウマチのほか、クローン病、ベーチェット病、強直性脊椎炎などに使われることもあります。
執筆・監修ドクター
経歴2004年 弘前大学医学部医学科卒業
茅ヶ崎徳洲会総合病院(現:茅ヶ崎徳洲会病院)にて初期臨床研修
2006年 湘南鎌倉総合病院総合内科にて後期研修
2008年 2008年度内科チーフレジデント
2009年 東京医科歯科大学医学部附属病院膠原病・
リウマチ内科に入局しリウマチ膠原病診療に従事
湘南鎌倉総合病院総合内科・リウマチ科非常勤
武蔵野赤十字病院膠原病・リウマチ内科非常勤
2011年 信愛クリニック非常勤医として勤務
2014年 東京医科歯科大学大学院博士課程修了 信愛クリニック常勤医として勤務
2016年 アカラクリニック開院
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