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はしょうふう破傷風

更新日:2022/08/10 公開日:2019/02/19 view数:5,730

破傷風とは?

破傷風(はしょうふう)は破傷風菌による感染症です。転倒するなどで土中にいる菌が血液中に入ると感染します。致死率の高い病気ですが、日本ではジフテリアなどと同様、ワクチンの普及により感染して発症することが非常に少なくなりました。しかし、未だに発症した場合は命に関わる病気であることには変わりがありません。そのため、破傷風の症状が確認された場合は感染を確認する前に治療を開始する必要があります。

また最近では海外で薬物乱用者が注射器などから感染している例もあり、そうしたルートでの感染拡大に注意が必要です。

目次
  1. 破傷風の症状
  2. 破傷風の診療科目・検査方法
  3. 破傷風の原因
  4. 破傷風の予防・治療方法・治療期間
  5. 破傷風の治療経過(合併症・後遺症)
  6. 破傷風になりやすい年齢や性別

破傷風の症状

破傷風は重症化すると死に至るケースが多く、致死率が高い感染症です。

破傷風菌に感染すると3~21日の潜伏期間があり、その後に症状が現れます。

侵入した破傷風菌が生成する毒素が神経から脊髄の細胞に達すると様々な症状が現れ、全身の筋肉痙攣が生じます。そのため、呼吸困難に陥り、最終的には窒息で死亡します。

主な症状は、手足が硬くこわばり、無意識にピクピクと動く「強直性痙攣(ごうちょくせいけいれん)」です。他にも口が開きにくくなる『開口障害』があります。

開口障害から全身に痙攣(けいれん)が起こるまでの時間をオンセット・タイムといい、この時間が48時間以内の場合は生命の危険性が高くなります。感染から発症までの時間が短いほど致死率は高くなります。

また破傷風は以下の4つに分類されています。

・全身性破傷風…もっとも多い破傷風の症状。全身の痙攣が起こる
・限局性破傷風…傷の周囲に限り、痙攣が生じる
・頭部破傷風…頭部の傷口から感染し、顔面の神経を中心に脳神経の麻痺を起こす
・新生児破傷風…出産時に、へその緒の切断面から感染する新生児の破傷風

破傷風の診療科目・検査方法

傷口の嫌気性培養でクロストリジウムをチェックする方法があるが、一般的には、検査結果を待つより、臨床症状をみて早目に治療をします。

初期症状である首筋の張りやものを噛んだ時に疲れがある場合は、破傷風を疑います。そのまま放っておくと死にいたる重症な感染症なので早期発見、早期治療が必要です。

ケガをした場合は「傷口の洗浄」「消毒」により菌を減少させる、「抗菌剤を使う」など、適切な対処で感染の可能性を低くする事が可能です。

さびついた釘を踏み抜いた、傷口が深く自分では洗浄しきれないなどのケガは医療機関を受診しましょう。

発症した場合には、ただちに入院治療が必要です。内科(可能であれば感染症内科)を受診しましょう。

破傷風の原因

破傷風菌は世界中の土壌や家畜の糞に生息しています。

酸素が少ない環境を好み、地表から数㎝ほどの浅めの土や泥のなかに生息し無酸素状態で増殖します。生息しにくい環境では芽胞(がほう)という硬い膜に覆われた状態で生きています。

破傷風抗体のない幼児や破傷風ワクチンを接種していない成人が転倒や土いじり中に負傷した傷口があると、そこから感染します。

破傷風の予防・治療方法・治療期間

致死率が高い感染症だがワクチン接種による予防が効果的です。

生後3ヶ月から数年にかけて、複数回接種をおこないます。ただし、ワクチン効果は長くとも10年ほどで効果はなくなります。

特に成人以降もスポーツなどでケガをする可能性のある場合や海外出張をするなどの時には追加接種を受ける必要があります。幼児期に受ける四種混合ワクチン、小学校高学年の時期に受けるDTワクチンにも含まれています。

感染時の治療で重要なのは傷口の洗浄と消毒です。傷口を出来るだけ開いて洗浄し感染や壊死のおこっている組織を取り除きます。

これを、「デブリードマン」といい、他の組織への影響を防ぐための大切な外科的処置です。デブリードマンで除去しきれず残った破傷風菌を減らすため、抗菌薬を点滴し破傷風菌の毒素を中和します。

抗菌薬として血清「抗破傷風ヒト免疫グロブリン(TIG)」を投与します。ヒト免疫グロブリンが入手出来ない場合は、ウマの抗毒素で代用します。

ただし、破傷風菌の毒素が神経系の組織と結合してしまった場合、「抗破傷風ヒト免疫グロブリン」の効果はあまり見込めないため発症初期での投与が重要です。

この処置のほか、「破傷風トキソイドワクチン」を投与することで免疫を追加します。筋肉の痙攣に対して抗痙攣薬の投与などもあわせておこないます。場合によっては、抗生物質である「メトロニダゾール」の投与を行うこともあります。

メトロニダゾールは破傷風の回復までの時間を短縮し、致死率も低くする破傷風の治療に最適な薬品です。メトロニダゾールの大量投与により、重症時に投与される筋弛緩剤や鎮静剤の量を減らすことが可能です。

重症の場合は人口呼吸器を使用します。

メトロニダゾールを7~14日投与します。

治療によって回復した場合でも破傷風菌に対する十分な免疫が出来たとは限られないため、回復後にもワクチン接種を継続して免疫をつけていくことが必要です。

破傷風の治療経過(合併症・後遺症)

破傷風は重症化すると死に至るケースが多いです。
症状があれば、ただちに治療を開始する必要があります。感染症専門医を受診しましょう。

破傷風になりやすい年齢や性別

1991年以降の患者数は1年間で30~50人ほといわれています。致死率は20~50%となり、以前より、かなり低くなりました。

1950年には致死率81.4%となる恐ろしい感染症でしたが、1952年に破傷風トキソイドワクチンが導入され、1968年にはジフテリア、百日咳、破傷風の『三種混合ワクチン』による定期予防接種が始まったことで、破傷風の患者や死亡者は大きく減少しました。

すべての年齢の人々に感染の機会があります。

国によって新生児は臍帯を切るのに使用した汚れた器具から感染することがあります。
性差はありません。

参考・出典サイト

執筆・監修ドクター

大利 昌久
大利 昌久 医師 おおり医院 院長 担当科目 小児科/内科/外科/精神科/アレルギー科/呼吸器内科

経歴1968年 長崎大学医学部卒
1978年 医学博士 東京大学大学院
1986年 おおり医院開設

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