- 目次
金属アレルギーとは
金属アレルギー(きんぞくあれるぎー)とは、金属が皮膚の一部に触れるなどでかゆみや発赤などのアレルギー反応がおこる病気です。
金属アレルギーによる反応の多くはアレルギーのなかでも遅延型アレルギーと呼ばれるⅣ型アレルギーに分類されます。このタイプは反応の開始までに時間を要することから、遅延型過敏反応(ちえんがたかびんはんのう)とも呼ばれます。
身に着けている時間の長いアクセサリーや、歯のつめものなどによっておこることがあります。
金属アレルギーの症状
金属アレルギーの主な症状はアレルギーをおこす原因となる金属が皮膚に接触していることで、接触している部分が赤く腫れる、赤いぶつぶつとした発疹がでる、かゆみなどです。
アレルギー反応がおきてから、繰り返し接触が続いていると全身にかゆみのある発疹があらわれることもあります。また、かゆみに対し、強くかきむしることで傷ができ、そこから細菌に感染して化膿(かのう)することもあります。
アレルギー反応が強い場合、水ぶくれや発熱がおこり、全身にだるさを感じることもあります。
金属アレルギーの診療科目・検査方法
金属アレルギーは皮膚科を受診しましょう。
パッチテストと呼ばれる検査がおこなわれます。
これは原因物質と疑われる金属片を皮膚に貼りつけ、それに対する皮膚の変化を観察する手法です。金属アレルギーは反応があらわれるまでに時間がかかるため2日間ほどは貼りつけたままにします。その後、貼りつけた部位を観察します。
反応がある場合は、貼りつけた部分が赤くなったり、腫れていたりします。
症状があらわれた場合には、まずは原因物質を特定することが先決です。食物により症状を助長することもあるため、原因を明らかにした上で対策を立てる必要があります。
金属アレルギーの原因
金属によるアレルギー反応の多くは遅延型アレルギーのためすぐにはおこりません。これは汗や唾液などで金属イオンがとけだして体内のタンパク質と結合することで、免疫細胞が異物とみなして攻撃することによる反応です。
原因物質は金属のなかでもニッケル、クロム、コバルトなど、多くは物質として不安定で、汗などで分解されてイオン化しやすい金属です。一方、金や銀、チタンなどでは変化が少ないためおこりにくいとされています。
腕時計やアクセサリーなど皮膚に直接触れるものや、歯のつめものなどが原因になることがあります。化粧品やクレヨンに含まれる金属成分で反応することもあります。
ピアスは穴をあけて皮膚内にいれるため、アクセサリーのなかでも金属アレルギーの原因になりやすいです。
ほかにもワインやナッツ、香辛料などにも微量に含まれていることがあり、金属アレルギーをおこす原因になります。
金属アレルギーの予防・治療方法・治療期間
金属アレルギーの基本的な治療法として原因物質を特定し、それをできるだけ避けます。
一度アレルギーを発症してしまうと、体質がアレルゲンに反応しやすい体になります。体質を変えることは容易ではありません。
そのため、身につけているものや使用している金属を確認し、アレルギーのおこりにくい物質や非金属のものに変えることや、使用を控えるようにすることで症状をおさえます。
日常的に使用するものを原因になる金属以外のものに変えることができれば、問題なく生活できますが、仕事や生活に必要な道具につかわれている金属などが原因であれば、すぐに対処することは難しいかもしれません。
症状があらわれた時の対処法としては、アレルギー反応をおさえるステロイドや抗アレルギー薬の軟膏や内服薬によってかゆみなどの症状を和らげます。
どの程度、治療を続ける必要があるかは症状や状態によります。
金属アレルギーの治療経過(合併症・後遺症)
原因物質を避ける除去療法で、一般的には数カ月程で症状はおさまります。
原因になる金属の除去を続け、体質が変化すれば数年後に反応をおこさなくなる可能性はあります。
金属アレルギーになりやすい年齢や性別
金属アレルギーの傾向をしめすはっきりとしたデータはありませんが、アレルギー全体でいえば、性差、年代に関わらず年々増加傾向にあり、2人に1人はアレルギーの素因があるのではないかと考えられています。
徳島大学病院で金属アレルギーを持つ患者さんを調査したところ、右肩上がりに増えていました。その調査では、男性よりも女性に多い傾向があると報告されています。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
経歴1998年 埼玉医科大学 卒業
1998年 福岡大学病院 臨床研修
2000年 福岡大学病院 呼吸器科入局
2012年 荒牧内科開業
関連する病気
金属アレルギー以外の病気に関する情報を探したい方はこちら。
関連カテゴリ
金属アレルギーに関連するカテゴリはこちら。