せいさくじょうみゃくりゅう精索静脈瘤
精索静脈瘤とは?
精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)は男性にのみおこる症状です。
精巣付近の陰嚢部(いんのうぶ)の静脈に小さなこぶ(静脈瘤)ができる症状のことです。
自覚症状がないことも多くありますが、痛みがあったり、左右の陰嚢の大きさが違うということで気づく場合もあります。
静脈瘤が原因で精巣内の温度上昇などがおこることもあります。
その影響で「精子が少なくなる」「DNAが欠損する」といったことがおこり、不妊の原因になることがあります。治療する場合は泌尿器科を受診します。精索静脈瘤は手術によって治療することが可能です。
精索静脈瘤の症状
解剖学的に殆どのケースが左側に起こり、多くは無症状で経過することが多いです。
左陰のう上部の腫れ(透けて太くなった血管が見えることもある)、左陰のうの痛みや違和感、精巣発達障害による精巣の左右差(右が左より大きくなる)を自覚することもあります。
成年男子では、不妊症精査で精索静脈瘤(※1)を指摘されることが多いです。
精索静脈瘤の診療科目・検査方法
視診・触診、疑わしいときは超音波で血管が太くなっているのを確認します。
自覚症状がある、または男性不妊の可能性を指摘された際は泌尿器科を受診しましょう。
精索静脈瘤の原因
陰のう上部に存在する蔓状(つるじょう)の左精索静脈が拡張することで精索静脈瘤となります。
拡張する原因としては、左腎静脈と精巣静脈(精索静脈の流れていく先の血管)がほぼ直角に合流するため、静脈内圧が上昇すると考えられています。
その結果として精巣内の温度が上昇し、精子を作り出す働きが障害され、不妊症を引き起こしていると推測されています。
精索静脈瘤の予防・治療方法・治療期間
一般的には外科的治療を行います。
左精巣静脈を腰部または鼠径部(そけいぶ※2)のいずれかで切り離し、血流を遮断することが目的です。
比較的若い成人で、左の精巣が小さいケース、または明らかに太い静脈瘤が認められ、不妊症のあるケースに関しては、手術の必要性が高いと考えられます。手術をしても痛みなどの自覚症状が改善しない場合があることを理解しておく必要があります。
治療期間は無治療経過観察なのか、手術療法なのかで異なります。手術では数日から一週間程度の入院が必要です。
精索静脈瘤の治療経過(合併症・後遺症)
手術をしても痛みが改善しない場合があります。
精索静脈瘤になりやすい年齢や性別
成人男子全体の約15%にみられます。
10歳未満では殆ど見られませんが、10~15歳の時期に増加します。
参考・出典サイト
編集部脚注
※1 静脈瘤
静脈瘤は、「静脈の一部が拡張し、瘤(こぶ)のように肥大した状態」です。
記事内で解説している「精索静脈瘤」のほか、脚の静脈に発生する「下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)」がよく知られています。
※2 鼠径部 (そけいぶ)
鼠径部は、「下腹部と脚部の境界にあたる部位」です。
「太ももの付け根」と表現すると、わかりやすいでしょう。
執筆・監修ドクター
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