いんのうすいしゅ陰嚢水腫

陰嚢が腫れます。

痛みはないことが多いですが、陰嚢が腫れることで、不快感や違和感が出てきます。まれに大きさが変化することもあります。子どもの場合は1歳くらいまでに消失していくこともあります。

しかし、3歳頃になっても消失しない場合や、大きくなったり小さくなったりを繰り返している場合があります。その場合は消失することはまずありません。

超音波検査によって比較的容易に診断がつきます。

成人の陰嚢水腫は、睾丸が腫れたり、陰嚢が大きくなったりする「精巣腫瘍」や「精巣上体炎」など他の病気との鑑別が必要です。

小児であれば小児科、泌尿器科、成人であれば泌尿器科を受診しましょう。

交通性陰嚢水腫

乳幼児におこるものは先天的な理由によるものです。

睾丸は胎児の時に腎臓付近で形成されます。睾丸が陰嚢までの移動にともない、できた孔（内鼠径輪：ないそけいりん）や鼠径管が閉じないことでおこります。そこから腹水が流れ込んでおこります。

非交通性陰嚢水腫

陰嚢内（睾丸の周り）に水が溜まる病気です。小児の一部を除いて、多くの場合原因不明です。

子どもの陰嚢水腫は基本的に経過観察となります。
ほとんどの場合、成長とともに縮小し、1歳前後で消失します。
成長しても消失せずに水腫が大きくなる場合は手術が必要となります。
手術は全身麻酔をかけておこないます。鼠径部を横に2cm程度切り、そこから「腹膜鞘状突起」を切り離して縫合し、腹水の流入をとめる方法が一般的です。この手術自体は30分程度で完了します。鼠径ヘルニアでもおこなわれる方法です。

成人の陰嚢水腫手術は、陰嚢を切開して内容液を排出します。その後、不必要な水腫壁を切除し、残った水腫壁を縫合し、再び内容液が溜まらないようにします。

乳幼児の陰嚢水腫は多くは1歳前後で自然に治りますが、治らない場合は手術をしないと改善は難しいです。
手術をした場合は退院後3～4日で保育園や幼稚園への登園が可能となります。
運動や三輪車に乗るなどは2週間程度さけて安静にする必要があります。

2016年に4438人の男子に対しおこなわれた調査では、生後1カ月で1.3％、6ヵ月で5.7％、18カ月では4.5％に陰嚢水腫が確認されています。