にょうまくかんいざん尿膜管遺残
尿膜管遺残とは?
尿膜管遺残(にょうまくかんいざん)は生後に自然と閉じるはずの尿膜管という管が閉じないままの状態をいいます。
尿膜管は胎児のころにへそと膀胱をつないでいる管です。多くは出生時に尿膜管は閉じて紐状になります。尿膜管が閉じずに管のまま、あるいは袋状になって残ると尿膜管遺残となります。
尿膜管遺残であっても特に症状がでないことがありますが、尿膜管から起因する炎症がおきると腹痛やへそから膿が出る、へそ周辺が腫れるなどの症状があらわれます。
またごくまれに、遺残した尿膜により悪性腫瘍が発生することもあります。
尿膜管遺残の症状
尿膜管遺残による感染によって、臍(へそ)から膿がでる・臍(へそ)やその周囲が腫れることで発見されることが多く、尿が濁るなどの尿検査異常で発見されることもあります。
頻度は極めて少ないものの、尿膜管遺残から発生する悪性腫瘍(がん)があり、血尿などで見つかることがあります。
尿膜管遺残の診療科目・検査方法
尿膜管遺残の原因
尿膜管という組織は、胎生期(生まれる前)には臍(へそ)と膀胱を繋いでいる管で、臍(へそ)から先は母体とへその緒として繋がっています。
生まれてくると尿膜管が閉じて紐のようになる(正中臍索:せいちゅうさいさく)が、この尿膜管がうまく閉じず、一部残ったところが、管や袋状となり尿膜管遺残とよばれます。
①「臍」(へそ)と直結」②「臍(へそ)と膀胱の間」③「膀胱と直結した形」で存在し、一般的には①のタイプが臍(へそ)周囲の炎症として治療対象になることが多いです。
尿膜管遺残の予防・治療方法・治療期間
無症状であれば無治療経過観察、臍(へそ)周辺に炎症があれば、抗生物質の内服、内服治療でも収まらない場合には、臍(へそ)内を洗い、細い管を入れて膿を外に排出するような処置が必要です。
それでも炎症が落ち着かない時や、一旦治ったが再度同じような症状が認められる場合には、下腹部を切開して尿膜管と炎症部位を切除する方法が一般的です。最近はキズを小さくするために腹腔鏡での治療も行われています。
治療期間について、筆者の診療経験に基づく印象では、軽い炎症であれば1週間程度の抗生物質の内服で落ち着きます。
しかし、炎症部位に膿が溜まってしまう場合には排膿するための処置(通路を拡げたり、炎症の場所に細い管を入れたりする)が必要です。
そのため内服治療を含めて1~2週間程度かかることもあります。
それでも炎症が治らない、または断続的に炎症が起こってしまう場合には、尿膜管を切除する1~2時間の手術が必要となります。入院は約1週間程度が予想されます。
尿膜管遺残の治療経過(合併症・後遺症)
尿膜管遺残に炎症があるときは治療が必要になります。しかし、遺残のみでは無症状なので治療を行うことは稀です。
尿膜管遺残になりやすい年齢や性別
成人の約2%です。
尿膜管遺残の感染は年長児や成人に多い傾向にあります。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター
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