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てんとうてんかん点頭てんかん

うえすとしょうこうぐんウエスト症候群
更新日:2022/08/16 公開日:2019/01/31 view数:22,266

点頭てんかんとは?

点頭てんかんはちょうど座れるくらいになった赤ちゃんに多く確認されるてんかんです。
点頭とは「うなずく」という意味があり、てんかんの症状がうなずいているように見えるため、点頭てんかんと呼称されています。
原因は遺伝や胎児期に起因するもの、脳障害、原因不明のものがあります。

後遺症として知的障害があらわれる可能性もあり、点頭てんかんの症状が疑われる場合は早急に小児科にて診療を受けることが望ましいです。

この病気の別名として「ウエスト症候群」があります。
ただしウエスト症候群の定義は点頭発作にヒプスアリスミアという特徴的な脳波異常を伴うものとされています。


目次
  1. 点頭てんかんの症状
  2. 点頭てんかんの診療科目・検査方法
  3. 点頭てんかんの原因
  4. 点頭てんかんの予防・治療方法・治療期間
  5. 点頭てんかんの治療経過(合併症・後遺症)
  6. 点頭てんかんになりやすい年齢や性別

点頭てんかんの症状

点頭とはうなずく、前屈するなどの意味であり、ころぶこと(転倒)ではありません。
これは座位姿勢でみられるものです。
あおむけに寝ている場合などは、上下肢を屈曲して(時には伸展することもある)頭を上げるような動きをします。
ごく短いがよく観察すると0.5~2秒程度の強直となっています。
点頭発作(学術的にはてんかんスパスムという)とミオクロニー発作との違いはこの点です。
10秒から20秒ごとに繰り返してこの発作がみられることもあり、シリーズ形成と表現します。

点頭てんかんの診療科目・検査方法

受診後に脳波を検査すれば確定できます。
つまりヒプスアリスミアかそれに近い異常がみられれば点頭てんかんです。原因の検索には脳の画像(MRI)が有用であるが、原因を特定できない症例もあります。
その他には染色体検査や遺伝子検査なども必要なことがあります。

点頭発作らしき動きに気づけば、必ず小児科を受診するようにしましょう。動画を撮るとわかりやすくなります。
慣れた医師なら動画をみれば点頭発作か否かほぼ判別できます。
専門医としては小児神経専門医、てんかん学会臨床専門医がより詳しいです。

点頭てんかんの原因

遺伝子的背景を有するもの、胎生期(お母さんのおなかにいる時期)、周生期(お産の前後)、乳児期の脳障害をきたす疾患(外傷や中枢神経系感染症)、遺伝子的背景を疑いますが、その原因がはっきりしない潜因性などもあります。
比較的多いのは周生期における「脳内出血」「脳室周囲白質軟化症」「仮死」、遺伝子的背景をもち各種の臓器に異常をきたす「結節性硬化症複合」、さらにダウン症にも発症しやすいです。

点頭てんかんの予防・治療方法・治療期間

最初に用いられるのはビタミンB6やバルプロ酸、ゾニサミドなどの投薬治療です。
これらが無効であればACTH療法が採用されます。
ACTH療法は現在のところ最も有効な治療ですが、ステロイド治療に類似した副作用があります。
その他ビガバトリンやガンマグロブリン、その他の抗てんかん薬がACTH無効例や再発例に適用されます。

発作消失とともに脳波の正常化を目指す必要があります。
脳波異常が残存すると再発する可能性が高いです。
ACTH療法は4週間から8週間以内で終了するが、抗てんかん薬などは年余にわたって服用する必要があります。
発作残存は30~60%に及びます。
知的障害の後遺は80%前後、自閉症スペクトラム障害(※)の合併も20~30%にみられます。
発作残存例では点頭てんかんの再発(点頭発作-てんかんスパスム-は時に成人まで持続することもある)や他のてんかん発作が出現し、各種の抗てんかん薬に抵抗します。
点頭てんかん発症が知的障害や自閉症スペクトラム障害を後遺させるのか、もともとの脳障害がこれらの障害とともに点頭てんかんを発症させるのかは議論のあるところです。
周生期脳障害に基づく点頭てんかんでは脳性麻痺の合併も多くあります。
原因疾患が見いだせないいわゆる潜因性症例の発作や精神神経学的予後は比較的良好ではありますが、10歳代から成人になるまで注意深く観察すると軽度であっても知的障害や発達障害を有することが多いです。
筆者が勤務医時代から直接担当した30症例を越える点頭てんかんの中できわめて経過良好の方は、ACTH治療で発作消失、抗てんかん薬は服用せず、経過中に再出現した脳波異常も小児期に消失、有名大学に進学しました。
しかし現在も対人関係や共感性の課題を抱えておられます。

※自閉症スペクトラム障害は、アメリカ精神医学会が出版する『精神疾患の診断・統計マニュアル第5版(DSM-5)』による分類です。改訂前の『DSM-Ⅳ-TR』では、自閉症に関連する障害が「広汎性発達障害(PDD)」というカテゴリーに分類されていました。その上で、言語発達に遅れがなく、知的水準が境界から標準の範囲にあるPDDを「アスペルガー障害」、言語発達の遅れや知的水準の低下があるPDDを「自閉性障害」などと呼び分けていました。しかし、2013年出版の『DSM-5』ではこのような分類に明確な境界線を引かず、いくつかの特徴的な症状を有する病態全体を連続体として捉えなおす考え方が採用されています。それにあわせてPDDという用語は使用されなくなり、いわゆる自閉症をすべて「自閉症スペクトラム障害」という名称にしています。

点頭てんかんの治療経過(合併症・後遺症)

胎生期・周生期脳障害の存在が明らかな場合は、点頭発作やその他のてんかん発作の出現に注意が必要です。
点頭てんかんと診断されれば速やかに治療を始める必要があります。

点頭てんかんになりやすい年齢や性別

年間発症率は世界的には出生1000人中0.3~0.5人、したがって本邦においては毎年約300~500人が発症すると考えられます。
有病率は小児てんかんの中では1.4%~2.5%程度と見積られています。
執筆医が21年前にクリニックを開業してから、自院で脳波検査をして診断した患者は5人です。
通常の市民病院クラスの小児科では1~2年に1人くらいは受診するかもしれません。

乳児期後半に発症することが多いです。
「点頭」が意味する通り、お座りをする月齢に多いことがわかります。
男児にやや多いです。特殊な例では乳児期前半、あるいは1歳を越えて発症します。

参考文献:

臨床てんかん学(医学書院、2015年)
大塚頌子「てんかんの疫学」
小国弘量「West症候群」

Epilepsy; A comprehensive textbook (2nd edition)(Lippincott Williams & Wilkins, 2008)
Banerjee PN and Hauser WA: Incidence and Prevalence
Holmes GL et al.: Epileptic spasms

てんかん専門医ガイドブック(日本てんかん学会編集)(診断と治療社、2014)
概念・定義・有病率・発病率
年齢依存性てんかん性脳症-West症候群

脳と発達(第34巻、2002年)
岡山県における小児てんかんの実態-神経疫学的研究

Epileptic syndromes in infancy, childhood and adolescence (5th edition) (John Libbey Eurotext, 2012)
Fusco L et al: Infantile spasms

執筆・監修ドクター

大谷 和正
大谷 和正 医師 おおたにクリニック 院長 担当科目 内科/心療内科/脳神経内科/小児科/リハビリテーション科

経歴1977(昭和52)年大阪大学医学部卒業。
同大附属病院
小児科関連病院 第2薬理学
大阪府衛生部
国立療養所静岡東病院(現 国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター)小児科
府立母子保健総合医療センター(現 府立病院機構大阪母子医療センター)小児神経科を経て、1996年おおたにクリニック開設、現在に至る。

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