頭皮のかゆみを起こす7つの原因。対策方法は?皮膚科へ行くべき?
誰しも一度は頭皮のかゆみを感じたことがあるはずです。
頭皮のかゆみは、頭皮へのダメージや皮脂のつまり、乾燥などが原因で起こります。
この記事では、頭皮がかゆくなる7つの原因と自分でできる頭皮ケア、皮膚科へ行くべき症状について解説します。
頭皮がかゆくなる7つの原因!
1.整髪料による頭皮へのダメージ
髪の毛のカラーリングやパーマは頭皮にダメージを与え、炎症を引き起こすことがあります。
頭皮がもともと弱くダメージを受けやすい方はもちろん、日焼けや乾燥によりいつも以上に頭皮が敏感になっている時も、ダメージが大きくなります。
2.シャンプーやコンディショナーの洗い残し
日常的に使用しているシャンプーやコンディショナーも、洗い流しが不十分だと地肌が荒れてかゆみの原因となります。
シャンプーに含まれている「合成界面活性剤」は、地肌に残ると強い洗浄成分が頭皮を刺激してしまうことがあります。
3.皮脂のつまり
皮脂の過剰分泌によって毛穴が詰まることも、かゆみの原因となります。
毛穴が詰まると老廃物の排出が阻害されるため、皮脂が酸化して「過酸化脂質」という刺激物質がつくられます。
これが肌に刺激を与えて炎症を起こすと、かゆみにつながります。
マセラチア菌も原因のひとつ
皮脂が過剰に分泌されると、皮脂を好むマセラチア菌などの雑菌が増加します。
マセラチア菌には皮脂を分解する作用がありますが、このときに発生する「脂肪酸」は頭皮を炎症させることがあり、かゆみの原因となります。
4.頭皮の乾燥
頭皮が乾燥していると皮膚のバリア機能が低下するため、少しの刺激でかゆみが生じます。
乾燥の原因としては日焼けや、過度な洗髪で皮脂を落としすぎていることなどが考えられます。
またドライヤーも乾燥の原因となります。
5.シラミ
人から人に感染して寄生するシラミは、皮膚から吸血してかゆみや湿疹を引き起こします。
シラミは繁殖力が非常に強く、成虫も幼虫も吸血によって成長するため、早期発見が重要です。
6.白癬菌(はくせんきん)
白癬菌に感染すると「しらくも(頭の水虫)」となり、頭皮のかゆみやフケを引き起こします。
白癬菌はカビの一種で、湿った場所に繁殖しやすい特徴を持ちます。
7.アレルギー
かゆみや肌荒れが治ったり悪化したりを繰り返している場合、アレルギー反応によるかゆみだと考えられます。
アレルギーによる皮膚炎は、皮膚のバリア機能が常に低い状態なので乾燥しやすくなっています。
そのため細菌なども入りやすく、かゆみやフケの症状を引き起こします。
自分でできる頭皮のかゆみ対策は?
1.シャンプーをするときのポイント
シャンプーの前
シャンプーの前に、38度程度のぬるま湯で頭皮と髪の毛を洗います。熱いお湯は皮脂を落としすぎてしまうのでNGです。
シャンプーをするとき
シャンプーは指の腹でやさしくマッサージするようにして、しっかりとすすぎましょう。
コンディショナーをするとき
コンディショナーは毛穴を詰まらせるので頭皮にはつけず、毛先部分のみにつけます。
数分間なじませたら、すすぎをしっかりと行います。
ドライヤーを使うとき
全ての工程が終了したら必ずドライヤーで乾かしましょう。自然乾燥は雑菌が繁殖しやすくなるのでおすすめしません。
ドライヤーを使用する前にタオルドライをして、ある程度水分をとることが大切です。
乾かしすぎると乾燥してしまうので、完璧に乾かすのではなく8割程度を意識すると良いでしょう。
2.シャンプーを選ぶときの注意点
洗浄力が高すぎるシャンプーはNG
市販のシャンプーはいろいろな種類がありますが、中でも高級アルコールシャンプーは高い洗浄力を持つため、乾燥肌や敏感肌の人にはおすすめしません。
見分け方としては、成分表に「ラウリル硫酸ナトリウム」などの記載があるもので、一般的に使用されているシャンプーのほとんどがこれに当たります。
石鹸シャンプーは石鹸カスに注意
石鹸シャンプーはそれなりの洗浄力を持ち、頭皮への負担も少ないので肌が弱くても安心して使えます。
しかし洗い残しがあると石鹸カスが頭皮に残り、かゆみや炎症を引き起こす原因となるので注意が必要です。
アミノ酸系シャンプーがおすすめ
アミノ酸系のシャンプーは洗浄力が強すぎず、地肌にやさしいため敏感肌の方におすすめです。
こちらも成分表から見分けることができ、下記の成分が配合されているものがアミノ酸系シャンプーに当たります。
- ・ココイルメチルタウリンNa
- ・ココイルメチルアラニンNa
- ・ココイルグルタミン酸Na
- ・ラウロイルメチルタウリンNa
- ・ラウロイルメチルアラニンNa
- ・ラウラミノプロピオンNa
3.食生活の見直しを!
摂りすぎNGの食品
頭皮の荒れを防ぐには、地肌に刺激を与える次のような食品を摂りすぎないことが大切です。
- ・肉類
- ・味の濃いもの
- ・香辛料
- ・脂質
- ・アルコール
- ・菓子類
積極的に摂るべき食事
皮膚のターンオーバーを促すビタミンB₂やビタミンB₆は、積極的にとりたい栄養素です。それぞれ次の食材に多く含まれています。
- ・ビタミンB₂:レバー、ウナギ、ヨーグルト、納豆
- ・ビタミンB₆:さんま、まぐろ、さば、ごま、にんにく、豆乳
4.普段の生活で気をつけること
生活リズムを整える
かゆみや乾燥を抑えるには、生活リズムを一定に保つことが大切です。
不規則な生活は肌のターンオーバーを乱すため、規則正しい生活を意識しましょう。
マッサージをする
頭皮のマッサージで血行を促進するのも効果的です。
血行が良くなると新陳代謝もよくなるので、肌の内側に栄養が行き渡り頭皮の環境が改善されます。
保湿する
保湿成分のある化粧水やオイルなどを使用して、頭皮をケアすることも有効です。
髪を乾かしてから手指の腹に保湿液をつけ、髪の毛をかき分けて頭皮に塗っていきます。
乾燥対策になるので、かゆみを予防できるでしょう。
5.市販薬の選びかた
かゆみが治まらない場合は、抗炎症作用のある塗り薬を使用しましょう。
また、かゆみの原因となる「ヒスタミン」の発生を押さえる抗ヒスタミン系外用薬も効果的です。
これらはかゆみを抑えるだけでなく、保湿の効果もあるためおすすめです。
改善しない場合はステロイドを
それでも治まらない場合は、ステロイドが配合された塗り薬を使用します。
市販のステロイド薬は作用が穏やかなので、軽度の皮膚荒れに効くでしょう。
ただしステロイドは基本的に強い薬なので、自己判断による長期間の使用はおすすめしません。
皮膚科で行う頭皮の治療について
1.こんな症状がみられたら皮膚科へ!
単なる頭皮の荒れは自力で改善できますが、次のような症状がみられたら「脂漏性皮膚炎」の可能性があるので、早めに皮膚科を受診してください。
- ・皮膚が脂っぽい
- ・頭皮が赤くなっている
- ・触るとしっとりとした大きめのフケがある
脂漏性皮膚炎はマラセチア菌の増殖が原因で、放っておくと頭全体がフケだらけになる可能性があるので適切な治療を受けましょう。
水虫やシラミも皮膚科へ!
白癬菌やシラミの感染なども、早めに皮膚科を受診してください。
かゆみやフケが多かったり、髪が楕円形に抜けたりするのが目安です。
2.皮膚科ではどんな治療をするの?
顕微鏡で患者のフケを観察し、白癬菌やシラミへの感染がないか調べます。
その後、皮膚の状態に合わせて塗り薬やかゆみ止め、ビタミン剤などが処方されます。
場合によっては頭皮のスチームや温パック、点滴などを行うこともあります。
どのくらいの期間で治る?
症状や原因によっても異なりますが、これらの治療を1ヵ月ほど続けると改善がみられるでしょう。
まとめ
頭皮のかゆみはよくあることだと軽視されやすいですが、単なる皮膚の荒れではなく皮膚炎や細菌感染の可能性もあります。
頭皮にかゆみを感じたらケアしながら様子をみて、なかなか改善しないようなら皮膚科で適切な治療を受けましょう。
執筆・監修ドクター
経歴2007年 山梨大学医学部卒業
国際医療センター国府台病院で初期研修の後、日本医科大学麻酔科学講座に入局
2011年 皮膚科、美容皮膚科に転科
現在はGINZA Zen 禅クリニック院長に至る
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