皮膚科で受ける手荒れ治療とは?受診のメリットや病気の可能性について
手荒れのおもな症状は、手や指先の乾燥、赤み、かゆみなどです。進行すると、皮膚がめくれたり、亀裂や水膨れができたりすることもあります。
さらにひどいと指紋が消えてしまうこともあり、悪化する前に適切な対処が必要です。
この記事では手荒れの症状や治療方法、受診のメリットなどを解説していきます。
皮膚科で行う手荒れの治療について
1.感染やアレルギーの検査を行う
手荒れの症状がみられたら、まずは皮膚科で検査を受けましょう。
具体的な検査方法は、皮膚の一部を削り取ったり、病変部にスライドグラスを押しつけたりして、皮膚表面の分泌物や細胞などを採取します。
その後、真菌感染やアレルギー細胞などの有無を確認するため顕微鏡で検査を行います。また物に触れたことでかぶれが起きている場合は、パッチテストを行うこともあります。
2.手荒れの治療法は?
主な治療法は薬物治療となります。
基本は塗り薬による治療
ステロイド外用薬で炎症を抑えながら、ワセリンなどの保湿剤も併用していくことが多いです。
飲み薬や紫外線治療を行うことも
重症期の手荒れなら飲み薬や紫外線治療も併用すると効果的です。紫外線治療は週に1~2回の照射を2ヵ月ほど続けることで、効果が期待できます 。
保険適用で受けられることがほとんどです。
テープ剤を使用する
手荒れによる亀裂やひび割れには、ステロイドのテープ剤を使用することもあります。傷口にテープを貼ることで、患部を保護して痛みを軽減します。
皮膚科で治療するメリット
ハンドクリームや市販薬で対応するから、皮膚科へ行かなくても…と思うかたもいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらでは、皮膚科を受診するメリットを紹介します。
1.適切な薬を処方してもらえる
皮膚科では、その人の症状に最適な外用薬や内用薬を処方してもらえるメリットがあります。
2.保険診療が可能
手荒れは多くの場合保険診療が適応されるので、費用を抑えられるのもメリットでしょう。
また市販薬の効果が不十分だった場合、結果的に費用がかさむリスクもあります。
このことも考慮すると、保険診療で素早く適切な治療を行う方が効率的です。
3.長引いたり悪化したりするのを防ぐ
様子を見ながら自己判断で対処すると、治るまでに時間がかかったり重症化したりする恐れもあります。
しかし皮膚科ではその人の症状に合わせた適切な治療が行われるので、自分で対処するよりも高い効果が期待できます。
皮膚科を受診することで、手荒れの症状が長引いたり悪化したりすることを防げる可能性が高くなるでしょう。
4.皮膚病の有無を確認できる
ただの手荒れだと思っていたら実は皮膚病であった、というケースもあります。
自分では見分けがつかない可能性がありますが、皮膚科では的確な判断が得られるメリットがあります。
手荒れの原因は?
1.皮膚のバリア機能の低下
手荒れの原因はいくつかありますが、基本的には乾燥により皮膚のバリア機能が低下することで起こります。
このバリア機能を低下させる要因はその人の体質や生活習慣によって異なるので、それぞれ説明していきます。
水仕事や手を使う作業
水仕事でお湯や洗剤を使用する方、パソコンや紙などに触れる機会が多い方は皮脂が過剰に取れてしまうことで、乾燥して手荒れを起こしやすくなります。
敏感肌体質
敏感肌の方、アトピー性皮膚炎がある人はもともと皮膚のバリア機能が弱いため、同じ作業をしても他の人より手が荒れやすい傾向があります。
スキンケア不足
水は乾燥を誘発させるものですが、生活する上で水に触れない方はいません。
そのため日々のスキンケアが大切ですが、これを怠ると手が荒れやすくなります。
2.皮膚病の可能性も
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手荒れとよく似た皮膚疾患のひとつに『掌蹠膿疱症』というものがあります。
初期症状として小さな水ぶくれができるため手荒れと混同しやすいですが、やがて角質層が剥がれ落ち、水ぶくれに膿がたまって膿疱に変わります。
その後かさぶたとなっていくので、手荒れと見分けるには症状の変化に着目する必要があります。
水虫
手や手指に水虫が発症することで、手荒れのような症状が出ている場合もあります。
角質層がカサカサするので手荒れと間違われやすいですが、これは『白癬菌(はくせんきん)』による感染症なのでかゆみはありません。
足の水虫に触れることで感染するケースが多く、特に利き手に症状が出やすいです。
手荒れが起きた時の対処法&注意点
お湯の使用は控える
できるだけ手を乾燥させず外的刺激を与えないことが大切です。
お湯は皮脂を落とす効果があるため、乾燥を誘発して皮膚のバリア機能を低下させます。
水仕事をする時はお湯よりも水の方が好ましいでしょう。
水作業をする時は手袋を!
洗顔やシャンプー、水仕事などを行う時もできるだけ手袋を使用しましょう。
特に食器用洗剤は油分を取り除くことが目的なので、悪化の原因となります。
ちなみにゴム手袋はアレルギーによりかぶれる場合もあるので、不安な方にはプラスチック手袋などがおすすめです。
絆創膏は使用しない
亀裂やひび割れができてしまった場合、絆創膏を貼ると蒸れて逆に悪化することもあります 。
そのため処方されたテープ剤などを使用するか、あかぎれ用の絆創膏などを使用しましょう。
適切なハンドクリームを選ぶ
角質が固くなってガサガサになっている人は、角質を柔らかくする作用がある尿素系のハンドクリームがおすすめです。
しかし尿素は刺激が強いので、乾燥により皮膚が薄くなっている方、亀裂やひび割れがある方にはおすすめしません。
このタイプの方は、セラミドなどが配合された保湿効果のあるハンドクリームを選びましょう。
皮膚科で適切な治療を
皮膚科でもらった処方薬は、指示通りの方法で使用してください。
塗る量や回数が不十分であったり塗り忘れたりすると、期待通りの効果が出ない可能性もあるため注意が必要です。
また、通院間隔が空きすぎるとその時々に合わせた適切な治療ができません。前回の受診日から日数が経っている場合は、再度受診して経過をみてもらいましょう。
まとめ
手や指先は外的刺激の受けやすい場所です。
手荒れは多くの人が経験していることだからと軽視されがちですが、自己判断による処置は完治を遅らせる可能性もあります。
また、実は手荒れではなく皮膚病だったというケースもあります。手荒れがみられたら早めに皮膚科を受診して、症状に合わせた適切な治療を行いましょう。
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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