『しもやけ』の原因は蒸れや血行の悪化!先の細い靴は避けて予防を
冬になると、手足の指先など外の冷気にふれるところや、血行の悪くなりやすいところにできる『しもやけ』。
しかし、同じような環境にいても、しもやけになりやすい人となりくい人がいます。
医学的には『凍瘡(とうそう)』ともよばれ、気温が4~5℃、一日の気温差が10℃以上になると、起こしやすくなるといわれています。
この記事では、『しもやけの原因』についてご紹介します。
しもやけについて
1.しもやけってどんな症状のこと?
赤くなり、かゆみがおこるのが特徴
しもやけになると、手足の指先・耳の皮膚・鼻の先などが、赤く腫れあがります。
かゆみが起こりやすいのも特徴で、入浴などで血行がよくなるとさらにかゆみが強くなります。
ひどくなると水ぶくれを起こすこともあるでしょう。
しもやけには2種類ある!
患部が全体に紫がかった赤色になって腫れあがる『樽柿型(たるがきがた)』と、輪のように円い形に赤くなる『多形滲出性紅斑型(たけいしんしゅつせいこうはんがた)』があります。
2.ひびや赤切れとのちがいは?
ひびや赤切れは乾燥によってできるもの
冬になると、気温が下がることによって、皮脂や汗の分泌が低下します。それにより、皮膚の表面の水分が失われて乾燥することによってひびやあかぎれが生じます。
これに対して、しもやけは「冷たい外気にあたること」や、「温度差があること」で、血液の循環が悪くなってできるものです。そのため、しもやけは水仕事や乾燥が直接的な原因ではありません。
ひびや赤切れのおもな症状
ひびは、皮膚の表面が乾燥して亀裂ができ、水仕事をしていると痛みを感じます。
あかぎれは、ひびよりも亀裂が深く、赤く腫れあがります。出血がみられることもあるため、何もしていなくても痛みをともないます。
しもやけのおもな症状
しもやけは、寒くなって血行が悪くなることによって、赤く腫れたり、むずがゆく感じます。
むずがゆさから、ひびや赤切れ以外にも、足にできたしもやけを水虫とまちがえることもあるでしょう。しもやけは、ひびやあかぎれのように、亀裂や出血を生じることは基本的にありません。
しもやけになる原因は?なりやすい人っているの?
1.しもやけの原因
寒さや寒暖差で血行が悪くなる
しもやけの一番の原因は、冷たい外気にあたることです。
そのため、手足の指先・耳たぶ・鼻の先など、冷気が当たりやすい場所にできやすくなります。
とくに、気温が3~5℃くらいで、昼夜の気温差が10℃以上のときにできやすくなります。
これは、「体が冷えて血行が悪くなること」と、「温度差に体温調節がついていけないこと」が考えられます。
手足が汗などで濡れたままの状態になっている
寒い状態にもかかわらず手足が汗などで濡れていると、しもやけにかかりやすくなります。
これは、湿気が乾くときに手足の気温が急に下がるためです。
靴を履いたきによる蒸れ
足の指やかかとなど、靴を履いたときに蒸れやすいところにできやすくなります。
冷気にさらされたとき、静脈と動脈は収縮します。しかし、そのあとに動脈は静脈よりも早く拡張します。
そのため、動脈が拡張しているときに、静脈は収縮しているという状態が起こります。
このときに、滲出液(しんしゅつえき)や炎症を起こす原因となる物質がもれて、炎症や浮腫(むくみ)が起こります。
冬から春にかけて季節が移る時期に症状が出る場合
冬だけでなく、冬から春にかけて季節が移る時期にしもやけができることがあります。
この時期は、気温も比較的低く、一日のうちに何度も温度差があることによって毛細血管にダメージが起こるためです。
2.『しもやけ』になりやすいのはどんな人?
子どもはしもやけになりやすい
子どもは、体温を調整する機能が未発達です。
そのため、手を洗った後に拭かずに冷たい空気に触れたり、外で遊びに夢中になったりしてしもやけになることも多いでしょう。
指全体が赤紫色に腫れ、ひどいとゴムのように硬くなってしまうこともあります。
しもやけは高齢者にも多い?
高齢者は、「代謝が落ちていること」「加齢によりって、血液の循環が鈍くなっている」ため、しもやけになりやすいとされています。そのため、治りにくく、重症化もしやすいです。
冷え症の人
冷え症の人は、血行や代謝が悪いため、しもやけになりやすいとされています。手足の先を冷やさないように、血液の循環をよくすることが大切です。
汗かき(多汗症)の人
原因にもあるように、冷気に触れる部分が汗で湿っていたり蒸れていたりすると、しもやけができやすい、とされています。
遺伝によってしもやけになりやすい人
冷気にあたってから、血流が悪くなる度合いと血流が回復するまでの時間に遺伝的な差があるとされています。
そのため、家族にしもやけになりやすい人がいれば注意が必要です。
しもやけ以外の病気の可能性も!
1.しもやけではない場合もある?
しもやけだと思っていても、じつは『凍傷』や『クリオグロブリン血症』にかかっていることがあります。
また、紫斑、関節痛や手足のしびれ、感覚の鈍さなどがある場合は要注意です。
これらの症状だけでなく、なかなか治らない、悪化しているなど、判断が難しいときは必ず『皮膚科』を受診しましょう。
2.『凍傷』について
凍傷とは、皮膚組織が凍ってしまう状態のことです。マイナス12度以下の状況の場合、凍傷になる可能性が高いといわれています。一度凍ってしまうと壊死(えし)してしまい、その部分は切断しなければならなくなります。
しもやけでも、血液の循環がかなり悪化した場合、壊死する可能性がないとはいえませんが、凍傷とはまた別ものです。
3.『クリオグロブリン血症』について
クリオグロブリン血症は、体温が低くなることで血液がかたまる病気です。皮膚にあざのような斑点が見られたり、筋力が低下したりするのが特徴です。
温度が低くなる時期に発症しやすいことが似ている点ですが、これもしもやけとは別の病気です。
しもやけは予防が大切!
1.防寒具を上手に活用!
寒い時期の外出は、手袋や厚手の靴下、耳あてを使用するなどして、手足の先を冷やさないようにして外出するようにしましょう。
2. 汗や水気をしっかりふき取る
しもやけの原因の一つは、蒸れや湿気です。冬でも汗をかいたときは、しっかりふき取りましょう。
冬は厚着をしているため、暖房で温められた室内は思っている以上に汗をかきやすいです。
3. 手足の血行をよくすること
しもやけは血行が悪くなることによって起こります。そのため、手足の血行をよくすることが大切です。
夜寝る前やお風呂あがりに、指先をしっかりもみほぐすと冷えの防止につながります。
暖房がいらなくなる季節まで、保湿クリームを塗ってしっかりマッサージを続けましょう。
4.つま先を圧迫する靴はしもやけになりやすい
冬の時期は、つま先を圧迫する靴を履くことでさらに血行が悪くなります。
とくに女性の場合、ハイヒールなどつま先がきつい靴は避けましょう。
まとめ
しもやけは、予防が大切です。
手の指先や足のつま先は、冷えると血流が悪くなるため、しもやけになりやすいところです。寒い時期は、直接外気があたらないよう、手袋や厚手の靴下を履いて温めましょう。
お風呂上りや夜寝る前に、手足の指をほぐすようにしっかりマッサージをすると冷え防止になります。
一日のうちに何度も温度差があるとしもやけができやすくなるため、マッサージは暖房がいらなくなるまで続けましょう。
執筆・監修ドクター
経歴北里大学医学部卒業
横浜市立大学臨床研修医を経て、横浜市立大学形成外科入局
横浜市立大学病院 形成外科、藤沢湘南台病院 形成外科
横浜市立大学附属市民総合医療センター 形成外科
を経て横浜栄共済病院 形成外科
2014年 KO CLINICに勤務
2021年 ルサンククリニック銀座院 院長 就任
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