いつもと違う目やにが…コンタクトのせい?原因と病気の可能性について

目やにが出てくるのは、ふつうに生活していれば自然なことで、少しであれば気にはならないでしょう。
しかし、「いつもと色や量が違う」と感じた場合や、コンタクトの使用がつらい場合は要注意です!
この記事では、そんなときに役立つ『目やに』の対処法や、原因などをご紹介します。
目やにとは?種類や病気の可能性について
1.目やにって?
『目やに』とは、目の表面にたまったかたまりのことで、医学的には、『眼脂(がんし)』といいます。
目やにの色には黄色や白、緑色などいろいろな色があります。
「悪いもの」と考えられがちな目やにですが、病気でなくても出る目やにと、病気が原因の目やにとがあります。
2.目やには病気でなくても出る!
目やには、目が生まれ変わるときの「あか」
目に何も病気がなくても目やにが出てくることはあります。
目も、身体のほかの部分と同じように代謝をして、黒目も白目も毎日生まれ変わっています。
そのときに、『あか』として出るのが目やにです。
朝起きたときに目やにが出やすい理由
寝ているときはまばたきをしないため、目やには鼻から口へと流れられずに目にたまります。
そのため、朝起きてすぐは目やにが出やすいのです。
本来目から鼻、口へと流れているもの
本来、目やにはまばたきをしたときに、目の表面から鼻を通って口の方へと流れていきます。
泣いたときに鼻水が出たり、口の中にしょっぱいものが流れたりしてくるのはそのためです。
3.病気ではない目やにとは
見た目や量の特徴は?
見た目の特徴としては、量が少なく、白かすこし黄みがかった色合いです。
とくに朝起きてすぐに出ることが多いでしょう。
コンタクトの使用で目やにが増えることも!
コンタクトの使用によって、目やにが出やすくなることがあります。
理由としては、「装着時間が長い」「コンタクトに傷がある」「装着する時の手が汚れていた」などが考えられます。
4.病気によって出る目やにって?
もしかして結膜炎かも?
「悪い目やに」は病気によって出てくる目やにです。
とくに多いのが結膜炎で、目の表面の白目の部分(結膜)に炎症が起きる病気です。
炎症を起こす理由としては以下の3つが考えられます
・細菌感染によるもの
『インフルエンザ菌』『肺炎球菌』『ブドウ球菌』など。
・ウイルスによるもの
アデノウイルスが原因の『咽頭結膜熱』や『流行性角結膜炎(はやり目)』、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスが原因の『急性出血性結膜炎(アポロ病)』など。
・アレルギーによるもの
家の中にいるダニやほこり、カビ、ペットの毛など、ハウスダストなど。
病気による目やにの色や量
悪い目やには、べったりとしていて量が多く、色は黄色や緑色です。
このような目やにが出ている場合は眼科を受診しましょう。
目やにを引き起こす病気について
1.『アレルギー性結膜炎』による目やに
もっとも多いのは『花粉症』によるもの
有名な『アレルギー性結膜炎』のなかで、もっとも多いのが花粉によるものだといわれています。
花粉・ダニ・ハウスダストなどのアレルギー物質が目に入ったときに、アレルギーを起こす人もいます。
花粉症による結膜炎について
花粉症の場合、目やにの量は、細菌やウイルスに比べると少なめで、色は白に近いことが多いです。
花粉は細菌やウイルスなどのように悪いものではありません。
しかし、目に入ったときに細菌だと勘違いをした場合に強い抵抗を起こします。目が充血して、涙や目やにが出るのはそのためです。
コンタクトは『アレルギー性結膜炎』を起こしやすい?
コンタクトは、花粉などのアレルギー物質が付着しやすいだけでなく、付着したままの状態が続いてしまいます。
アレルギーが強い人は、違和感が生じた時点でコンタクトの使用を中止しましょう。
アレルギーのある人は、どんなコンタクトがいい?
長期間のコンタクトレンズよりも、使い捨てのタイプがおすすめです。
ひどい場合は、1日ごとに使い捨てるタイプに切り替えたほうがよいでしょう。
2.ウイルス性の『流行性角結膜炎』による目やに
流行性結膜炎は、目から目にうつる風邪
『流行性結膜炎』にかかっている人が目やにをさわった手で、ドアノブ・机・コップなどをさわると、その場所にウイルスが付着します。
その場所をまたほかの人がさわって、そのままの手で目に触れてしまうとウイルスに感染してしまいます。
手が目に触れてしまう前に、すぐ手を洗うことが予防になります。
感染力はかなりの強さ
感染力が強く、拡大しやすいため、学校閉鎖・学級閉鎖や、病棟閉鎖・病院閉鎖になるほどの病気です。
お子さまにうつしてしまい、お子さまが保育園・幼稚園や学校に行けなくなるというケースも多いです。
3.そのほかの細菌やウイルスによる目やに
『鼻涙管閉塞』による細菌感染
涙が流れる道「涙道」は、生まれたときにすでにできているものです。しかし、『鼻涙管閉塞』といって、生まれたときに涙道が閉じたままになっていることがあります。
その場合は、涙が鼻に流れずに目に溜まってしまうため、細菌に感染しやすく目やにが出ることがあります。人にうつしてしまう可能性もあるので注意しましょう。
成長にともない涙道ができる場合も多いですが、できない場合は処置や手術が必要です。
性病に感染している可能性も!
ブドウ球菌など一般的な細菌が入ることもあるほか、性病による『クラミジア』『淋病(りんびょう)』なども目やにの原因になります。
性器に異常があれば泌尿器科での検査を
目やにのほかに、性器にも異常がある場合は、眼科だけでなく泌尿器科でも検査を受けましょう。
性的行為のあとに、汚れた手でコンタクトをさわったり、目をこすったりすると感染するおそれがあります。
目やにが出るときのコンタクトの使用と予防法
1.目やにがひどければ、コンタクトの使用を控える
目やにがひどい場合は、まずコンタクトの使用を休みましょう。
たまたま目やにが増えていただけの場合は、コンタクトを休むだけで回復することもあります。
コンタクトの使用を休んでも、「目やにがひどい」「痛み」「視野のかすみ」がある場合は、すぐに眼科にかかりましょう。
2.目やにが出ていたときのコンタクトはまた使える?
目やにが出ていたときのコンタクトには、花粉・ウイルス・細菌が残っている可能性があるため、再度使わないほうがよいでしょう。
2週間タイプのものを数回しか使っていなくても、再度の使用はおすすめできません。
使い捨てでない長期型のコンタクトの場合は、眼科で医師に確認してから使いましょう。
3.コンタクトで目やにが出ないための予防法
こまめに手洗いをする
菌がついた手でコンタクトをさわると、目やにの原因になってしまいます。コンタクトはつけるときも外すときも手を洗うのが基本です。
コンタクトに触れるときは清潔な手で!
コンタクトを使っていると、コンタクトがゴロゴロしているときや外すときに、ついつい手を洗わないまま目をさわってしまいます。
しかし、ウイルスの感染を防ぐためにも、手を洗ってからコンタクトをさわるようにしましょう。
コンタクトの使用時間を少なくする
長時間コンタクトを使っていれば菌が入るリスクも高まり、アレルギーも起こりやすくなります。そのため、使用時間を少なくすれば目やにが出にくくなるでしょう。
アレルギー体質の人は花粉に注意!
花粉の時期にコンタクトをつけていると、花粉が目にびっしりとついてしまいます。
花粉の時期は、「花粉予防用のメガネ」をすると、花粉が目に入るのを防げるでしょう。
定期的な診察で適切なコンタクトを
定期的に診察を受けて、目の状態に合ったコンタクトを使用することが大切です。
とくにアレルギーがある場合は、治療も含めアレルギーを起こしにくいコンタクトを選ぶ必要があります。
まとめ
目やにがひどい場合は、『アレルギー性結膜炎』のほかにも、さまざまな原因が考えられます。
目やにの色や量がいつもと違う場合や、きれいに目やにをとっても目がべたべたする場合は、すぐに眼科を受診しましょう。
コンタクトを使用していて目やにが出る場合は、適切なケアと対処をしていきましょう。
執筆・監修ドクター

経歴昭和大学医学部卒業、医学博士。
昭和大学東病院助教、三友堂病院眼科科長、彩の国東大宮メディカルセンター眼科科長
をへて二本松眼科病院に勤務。
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