充血が治らない原因。目の病気による炎症やコンタクトが合っていないことも

『目の充血』は、人に言われて気づくことも多いですよね。
充血とは、白目部分(結膜)の血管が拡張して炎症を起こしている状態です。
原因としては、「外部からの刺激」「病気による炎症」「目の使いすぎによる疲れ」の3つが考えられます。この記事では、『目の充血』が治らない原因について解説します。
目の充血が治らないのはなぜ?
目が充血するおもな原因は、外部からの刺激・病気による炎症・目の使いすぎによる疲れです。
そこにいたるさらに具体的な原因としては、以下のようなことが考えられます。
1.まばたきの回数が減っている
日常生活で、パソコンやテレビなどのモニター画面を長く見続けていると、目の筋肉が疲れて無意識にまばたきの回数が減ります。
まばたきは涙の分泌をうながして角膜の表面を潤す働きがありますが、まばたきの回数が減ると涙の分泌も減ってしまいます。
すると、涙が蒸発して目が乾きやすくなったり目の筋肉が疲れたりして、充血を起こします。
2.コンタクトレンズや眼鏡が目に合っていない…?
合わないコンタクトレンズや眼鏡を使用すると、まばたきをする際に負担がかかります。そうすると、目の血管が膨張して充血してしまいます。
3.飲酒も充血のもと!
アルコールには、血管を太くして血流量を増やす作用があります。そのため、お酒を飲むと目の血管が広がり、充血を起こすことがあるのです。
4.ウイルスや細菌、アレルギーが原因かも!
感染性結膜炎の原因であるアデノウイルス・インフルエンザ菌・肺炎球菌・黄色ブドウ球菌ウイルスや細菌に感染した場合は充血を起こすことがあります。
また、花粉・ダニ・ハウスダストなどがアレルゲンとなり、アレルギー反応によって充血を起こすこともあります。
もっとも多いのは、『結膜炎』による充血
結膜炎は、強い感染力を持っているものもあるため、早めに適切な治療を受けるようにしましょう。
1.『感染性結膜炎』
感染性結膜炎には、『細菌性結膜炎』と『ウイルス性結膜炎』の2種類があります。
『細菌性結膜炎』
感染性結膜炎のおもな原因菌は、インフルエンザ菌・肺炎球菌・黄色ブドウ球菌などです。
目にケガをしたときや病気などで身体の抵抗力が落ちたときなどに、子どもがかかりやすいです。
『ウイルス性結膜炎』(別名:はやり目)
「アデノウイルス」などのウイルスによる結膜炎で、「はやり目」や「プール熱」もアデノウイルスによる感染性結膜炎です。
アデノウイルスは感染力が強く、人から人へと感染するため、注意が必要です。
2. 『アレルギー性結膜炎』
花粉やハウスダストなど、アレルギー反応が原因である『アレルギー性結膜炎』の可能性もあります。
毛様体筋による充血の可能性も
「毛様体筋」による充血の場合は、結膜充血とはちがった症状が出ます。結膜充血に比べて発症は少ないですが、原因となる病気は治りにくい傾向にあります。
下記で解説する、『強膜炎』や『ぶどう膜炎』の場合は、内科での診断も必要になります。そのため、早めに病院を受診することが大切です。
【目の構造】
1.『角膜炎』
「角膜」といって、黒目の表面の透明な膜に炎症が起きることによって充血します。
コンタクトレンズなどによる外傷や、涙の分泌量が少なくなり乾燥を感じる「ドライアイ」によって起こります。そのほか、細菌感染やウイルス感染などが原因で、炎症が起こることもあるでしょう。
2.『強膜炎』
「強膜」といって、眼球の外側の壁にあたる部分に炎症を起きることによって充血します。
「リウマチ」や「結核」によるアレルギーで起こることが多いといわれますが、原因がわからないこともあります。
3.『ぶどう膜炎』
ぶどう膜は3つの組織がまとまってできている!
「ぶどう膜」は、茶目にあたる「虹彩」・茶目の裏側にある「毛様体」・強膜の内側にある「脈絡膜」のことです。
この3つはともに連絡しあっているため、どこかひとつに炎症が起こればほかの部分にも広がっていきます。そのため、まとめて『ぶどう膜炎』とよばれています。
ぶどう膜炎の原因は?
原因は、リウマチ・糖尿病・梅毒・結核・サルコイドーシス(肉芽種という結節が全身にできる原因不明の全身性疾患で難病に指定されているもの)、ベーチェット病(皮膚症状や外陰部潰瘍、眼などに症状が出る難病指定の全身性炎症疾患)などさまざまです。
結膜炎とはちがう症状って?
『虹彩炎』や『毛様体炎』は、「充血」「涙が出る」「まぶしいな」などの症状や、「視力障害」があげられます。
『網脈絡膜炎』では「視力障害」のほか、硝子体が濁ってしまう硝子体混濁(しょうしたいこんだく)による『飛蚊症(ひぶんしょう)』などがあります。飛蚊症とは、視力の低下や視界に虫が飛んでいるように見える症状が出る病気です。
充血を治すために!対処法について
1.日常生活で気をつけられること
目を乾燥させないことが大切です。目が充血しやすい方は、以下のことに気をつけましょう。
・パソコンやテレビなどの画面を長い時間続けて見ないようにする
・部屋の空気が乾燥していれば加湿する
・目が疲れたら休息をとる
・コンタクトレンズの装着時間をなるべく減らし、帰宅したらメガネに変える
・角膜や粘膜を健康に保つ働きのある「ビタミンA」を積極的に摂る
(レバー・うなぎ・かぼちゃ・にんじんなどがオススメです)
2.眼科ではどんな治療をおこなう?
眼科では、症状の確認や目の状態の検査をおこない、適切な目薬が処方されます。
充血といっても種類はさまざまであるため、自分で判断することは困難です。「充血だけだから大丈夫」と安心せず、早めに眼科を受診して適切な診断を受けましょう。
早めに診察を受けることは、周りの人への感染予防にもつながります。
3.市販の目薬の選びかた
結膜の充血を起こしている場合
市販の目薬を使用しても良いです。
ドライアイや疲れ目による充血の場合
乾燥をやわらげる涙に近いタイプの「人工涙液型」の目薬、ビタミン配合のドライアイ用の目薬を選択するとよいでしょう。目を休めることで自然に治まる場合もあります。
『アレルギー性結膜炎』の場合
クロルフェニラミンマレイン酸塩・クロモグリク酸ナトリウム・トラニラストなど、かゆみを抑える成分が配合されているものを選びましょう。
『細菌性結膜炎』の場合
細菌の増殖を抑える作用のある目薬を選びましょう。
病気が原因による充血の場合
見た目は充血が治まっていても、治癒していない場合があります。市販薬の目薬は、一時的なものと考え、眼科を受診するようにしましょう。
まとめ
充血が治らない場合、まずは眼科へ!
充血が治らない場合は、さまざまな原因が考えられます。
ただの充血だと軽く考えずに、眼科を受診し、ゆっくり休息をとるようにしましょう。感染による充血であれば、はやめに受診することで周りへの感染を防ぐことができます。
目薬が合っていないと症状が悪化することも!
充血がなかなか治らない場合は、目薬が合っていないのかもしれません。
合わない目薬を使い続けると、病気の症状が悪化することもあります。市販の目薬が合わない場合、すみやかに病院を受診しましょう。
執筆・監修ドクター

経歴1997年 慶應義塾大学医学部卒業
1997年 慶應義塾大学医学部眼科学教室 入局
2001年 慶應義塾大学附属伊勢慶應病院眼科 部長
2002年 慶應義塾大学病院眼科 助教
2004年 順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院眼科 助教
2007年 JCHO埼玉メディカルセンター眼科 部長
2008年 医学博士号取得
2014年 中島眼科 開設
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