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分離不安障害とは
分離不安障害(ぶんりふあんしょうがい)とは、母親や家など、愛着をもつものから離れることに対して、持続的に強い不安を生じる状態のことです。
必ずしも治療が必要な病気ではなく、正常な発達段階の一つです。基本的には、生後10カ月~1歳半にもっとも強くなり、2歳以降になると、学習能力も発達してくることで、症状も落ち着いてきます。
成長するにつれて、乗り越えていくことがほとんどですが、まれに、思春期以降でもおこる場合があります。
分離不安障害の症状
分離不安障害は、家族などが自分から去ったり、愛着をもっている家から離れたりしたときに、強い不安を感じます。
基本的には、小児期(特に幼児期)におこります。多くの場合、去ってしまうことが不安になる相手は、母親です。ただし、父親や、そのほかの保育者であることもあります。
一般的に、去っていった相手も、多くはまた戻ってくると学習することで、不安を感じることが減っていきます。しかし、分離不安障害の場合は、この不安がとても強烈で、泣き崩れ、家族などが立ち去ることを必死になって引き止めます。
また、一人でどこかへ行くことは不安なため、一人で学校へ行ったり、友人宅へ遊びに行ったりすることを拒否します。一人で寝ることもできません。
分離不安障害の診療科目・検査方法
分離不安障害の原因
分離不安障害は、家族や友人、ペットなどの死、転居、両親の離婚、転校といった生活上のストレスが引き金になって発症することがあります。
また、遺伝的に不安を感じやすい人は、自分の子どもに分離不安障害が遺伝することもあります。
分離不安障害の予防・治療方法・治療期間
分離不安障害の治療には、行動療法がおこなわれます。親や保育者との別れの時間をなるべく短くするようにし、子どもの訴えには感情的にならず対応するようにします。
医師や親、教職員などがサポートしあうことが重要です。
また、子ども自身や家族に対して、精神療法が有効な場合もあります。症状が重い場合は、抗うつ薬などを投与する薬物療法も不安を軽減する助けとなることがあります。
分離不安障害の治療経過(合併症・後遺症)
分離不安障害は、休日明けや、長期休暇明けに不安があらわれやすいので、休日でも、親と子どもがある程度、離れている時間を設けることが重要となります。
分離不安障害になりやすい年齢や性別
分離不安障害は、子どもに発症しやすい病気です。アメリカでは、子どもの4%、成人の1%前後にみられるといわれています。
子どもでは、発症しやすさに性別による違いはありません。成人では、女性の方が多いといわれています。
執筆・監修ドクター
経歴昭和61年3月 青山学院大学文学部教育学科心理学専修コース卒業
平成6年3月 東邦大学医学部卒業
平成6年4月 東京女子医大病院で臨床研修を終え、
東京女子医大精神神経科入局
平成8年7月 武蔵野赤十字病院心療内科勤務
平成11年10月 しのだの森ホスピタル入職
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