せきちゅうそくわんしょう脊柱側弯症
脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)とは、脊柱(せきちゅう)がねじれて曲がる病気です。「脊柱」を略して、「側弯症」と呼ばれることも多くあります。
脊柱とは、背骨のことで、中が空洞になっていて、神経などが通っています。背骨を構成する骨の一つひとつを脊椎(せきつい)と呼びます。
脊柱側弯症では、脊椎の曲がりやゆがみによって姿勢が悪い、歩行しにくい、身体のバランスが悪いといった状態になります。その影響で、胸郭や肋骨の変形がおこると、肺や心臓のはたらきにも影響があり、呼吸が浅くなったり息切れをしやすくなったりします。また、腰痛の原因にもなります。
成長期に進行することが多いため、容姿にコンプレックスを抱くようになるなど、精神的にも悪影響を与える恐れがあります。
治療は専用の装具を装着し進行を抑えます。角度が大きい場合は手術をすることもあります。
脊柱側弯症の症状
脊椎がねじれながら左右に曲がります。その結果、左右の肩や肩甲骨の高さ、腰のくびれ、肩甲骨のでっぱりが非対称になることがあります。それらは容姿に影響するため、容姿に対してコンプレックスを抱くようになる恐れがあります。
曲がる角度が大きくなることで、胸郭や肋骨の変形を引きおこし、肺や心臓など臓器のはたらきに悪影響を与え、腰背部に痛みを引きおこすこともあります。ほかにも、体幹バランスが悪くなる、骨盤が傾くといった症状があります。
10歳以下で発症すると、急激に側弯が強くなることがあります。痛みがなかった場合でも、加齢による脊椎の老化により痛みをうったえることも多くあります。
脊柱側弯症の診療科目・検査方法
前屈テストをすると、脊柱側弯症であれば、背中や腰部が非対称に出っ張ります。前屈テストで脊柱側弯症が疑われると、レントゲン検査をおこない、さらに確認します。
弯曲の角度を確認します。弯曲の角度は「コブ角」と呼ばれます。その角度や年齢など、さまざまな条件を考慮して、経過観察か、装具療法か、あるいは手術をするかといった治療方針を決定します。
早期発見できれば、治療の難易度は低くなります。そのため、早期に発見し、治療を開始することが重要です。
整形外科を受診します。
脊柱側弯症の原因
背骨自体に炎症などの問題はなく、なんらかの痛みや生活習慣によって姿勢が悪くなっている脊柱側弯症は「機能性側弯症(きのうせいそくわんしょう)」と呼ばれます。機能性側弯症は原因を取り除くことで症状は軽減されるのも特徴です。
これに対して、「構築性側弯症(こうちくせいそくわんしょう)」と呼ばれるタイプは簡単にまっすぐ戻りません。
脊柱側弯症の全体の60~70%は原因不明のタイプで、「特発性側弯症(とっぱつせいそくわんしょう)」と呼ばれます。また、原因が確認できるものも、先天的な異常や神経組織に起因するものなど、原因はさまざまです。
脊柱側弯症の予防・治療方法・治療期間
コブ角が25度以下であれば、運動しながら定期的に経過観察します。骨の成長が止まっていても通院し、レントゲンにより状態を定期的に確認します。
コブ角が25度前後で、14~15歳頃までの骨成熟前であれば、骨を矯正する装具療法をおこないます。装具は入浴と運動以外の時間は一日中着用します。装具はカーブしている身体の場所に合わせて種類があります。
脊柱側弯症はコブ角が大きくなると進行しやすいため、手術をおこなう場合もあります。手術では、スクリューとロッドによって骨のカーブを矯正します。
脊柱側弯症の治療経過(合併症・後遺症)
継続的な経過観察が必要です。
コブ角が60度を超えると側弯は確実に進行し、重度の脊柱側弯症になります。
治療の必要がないと判断された場合も、1~2年に一度は継続的にレントゲン検査を受けて、進行していないか確認する必要があります。
以前は、中年期以降の脊柱側弯症に対して手術をすることは少なかったのですが、最近は手術技術の進歩により、中年期以降でも手術をおこなうことが多くなりました。しかし、高齢になってからの手術は合併症のリスクが高いため、若いうちに問題解決しておくのがよいと思われます。
脊柱側弯症になりやすい年齢や性別
1000人に3~5人が治療の必要な程度の脊柱側弯症と考えられています。
特発性側弯症は思春期くらいの女性に多いとされます。成人しても進行する場合があります。
参考・出典サイト
執筆・監修ドクター

経歴2005年 帝京大学医学部卒業
2012年 のぞみ整形外科内科クリニック開院
2017年 スガモ駅前整形外科開院
2020年 医療法人社団のぞみ会理事長
スガモ駅前整形外科 院長
のぞみ整形外科内科クリニック 院長
望クリニック 副院長
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